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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第4章 『鷺宮』の名のもとに家族になりました
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第27話 建物を買い取りました

カランを旅立ってから約3ヶ月、光莉たちは、コロラド王国を一周して、懐かしのカランの城門の前に立っていた。

「約3か月ぶりのカランだねぇ。この城門を見ていると、故郷の町を思い出すなぁ。」

光莉が、カランの城門を見ながら、ぽつりと呟いた。光莉たちにとっては、テラフォーリアに落とされて、初めて訪れた町がカランであり、この世界では、故郷のような存在なのだ。

「光莉、こんな所で立ち止まってないで、早く宿舎に帰ろう。」

「…、そうだね、早く帰って、元気な顔をみんなに見せよう!」

光莉たちは、門番にギルドカードを見せて町の中に入っていった。町の中心に建っている元宿屋で、今は、光莉たちの下宿先になっている建物の前で、光莉たちは、茫然と立ち止まり、目の前の光景を見ていた。その光景を見ながら、毅が呟く。

「…、なぜ、建物に向けて、行列が出来ているのだろう?」

今は、ちょうど正午の鐘が鳴って、お昼ご飯の時間だ。食堂の前なら行列が出来ていてもおかしくない。しかし、あの建物は、私たちしか住んでなく、ましてや、食堂なぞ営んでなかったはずだ。

「まあ、こんな所で立ち尽くしてなく、とりあえず中に入ろう。」

真っ先に再起動した多佳子が、トリップしていた光莉たちを再起動させて、裏口から建物に入っていった。校長先生の部屋の前まで来て、ヒカリがドアを叩いた。

”コンコン”

「はい、誰ですか?」

基本、部屋の中で、隠居生活をしている校長先生が答えた。

「今宮光莉です。ただいま戻りました。」

「光莉君か、入りたまえ。」

部屋の中に入ると、部屋の主である校長先生と、キャロルが、椅子に腰掛けてお茶を飲んでいた。光莉たちは、校長先生が座っている椅子の前まで歩いてくると、軽くお辞儀をして、帰還の挨拶をした。

「約3ヶ月間留守にしましたが、お変わりありませんでしたか。」

「ああ、元気に暮らしておるよ。光莉君が残していった者たちが、世話をしてくれたおかげで、私のすることがなくて困っておる。特に、玲子君は、こういう仕事には慣れておるようじゃな。」

「玲子は、地球で暮らしていたころ、私専属のメイドとして、今宮家で働いていました。後真奈美も。

話は変わりますが、この建物に向けて行列が出来ていたのですが、理由を教えていただけませんか。」

「そうじゃったか、今宮家のメイドだったとはのう。行列の理由はな、一月ほど前から、智美君が1階の食堂スペースで昼のみ営業の食堂を初めてのう。あれよあれよという間に人気店になってしまい、今に至るわけだ。詳しい話は、あとで智美君に聞いてもらえばいい。とりあえず、君たちは、風呂に入って旅の疲れを取りたまえ。」

「はい、それでは失礼いたします。」

光莉たちは、校長先生の部屋を出、旅の疲れを取るため風呂へと向かっていった。光莉は、部屋着に着替えて部屋でゆっくりとしていると、玲子がお茶をもって訪ねてきた。玲子は、何処から調達したのか、メイド服を着ており、当然のように光莉の世話をしに部屋までやってきた。

「光莉様、物見遊山はどうでしたか?こちらは、滞りなく光莉様の指示通りに過ごしてきました。」

「なに?玲子。その物々しい言い方は?ここは、今宮家の中ではないのだから、敬語は不要よ。それとも、メイド服になると、お仕事モードにチェンジするのかしら。」

「すでにこの建物の主は、カランの行政機関ではなく、光莉様になっております。ご主人様を蔑ろに扱うのは、我葛谷家の者にはあり得ません。」

「えっ!玲子、今何って言った?」

「ですから、ご主人様を蔑ろに扱うのは、我葛谷家の者にはあり得ません。」

「いや、その前!」

「その前と言いますと…、『すでにこの建物の主は、カランの行政機関ではなく、光莉様になっております。』ですか?」

「そう、なんで私が、この建物の主になっているのよ。詳しく教えてくれない?」

「これは大変失礼いたしました。なぜ光莉様が、この建物の主になったのかをご説明いたします。

まずは、前提条件からですが、この建物は、私たちがこの町に来てから1年間、無料で済むことが出来ます。」

「…確か、初めに説明で、ジョルダンさんがそんな事を言っていたわね。」

光莉は、玲子の説明に、相槌を打って肯定した。

「それから私たちは、今まで約半年間行政のご厚意に甘えて、この建物で過ごしてきました。光莉様が、物見遊山の目的でコロラド王国を旅している間、この建物をお守りするために残された者たちの仕事を探しておりました。最初のうちは、カラン周辺での薬草採取や、魔物の討伐などをして、小銭を稼いでおりました。

一月ほどたった頃に、智美様が、ご趣味の料理で食堂を営みたいと仰られ、ジョルダン様に相談いたしました。その結果、どこかの空き店舗を借りて商売をするのならともかく、この建物で商売をする場合、建物の名義人を、私たちの代表者に変更することが、第一条件と仰られました。

私たち『パーティ鷺宮』の代表者は、当然ながら光莉様になっています。」

「確かにあの時、『パーティ鷺宮』のリーダとして、私の名前を書いたけれど…。」

光莉は、出されたお茶を飲みほしてから玲子に答えた。玲子は、空になったカップに、新たにお茶を入れなおしてから続きを話す。

「智美様の熱意、何より残っていた者たちが、戦闘をあまり得意としていないという事実。それならば、その者たちに、ウエイトレスとして智美様の食堂で働いてもらおうと思い、私の独断でこの建物を買い取ることにいたしました。事前に光莉様には、相談せずに行ってしまったことを、この場で謝罪いたします。」

「ああ、だからフルーテアの冒険者ギルドで、覚えのない家屋の売買の請求書をもらったのね。」

「建物の買い取り費用は、光莉様の口座から出してもらいましたが、店内の改装費と、開店してからの食材費は、智美様の口座から出ております。なので、建物の買い取り費用を出していただいた光莉様が、名実ともに私たちの主となられました。

私と真奈美が中心となり、残った女子たちに、今宮家の侍女の訓練をいたしました。今では、食堂のウエイトレスと、建物管理の侍女として、日々を暮らしております。また、私が今宮家で務めていたころと同様に、プライベート以外は、主である光莉様に対しては、敬語を使うように指導しております。」

「分かったわ。そんな理由ならしょうがないわね。まあ、遅かれ早かれこうなっていたのだから、この件に関しては、文句を言うつもりはないわ。

玲子。下の食堂の営業時間って、どうなっているの?あと、食堂の名前な何ていうの?」

「智美様が開かれている食堂の名前ですが、『パーティ鷺宮』から取りまして、『鷺宮食堂』と名付けました。ちなみに名付け親は、智美様です。食堂の営業時間ですが、基本は、午前11時から午後2時までの昼の部と、午後5時から9時までの夜の部の体制になっております。今は、ちょうど昼の部と夜の部の間の小休止の時間ですね。」

光莉は、少し黙考したあと、玲子に指示を出した。

「今は、私たちのメンバーがすべて揃っていますので、これから少しミーティングをしたいと思います。全員を一回の食堂に集めてください。今後について少し話をしようと思います。」

「承りました。」

玲子は、光莉に深くお辞儀をすると、光莉の自室を出ていった。それを目で追って確認すると、光莉は、1階の食堂に降りていった。食堂で光莉は、メンバーの前に立ち、演説を始めた。

「まずは、これからの事をお話しする前に、智美さん、玲子から聞きました。約1ヶ月で、始めた食堂を人気店にするなんて、とてもいい腕をお持ちですね。」

「それほどでも。勝手に光莉ちゃんのお金を使ってしまったから、これでも頑張ったんだよ。この建物を買い取ったお金は、全額光莉ちゃんに返すから、それまで待ってね。」

「いや、建物を買い取ったお金に関しては、返してもらわなくても結構です。私もこの建物でこれから先も暮らしていくんだから。それよりも、暇を見つけて私も、智美さんのお店を手伝いたいのだけど、いい?」

「そりゃあ、光莉ちゃんが手伝ってくれるなら、私としてもとてもうれしいけれど。…、本当に建物を買い取ったお金は、光莉ちゃんに返さなくてもいいの?」

「はい、別にこれくらいのお金なら、今の私には、大した負担ではありません。この3ヶ月で、たくさん稼がせてもらいましたから。さらにこれからも、お金を稼ぐ目途はついています。食堂部分の改装費は、智美さんが全額持ってくれているようですから、貸し借りゼロという事で。私は私で、1階の空きスペースで、雑貨屋を営もうと思っております。

話はそれましたが、今後の行動について、皆さんの意見を取り入れながら決めていきたいと思います。智美さんは、夜の部の仕込みがあるのなら、そちらを優先してくださっていいですよ。」

「それじゃあ、お言葉に甘えて」と、智美は、厨房の中に消えていった。

「それでは、改めて今後の活動について決めていきたいと思います。」


話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。


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