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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第4章 『鷺宮』の名のもとに家族になりました
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第31話 奴隷解放作戦②

翌日、日の出2時間前に、ヒカリたち強襲メンバーは、商会の玄関口に集まっていた。メンバー構成は、ヒカリ、タケシ、ケンジ、リョウコ、そして、冒険者組の男子からヒロシとマコト。この6人でドメイクの屋敷を強襲するのだ。出立前に、サトミから朝食としてサンドイッチの入ったバスケットを手渡された。

「昼までには戻れると思いますが、その後の事後処理で、帰りが遅くなるかもしれません。サトミさん、朝食のお弁当ありがとうございます。今日の賄は、お任せしてもよろしいですか?」

「皆の食事は任せてください。今日はたまたま食堂の休業日ですので、おいしい晩御飯を用意してお待ちしています。怪我の無いように気負付けてお仕事がんばってください。」

ヒカリたちは、ドメイクの屋敷に向かって歩き出した。途中、歩きながら朝食をいただく。食べれるときに食べておくのが常識なのだ。ドメイクの屋敷についたのが、日の出30分前、空がだんだん明るくなってきている。共同で作戦を行うギルドの職員の集まっている。

「おはようございます。朝早くからすみません。」

「いえ、こちらとしても、この依頼を受けていただきありがとうございます。なんせ、ドメイクは、カランの汚点の一つなので、早急に解決したいと思っていました。」

ヒカリの挨拶に、ギルド長であるドルマン=タリリアが答えた。ギルドマスターがわざわざ出向いてくるあたり、今回の作戦は、重要視されているみたいだ。

「作戦は、昨日話した通り小数精鋭で行います。まずは、屋敷全体に逃亡防止と、周りの被害を防ぐために、結界を張ります。ここにいるリョウコが、結界の担当をいたします。その後に、私たち突入組が屋敷の中に入り、この時間、一か所に集められている奴隷たちを、入れられている牢ごと確保します。牢の周りに結界を張ってドメイク側の妨害を防ぎ、とりあえず、制圧するまでは人命確保のため、大変心苦しいのですが牢の中にいてもらいます。

ドメイクは生け捕りにする予定ですが、それ以外は、殺してしまってもよろしいですか?」

「はい、ドメイクさえ確保できれば、あとの処理は、そちらにお任せいたします。」

「それでは、時間もないですし、早速始めましょう。リョウコ、お願い。」

リョウコは頷くと、結界を屋敷の周りの張る準備をした。ヒカリたちが屋敷の中に入るのを見届けると、そのまま結界で覆っていく。屋敷は、風の幕で包まれて、外からは中の様子を見ることが出来なくなってしまった。

「あとは、ヒカリちゃんたちがうまく事を運んでくれるのを祈るだけね。」

屋敷の周りに風の幕が出来たのを確認したヒカリは、予定通りに奴隷たちが入れられている牢まで移動していった。陽動を担当するのは、タケシたちだ。日の出とともに作戦が始まる。結界で屋敷ごと囲まれた事など露とも知らず、傭兵たちは、いつも通りに奴隷たちを起こすために牢の周りに集まった。

ここにいる魔法使いは、屋敷が結界に囲まれたことを感じていないのだろうか?あからさまに空気が変わったのに気づかないとは、修行がなっていないな。魔法使いと言っても、ドメイクに雇われているようでは、程度が知れているのだが。そんなことを考えながら、ヒカリはタケシの合図を待った。

作戦は、唐突に始まった。庭にある池の中から、特大級の火炎球ファイアーボールが現れて、巨大な水蒸気爆発が起こった。あれをやったのは、タケシかケンジだろう。ヒロシとマコトではあれは出来ない。

激震とともに、庭に面した部屋の壁と窓ガラスが粉々に割れ、爆風を屋敷の中に引き入れる。結界で阻まれた爆風は、屋敷の外へは出ずに結界の壁に沿って、大きく渦を巻き上空へと昇っていく。ヒカリは、牢の中の奴隷たちに爆風の被害が及ばないように、鉄格子の内側に結界を張った。何事かと振り向いた瞬間、ヒカリは、牢の周りにいる傭兵たちを無力化した。傭兵たちは、碌な反撃も出来ずに地面に転がされた。そして、その直後に襲ってきた爆風で、鉄格子に叩き付けられ気を失う。鉄格子の中にいた奴隷たちは、何が起きたのかと、結界に護られた鉄格子の中でぽかんと口を開けていた。

「もう、派手にやれとは言ったけど、これはちょっとやりすぎじゃないのかな。」

そう言いながらもヒカリは、牢まで歩いていくと、中にいる奴隷に声をかけた。そして、恵子を探して、鉄格子の中を見渡した。

「助けに来たわよ。もう少し辛抱してちょうだいね。」

やさしく微笑みながら奴隷たちに声をかけるヒカリ。恵子の姿を見つけると、ヒカリは、恵子の前まで歩いて行く。

「恵子、約束通りに助けに来たわよ。あとちょっと辛抱してね。」

「…今宮さん。…。」

恵子の姿は、他の奴隷たちよりも悲惨な姿をしていた。数日前は、曲りなりのも服を身の纏っていたのだが、全く何も身に纏ってなく全裸にされいた。体は相変わらずどす黒かったが、さらに黄色く変色し、放っている匂いは、いろいろと不快な匂いが混じりあっていた。手足にはめられた枷も、他の奴隷とは、明らかに違っていた。手首にはめれれた手枷は、小さなリングのみで首輪に直に繋がれている。足枷も同様に枷が小さなリング一つで繋げられて身動きすることも困難を極めていた。

「…あと少しの辛抱よ。」

ヒカリは、その一言しか声をかけることが出来なかった。

作戦は、既に終わっていた。水蒸気爆発で作られた爆風は、無防備に寝ていた屋敷の住人すべてを戦闘不能にしていたのだ。すべての部屋が、庭に面した造りになっていたのが幸いしたのだが。壁に無防備な状態で打ち付けられ、もだえ苦しむ者たちを見たタケシたち強襲組は、苦笑いをするしかなかった。火炎球ファイアーボールを一つ放っただけで終了してしまったので、ただちにリョウコに連絡して結界を解いてもらう。

屋敷の中に入ったギルドの職員は、屋敷の惨状に目を見張った。すべての部屋が、何かの爆発によって庭に面した壁がことごとく崩れ去っている。瓦礫の山に埋もれるように、部屋で休んでいただろう者たちが、呻きながら倒れていた。すぐさま全員を拘束して、奴隷が入れられている牢に向かったドルマンは、岩に腰掛けてお茶を飲んでいるヒカリを見つけた。牢の中を覗くと、20人ほどの女性が、土で汚れたぼろぼろの布きれを纏っている姿で牢屋の中にいた。体中泥だらけで、さらに鞭打ちの後が無数にある姿もある子もいて、見るに堪えない。

「…ヒカリ君、作戦は終了したので、この者たちを解放してやってほしいのだが。」

「やっぱり、さっきの爆発で、すべてが終わっていたのね。解ったわ、すぐに開放する。」

そう言うと、ヒカリは、指を鳴らした。すると、牢を構成していた鉄格子が、跡形もなくなくなったではないか。さらに、女性たちに付けられていた拘束具も、跡形もなくなくなっている。無詠唱で、しかもただ指を鳴らしただけの動作だけで、すべてをやってしまったヒカリを、唖然とした表情で見つめるドルマン。女性たちも、急になくなった鉄格子と拘束具に暫く声が出ないようだ。何をしても外すことが出来なかった拘束具が、一瞬のうちに消え去ったのだから、仕方のないことだともいえる。ヒカリは、手を叩いて、全員を現実に戻すと、次の行動を促した。

「あなたたちの主人であったドメイクとその一味は、既に逮捕されました。あなたたちは、この瞬間解放されました。

外で、ギルドから派遣された医療班がいますので、とりあえずは、屋敷の外まで行きましょう。

さあ、ギルド長も、いつまでもトリップしてないで。」

ヒカリは、ドルマンの背中を押して、女性たちを屋敷の外へと誘導する。屋敷の外では、医療班が、憔悴しきった女性たちに治療を施そうとしたが、あまりにも汚れているため、体を洗うため町の北側に広がる騎士団の訓練場まで運ばれていった。

訓練場では、連絡を受けていた騎士団の中から、女性隊員が集まり、到着した女性たちに、急遽拵えた風呂に入れていく。身に纏っていた物は、すべに服ではなく襤褸切れ同然なので廃棄処分となり、代わりに騎士団が用意した薄手のワンピースに着替えた。このワンピース、実は囚人に着せるための物なのだが、今ここにあるのが、これしかないので仕方がない。全裸でいさせるよりマシだろう。その場で治療を受けた女性たちは、次々にギルドが経営している病院に運ばれていった。

女性たちは、暫く治療のために入院をするそうだ。治療費は、もちろんドメイクの財産から支払う事になっている。その上で、全財産が没収されるみたいだ。ドメイクの逮捕を機に、カラン周辺では、過酷な環境下で奴隷を使役していた者たちが次々と逮捕され、ギルドの病院は、しばらく他の患者を受け入れり事が出来なきなっていまった。

ドメイク逮捕から数日後、ヒカリは、病院の一室に来ていた。そこには治療を受け、清潔な衣服に着替えた恵子が、ベッドに横になって、ヒカリの面会を受けていた。

「助けてくれてありがとう。今宮さんたちと別れた後、布団の上で寝るのはこれが初めてかもしれない。これまでは、固い地面にそのまま横になるしかなかったから。布団を言っても、筵一枚あればましな方だった。あとは、ドメイクの屋敷みたいに、野ざらしで寝る事しかできなかった。

当然服は、来ていた制服一枚。それ以外与えられることはなく、着替える事すらできずに今まで過ごしてきた。スカートが破れてしまい、下半身が露出してしまった時は、何も出来ない事を嘆いたわ。しかし、今宮さんに会ったあの日、ぼろぼろの布きれ状態になっていたそれすらも剥ぎ取られて、拷問を受けた。そのあとは、何も与えられずに、過ごすしかなかった…。」

「だから、救出した時、あなただけ何も身に纏っていなかったのね。どんな生活だったかは、もう少ししたら詳しく話してもらってもいいかしら。」

「ええ、話せるようにどんな生活をしていたか、内容を纏めておく。」

「お願い、その時は、なるべく少人数で聞くことにする。

それから、言い忘れていたけど、今の私は、『今宮光莉』ではなく、『鷺宮ヒカリ』なの。あの時、私とともにバスを降りた人たちで、義理の家族を作り、全員が『鷺宮』を名乗って、今は一緒に生活をしているの。ああ、担任と副担任は、カランまでは一緒にいたのだけど、この町で別れて今は町の何処かにいるはずよ。二人は結婚して、一緒に暮らしているみたいね。時々市場であった時に、それぞれの近況を報告しあった時に話してくれた。王都にある鷺宮商会の支店長になってもらうため、今は2人と交渉中よ。

あとは、あなたの意思次第だけど、あなたが望めば、私たち『鷺宮家』は、あなたを歓迎する用意は出来ているわ。退院までまだ時間はあるから、それまでゆっくりと、これからの事を考えてほしい。」

それから1ヶ月後、恵子は退院した。そして、鷺宮家の一員に加わることを決意した。ここテラフォーリアは、何の力のない者が、一人で暮らしていけるほど甘くはないのだ。

鷺宮商会の中庭で、ケイコは、皆の前に立って自己紹介をした。その身には、真新しいメイド服を着ている。

「今日からみんなと一緒に暮らすことになった、栗池恵子改め、鷺宮ケイコです。よろしくお願いします。」

ケイコは、満面の笑顔で鷺宮家の面々に挨拶をして深くお辞儀をした。

こうして、鷺宮家に、新たな家族が加わった。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。

話の内容を、大幅に改稿しました。

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