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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第4章 『鷺宮』の名のもとに家族になりました
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第28話 義理の家族

「それでは、改めて今後の活動について決めていきたいと思います。」

光莉は、智美との会話を終えると、表情を一変させて話を戻した。一瞬の表情の切り替えに、他のメンバーも、真剣な面持ちになる。

「まずは、パーティメンバーを、それぞれの能力別にいくつかの隊に分けたいと思います。

今までは、『冒険者』としての活動を重視していたため、適材適所に人員を配置することはせず、全体的にレベルを上げ、ギルドのランクを上げる事を中心に活動していました。私と行動を共にしていた多佳子たちは知っている通り、レベルの弱い魔物や盗賊は、多佳子たちに任せて、ランクの高い私は、敢えて何もしていません。」

「光莉ちゃんが動けばすぐに終わらせる事もできたけど、あえて私たちにやらせていたわね。最後の方なんか、商隊に結界すら張らず、すべて私たちに任せていたわね。」

光莉の話に、タカコが苦笑いしながら相槌を打つ。

「そして、カランに残った者たちにも、なるべくなら、レベルを上げる努力を押し付けていました。そのかいあって、メンバー全体のレベルの底上げには成功していますが、個々のレベルを見ると、大きく差が開いています。私や毅などの所謂『戦闘狂』と呼ばれる人たちは、サクサクとAランクまで上がりましたが、戦闘に不慣れな子たちは、CランクかDランクどまりです。

よって、これからの行動指針と致しましては、個々の能力に合う仕事をしていきたいと思っています。幸い智美さんの趣味によって始められた『鷺宮食堂』もあります。そして、この建物は、既に私個人の名義となっており、ここカランにおいての活動拠点を手に入れました。

…ここでパーティの中を、大きく2つに分けたいと思います。まずは、『鷺宮商会』という親会社を作り、この下に、いくつかの組織を作ります。これまで通り『冒険者』として、各地を飛び回り、依頼をこなしていく『パーティ鷺宮』。ここカランで、鷺宮食堂及び、新たに雑貨屋などを営む『鷺宮商店』という2つの組織に分けたいと思います。

これから、『鷺宮商会』の名で、この国のいくつかの町に、別宅を購入し、各地に支店を開設してく予定です。支店には、冒険者として行動するメンバーが泊まる宿としての機能と、各地の名産物を集める拠点にしていく予定です。建物については、今回の周遊で、いくつかよさそうなものをすでに私の名義で購入してあります。これから少し改装をしてから、使用したいと思っています。また、これに伴い、この中から支店の管理者を選んだり、我々の仲間を増やしていく予定でいます。

まずは、『パーティ鷺宮』の方ですが、こちらは、冒険者ランクがA以上の人を中心に行きたいと思います。基本、男子で構成するつもりですが、女子の中でも、ランクを上げたいと思う人は、自由に参加してもいいです。仕事内容は、冒険者としてギルドの仕事を積極的にこなしていく事と、その傍らで『鷺宮商店』が、必要としている素材や鉱石、食料品などを集めることです。

ギルドで貰う成功報酬ですが、6割を商会側に収めてもらいます。これは、この建物を含めた維持管理費や、ギルドを通して他の冒険者に依頼する際の資金として活用する予定です。後の4割は、自由に使ってくれて結構です。

次に、『鷺宮商店』の方ですが、こちらの仕事は、智美さんが開いている『鷺宮食堂』の給仕と、建物の掃除や洗濯などのメイドをしてもらいますが、基本はメイドとしての仕事を優先します。食堂の方は、ギルドを通して、求人をする予定なので、体制が整うまでは、大変だと思いますが、よろしくお願いいます。仕事の頑張り度に応じて、給料を支払いたいと思います。すでに、玲子や真奈美から、メイドとしての作法を叩きこまれているので、町で雇った子を、あなたたちの下に付けたいと思っています。」

これには、女子たちから何処か哀愁のある顔つきをされた。

光莉も経験者だから解るのだが、今宮家の指導は厳しいことで有名なのだ。基本的な家事はもとより、礼儀作法に至るまで徹底していた。地球にいた頃は、その作法を学ばせるために、わざわざ今宮家に奉公に上がらせる家庭まであったほどだ。その今宮家で、光莉と玲子、真奈美は、玲子の母であるメイド長直々に指導されていたため、完璧に礼儀作法を身に付けていた。その愛弟子である玲子と真奈美に教えられている女子たちは、まだ修行中とはいえ、それなりに礼儀作法を身につけていた。

あと、ここの隣の元鍛冶屋剣武器屋を買い取っているので、そこで私は、雑貨屋を営もうと思っています。…それに付随して謙治。」

「何だ?光莉。」

「あなた、たしか私の作った『魔法剣マジックブレードの柄と籠手』を見て、自分も武器や武具を作りたいと言っていたわね。」

「そんなことを言った気もするが…。」

「そこで鍛冶屋でもやって、武器や武具を売らない?」

「いいのか?Aランク冒険者は、ギルドで依頼を受けるんじゃないのか?」

「それを言うなら、私も智美さんもAランクよ。でも、私は、雑貨屋を開くし、智美さんは、既に食堂の主だし。玲子は、すでにここのメイド長の座に収まっているのよ。今更だわ。

それに私は、適材適所に人員を配置したいの。能力を腐らせておくなんて、私のポリシーに反する行為だわ。」

「そこまで言うのなら、お言葉に甘えて、俺は鍛冶屋になろう。しかし、今の俺には、材料となる鉱石の持ち合わせがないんだが、何処で調達するんだ?」

「さっきも言ったと思うけど、この国のいくつかの町に別宅を購入したの。そこに私の『光の神子』の力を使って、転移ゲートを設置する予定なの。当然鉱石の町カエデテラスにも別宅を用意したから、いつでも調達できるようになるわ。」

「それはありがたい。ゲートが設置出来次第、早速作業に取り掛かろう。とりあえず、明日にでも隣の建物に言って、掃除と修理をするか。」

「光莉ちゃん、その転移ゲートは、バーガルにも作ってくれるの?」

そこに、夜の仕込みを終えた智美が顔を出した。

「バーガルというと、マクリドナ州の州都ね。たしかそこは、近くの小島を一島丸ごと買い取ってあるから、そこに設置する予定。その島には、今は何もないけれど、小さなログハウスを建てる予定なの。そして、私たち『鷺宮商会』のバカンスを楽しむ専用の島にしていく予定でいるわ。そこからバーガルも近く、船がなくても海を渡る事が出来る私たちにとっては、これ以上ない優良物件だと思うの。」

光莉が少しトリップしているのを、苦笑しながら見守っていた毅が、釘を刺した。

「光莉、その話は、後でやってくれないか。今は時間もないことだし、さっさと話を戻してほしんだが…。」

「…、そうね。どこまで話したかしら。そうそう雑貨屋の話だった。他の人も、何か売りたいものがあったら、どんどん言ってちょうだい。雑貨屋に並べるから。売上金は、全額品物の提供者の者よ。

あとは、何か質問や、やりたい事があるがある人はいるかしら?」

光莉の問いかけに、2人の男性が手を挙げた。光莉は、1人ずつ問いかけに答える。

「まずは、校長先生から、どうしましたか?」

「私には、どんな仕事をさせてもらえる予定かな?光莉君。」

「校長先生にしていただくお仕事ですが、これから話していく事に関係していきます。」

光莉は、今後についての大事な話をするため、一度話を区切るために、お茶を飲んで一息入れた。

「今思えば、テラフォーリアに落ちたあの日、バスから離れた時に、既に私の心のどこかで決めていたことだと思います。その時はまだ、漠然とした思いしかなかったのですが。キャロルと出会い、もう地球に還れないと知った時、いつかは決断しないといけないと思っていたのかもしれません。」

光莉の神妙な顔つきに、皆が固唾を呑んで話を聞いている。

「智美さんがお店を開く目的が切っ掛けだとしても、私の名義でこの建物を買い取り、カランに本拠地を構えた今だからでしょうか、その思いが、私の中で明確に形作り、そして私の中ではすでに決定しています。あとは、この思いをみんなに話し、みんなからの賛同を得るだけです。」

光莉は、周りを見渡して、決意を表明した。

「私の決意は、ここにいる人すべてと、『義理の家族』になりたいのです。

あの時は、たまたま私の意見に賛同してバスを降りただけなのかもしれません。しかし、その後曲がりなりにも私たちは、一つ屋根の下で暮らし、助け合ってここまで歩いてきました。」

バスを降りて、初めて経験した野営。キャンプみたいな安全が保障されたモノではなく、1歩間違えば命の危険すらあった。数日でカランに辿り着いたのはほとんど幸運の出来事だろう。

カランの町の中で仮の拠点としてこの建物を貰えたのも、たまたま幸運が重なったにすぎない。キャロルと出会い、魔法を1から教えてもらい、さらにその中の6人が、『龍神の神子』に選ばれたのも何かの縁だ。

「校長…、いや鳥尾さん、今は、私たちの心の支えとして、私たちの『義理の祖父』として、ここにいてくれませんか。」

光莉は、校長である鳥尾隆弘に向かってお辞儀をする。そして、2人の大人組にもお辞儀をした。

「鍵沼さんは、『義理の父』であり、智美さんは、『義理の母』になってほしいのです。。…そして、私たち、元鷺宮学園2年1組のメンバーは、当然鍵沼さんと智美さんの『義理の子供』になります。私は、この『鷺宮商会』に所属するすべてのメンバーが、『一つの家族』だと思っています。いや、思いたいです。

私たちは、『鷺宮』という家に集まった血の繋がらない『義理の家族』です。

ここテラフォーリアの大地に骨を埋めなくてはいけない以上、私は、この『家族』を大事にしていきたい。私たちは、まだ16歳です。これから先、何かの切っ掛けで大きな挫折を味わうかもしれません。そんな時、私たちの心の支えとして、鳥尾隆弘さんがいれば、立ち直ることが出来るかもしれない。私は、そんな存在になってほしいのです。」

光莉の突然の独白を、この場にいたすべての者が黙って聞いていた。強大な力を手に入れていても、光莉はまだ16歳なのだ。それは、大人である3人以外にも当てはまる。誰かが心の支えになってあげなければ、今頃、何もできずに泣いていたであろう。

黙って光莉の独白を聴いていた毅が、光莉の横まで歩いてくると、光莉の頭を押さえて、一緒に腰を折った。

「鳥尾さん、鍵沼さん、そして、智美さん、俺たちの親になって一緒に支えてもらえませんか。そして、俺たちを導いてくれませんか。」

すると、他のメンバーも次々と腰を折って、毅に続いた。それを黙って見ていた鳥尾は、重たい口を開けた。

「鍵沼さん、智美さん、子供たちが私たちを『親』として慕ってくれるそうです。大人である私たちは、子供たちの願いを応える義務があると思うが。どうだろう、ここは、光莉君たちの『義理の親』となり、『義理の家族』となって、一緒にここで生活していこうではないか。」

校長先生の問いかけに、智美さんと、鍵沼さんも肯定の意味で頷いた。それを見て校長先生が話を続ける。

「今から、ここにいる私たちは、『鷺宮』のもと、一つの家族としてここテラフォーリアで暮らしていく。」

「「「「ありがとうございます!」」」」

光莉たちは、一斉にお礼の言葉を述べた。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。

話の内容を、大幅に改稿しました。

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