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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第4章 『鷺宮』の名のもとに家族になりました
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第30話 奴隷解放作戦①

「もしかして、今宮さんではありませんか?」

その声にヒカリが後ろを振り向くと、そこにはみすぼらしい服装で一人少女が、市場の入り口近くの柱に鎖で繋がれて立っていた。ヒカリと同年代の少女は、どこかで見たような服を身に纏っている。服は、ドロドロに汚れところどころ破れてしまっている。よく見るとそれは、ヒカリもテラフォーリアに来た時、最初に着ていた鷺宮学園の制服であるセーラー服だった。しかし少女は、下半身を隠すスカートと下着を履いてなく、ところどころに乾いた泥を付けた下半身が完全に露出している。いや、スカートのベルト部分と下着だったらしいモノは、腰のあたりにへばりついていた。つまり何らかの原因で、スカートと下着が破れてしまい、そのまま何も履かずに今に至っているのだろう。

それは、少女に付けられてモノによって容易に想像できた。少女の体中は、どす黒く汚れ、いやな異臭を漂わせている。もう何日、いや、何ヶ月も体を洗っていないのだろう。いや、この感じだと、洗わせてもらえないと言った方が正解なのか。

少女には、逃亡を防ぐ目的か、足枷と手枷がはめられ、手枷と首輪が鎖で繋がれていた。今は、首輪の後ろから鎖が伸び、柱に固定されている。長さが10センチほどの鎖で繋がった足枷が、素足にされた両足にはめられている。歩幅より短い鎖で繋がれていては、まともに歩く事もできないだろう。手枷から延びる短い鎖は、10センチほどの長さしかなく、しかも直接首輪に繋がれている。手枷で固定されている手首は、首と胸の中間あたりで、存在なさげにぶらぶらと揺れていた。これでは、下半身が露出してしまっていても、何もすることが出来ず、隠す事もままならないのだろう。

そう、この姿は、まるで奴隷だ。それも盗賊から買われた奴隷の姿に似ている。たしか、カランに来た時に、ジョルダンから聞いたことがある。

「ここテラフォーリアには、残念ながら、奴隷の身分に落とされた人たちがおります。奴隷となった理由は、それぞれ違いますが、多い順では、借金が返済できずに奴隷に落とされた者、次に多いのが、盗賊などに攫われ、盗賊にの手によって競りにかけられ奴隷になったものです。両方とも奴隷の売買は競りによって行われますが、競り落とされた後の扱いは、雲泥の差があります。

前者は、主人が肩代わりして、奴隷商人に払った金額だけ働けば解放されます。最低限の衣食住が保障されており、働いて得た賃金はすべて借金返済で消えますが、決められた賃金が支給されています。これを破れば主人が罰せられます。躰のどこかに奴隷としての証を付けることを義務付けられていますが、借金の返済が終われば、自由の身になります。

後者については、その限りではありません。国家の保護はなく、着の身着のままでいる事が多いです。それは、最低限の衣食住の保証がないためです。また、無給で働かせているため、自らが買われた値段を支払う能力はなく、誰かに助けられるまで奴隷のままです。また、逃亡を防ぐために、たいていは、手枷足枷首輪をつけられています。これには魔法によって現在位置を主人が把握しており、逃げることは不可能に近いです。魔法を解除できる人に助けられればその限りではないですが、解除には、光属性の魔法使いを探す必要があります。」

そんな事をたしか話していた。目の前の少女は、まさしくその姿をしている。ヒカリは、驚きの顔を隠せなかった。しかし誰だろう?見覚えのある顔だが、いまいち思い出せない。

ヒカリは、あえて女性に尋ねた。

「あなたは誰?私とは顔なじみみたいだけど。」

女性は落胆した顔つきになると、深い溜息をしてから話した。

「やっぱり覚えていないのね。まあいいわ。こうして出会えたのも何かの縁ね。

私の名前は、栗池恵子。今は、メス豚10号と名乗らされているけど。今はドメイク…様の屋敷で奴隷をしているわ。あの時、あなたが見捨てていった一人よ。」

恵子は、どこで誰が聞いているのか分からないので、とりあえずは、主人の名前に『様』とつけた。

「あなたが、あの栗池さん?どうしてここカランにいるの?今までどこにいたの?」

「心配してくれてありがとう。今宮さんは、お元気そうね。私とは全く違う生活をしているみたいで…。あの時私も、今宮さんについていけばよかったと、心底思っているわよ。友達についていくんじゃなかったわ。今の私たちの間には、大きな壁があるんだから。

あの後起こった出来事を教えてあげたいけど、その前に私を自由にしてくれない?」

「それは、構わないのだけど、今すぐあなたを自由にすることは出来ないわ。私は、あなたの主人に恨まれたくないから。」

「今すぐ私を自由にする事は出来るんだ。でもそれは出来ないのね。」

恵子は、悲しい顔つきになって俯いた。

「ええ、私は、流浪の冒険者ではなく、ここカランに根を張った冒険者だから。まあ、何かされても蹴散らすだけの力は持っているけどね。」

「今の私のご主人様は、ここカランで貿易商人をしているドメイクていう男よ。私はそいつに買われて、朝から夜遅くまで雑用をやらされているの。」

「ドメイクっていうと、あの悪徳商人のドメイクかしら。噂が正しければ、奴隷を劣悪な環境で働かせているみたいね。恵子さんの祖型を見れば、その噂も本当のようね。それはそうと、ドメイクのところには、あなた一人だけ?」

「ええ、私一人だけよ。後のクラスメイト達は、皆違う主人のところに売られていったわ。今どこで何をしているのかも解らないわ。ちなみに、残っていた男子は、すべて襲ってきた盗賊?に殺されたわ。」

その時、ヒカリと恵子のもとに、いかつい男が現れた。

「メス豚10号、てめえ、奴隷の分際で何勝手に行動してるんだ?」

男は、言葉と同時に恵子を地面に転がすと、衆人環視の中で折檻を始めた。ぼろ雑巾になるまで、殴るけるの暴力を恵子に与えると、そのまま引きずるように、ドメイクの屋敷に消えていった。

「たしか、ギルドから奴隷解放の依頼があったわね。それを受けて乗り込みましょう。

栗池さん、後で必ず迎えに行くから。」

朝食の後、ヒカリは、タケシとともに、ギルドに赴き、ドメイクに関するすべての依頼を引き受けた。ギルドの情報によれば、ドメイクの屋敷には、世界中から集めた魔法使いがたくさんいるらしい。また、私兵として、Bランク以上の冒険者で組織された傭兵団が、屋敷の警備に当たっているため手が出せない状態だとか。騎士団が動けば何とかなるらしいが、規則に縛られて動けないらしい。

依頼の冒頭には、こう書かれていた。『奴隷は全員救出する事。ドメイク及び、魔法使い、傭兵については、生死は問わない。』と。

「さて、ヒカリ。あの屋敷をどう攻める?」

「そうね、数日後の早朝、突撃をしましょう。多分、奴隷たちは、一ヶ所に集められていると思うから。その方が救助しやすいでしょう。まずは屋敷ごと結界で囲って逃げられないようにした後、奴隷を解放しつつ、殺していくのはどうだろうか。ドメイクだけは、殺さずに生け捕りにしようかな。その前に、屋敷内にいる魔法使いと傭兵、それと奴隷の数を正確に知りたいわね。」

「作戦決行までに調べておく。」

「じゃあ、お願い。それから、今回は何人で行く?」

「そうだな、あと2~3人いれば何とかなるだろう。」

「分かったわ。後で私から声をかけておく。タケシは、潜入捜査よろしく!」

二日後の午後、ヒカリたち強襲メンバーは、会議を開いていた。中央にある机の上には、タケシが調べたドメイクの屋敷の見取り図が置かれている。

「昼まで屋敷を見張っていたが、ヒカリの予想通りだった。奴隷たちは、日が昇るまでは、ここの牢に閉じ込められている。日の出と同時に叩き起こされ、重労働を日没まで課せられる。休みなしにだ。少しでも止まれば、鞭打ちの嵐だ。鞭打ちをしているのは、傭兵たちだ。鞭で打たれている間が、唯一休憩できる時間みたいだが、そのあとは、手当もされずに働かなくてはいけないようだ。日没後は、全員集められ、ドメイクの食事を見学する。その後に1日1回の食事を与えられ牢に戻る。

この牢の環境も劣悪だった。牢には、風雨をしのぐ屋根や壁はなく、周りを鉄格子に囲まれただけの物だ。当然布団などの寝具はなく、固い土間に雑魚寝をしていた。昨日の夜半過ぎから朝方まで、雨が降っていただろう。土間には水溜まりが出来ていたが、当然乾いた場所などなく、皆雨に撃たれてドロドロになって寝ていた。しかし、朝になれば叩き起こされ、濡れてドロドロになった服のまま重労働を課せられていた。

奴隷たちの生活はこんな所だ。次に魔法使いと傭兵たちだが、魔法使いは、全部で20人。力は、俺たちの中では、タカコあたりの力量かな。属性につては、魔法を使っているところを見れなかったので解らないが、タカコ程度の実力ならこのメンバーなら対処できるだろう。傭兵については、ギルドの情報の通りだ。数は約100人と言ったところか。こいつらが、分担して警備に当たっている。虫の居所が悪いと、奴隷に当たっているようだな。」

タケシの調査報告を聞いたメンバーは、一応に苦い顔をしていた。それを見ていたヒカリが、作戦決行の合図を出す。

「今回は、ギルドの要請通り、奴隷たちの命が優先になります。なので、奴隷たちを迅速に確保するため、一か所に集められている時間帯、その中でも早朝に作戦を決行します。作戦ですが、…。」

ヒカリとタケシは、作戦をメンバーに伝えた後、ギルドに足を運び、協力を要請した。作戦が終わった後、奴隷たちを保護してもらうために。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。

話の内容を、大幅に改稿しました。

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