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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第3章 マイホームを買おう!
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第25話 指名依頼④

ファイアーバードを討伐した光莉は、隊長とともに、一路北へと向かっていた。ファイアーバードは、北にそびえる大山脈から飛来してきたからだ。番で現れたということは、必ずあるだろう『あるモノ』を探していた。ファイアーバードと戦闘を繰り広げた場所から、空を飛ぶこと約20分、それは、山の中腹に作られていた。

そう、「ファイアーバードの巣」だ。中には、一抱えもある大きな卵が2つ鎮座しており、卵を守るように、赤く溶けた溶岩の濠が巣の周りを囲っている。ここまで来る途中小物の魔物に襲われたが、光莉と隊長の持つ魔法剣マジックブレードの前には、何の脅威にもならず殲滅されていた。

「隊長さん、私に与えられるファイアーバードの素材は、あの巣の中にある卵でいいです。何よりあれは、知る人ぞ知る宝の山ですので、使用方法を知る者がいなければ、2つとも貰ってもいいですか?

あの巣に使われている材料も捨てがたいのですが…。」

「卵については問題なかろう。あれはすべて光莉君のものだ。しかしあの『巣』については、耐火性能が上がるので、鍛冶屋とかには高値で売れるから、我々ケルンに引き取らせてもらいたい。『卵』は、いったい何に使うのだ?出来ることなら、教えてくれるとありがたいのだが。」

「ああ、『巣』のほうはやっぱり知っていたんですね。まあ、ギルドのほうにも時折依頼が出ていますから。

『卵』のほうは、外側の殻部分は、火属性の武器や武具を作るときに、とても重宝する素材ですよ。親鳥にある鱗から作ったものよりも、数段上位の武器や武具を作ることが出来ます。見ての通り数が少ないので、市場に出ることが稀ですが。

中の卵白を溶かした水に布を漬け込むと、燃えにくくなるので、天幕などに使うと、火属性の攻撃による被害を低減できます。

卵黄の方は、『燈火』の燃料としての価値がありますね。スプーン一杯で、一晩燃え続けますから。」

「それほどの価値があの卵一つにあるとは、なぜ今まで知らされていなかったのか、不思議だ。その事を光莉君は、なぜ知っているのかね。」

誰も知らなかった情報を、光莉は、当然のように知っていた事を、隊長は疑問に思い、光莉に聞いた。光莉は、分厚い本を何処からともなく手に取って話した。

「それについては、この『魔物大全』という本に書いてありました。殻について、素材としての価値は、それなりに知れ渡っているようですね。『巣』と一緒に殻が手に入ることもありますから。でも、中身の卵白と卵黄については、今回のみたいな事がない限り、手には入らないでしょう。たとえ手に入れたとしても、今まで捨ててきたのではないでしょうか。

それよりも、これらを回収して、皆と合流してケルンに戻りましょう。」

ヒカリは、手早く自身の影から闇を作ると、巣ごと卵を闇の中に取り込んだ。そして、光莉と隊長は、そのまま皆が待つ場所まで飛んでいった。ファイアーバードから鱗などの素材を粗方剥ぎ取ると、隊長は、地属性の騎士たちに指示を出して、ファイアーバードを土葬していった。街道近くに死体を放置すると、それだけで、魔物が集まってくるからだ。その後、皆でケルンに帰っていった。

ケルンでは、テラテクスの討伐を担当していたセイルンの騎士団や冒険者たちも、ケルン城の大広間に集まっていた。すでに外は、夜の帳が落ち、大広間には、苦労を労う料理の数々が並べられ、立食形式であるが、ささやかなパーティーが開かれていた。その中で光莉の周りには、今回の討伐で、光莉が作り出し、貸し与えた武器を実際使用した者たちが囲んでいた。

「光莉さん、巨大なファイアーバードの巣を影から出していたね。あの魔法、俺にも使えるのかな。」

「その魔法は、闇属性なら使うことが出来ますよ。」

「闇かあ。俺では無理だなあ。」

「俺、闇の属性を持っているから、後で教えてくれ。いくら出せば教えてくれる?」

冒険者家業で生計を立てていれば、どんな些細な事でもお金を出さねばならないことは、当たり前の常識だった。それがたとえ、相手の言い値だったとしても、仕方のないことだったのである。

「簡単な魔方陣を自身の影に刻み込むだけなので、今からでもできますよ。そうですねえ、技術料として金貨50枚でどうでしょうか。

ちなみにこの魔法は、最初に注ぎ込む魔力で、作り出せる亜空間の広さが固定されますので、最初は、限界まで魔力を注ぎ込んだ方がいいですよ。後は、発動キーカオスワードを唱えるだけで空間に接続しますから。」

「金貨50枚か、案外安く売るんだな。小切手を切るから、明日にでもギルドで換金してくれ。じゃあ、さっそくお願いできるかな。あれが使えれば、今まで苦労していた荷物の問題が、一気に片付くからな。」

「まあ、昔誰かが作った魔法ですし、私以外にも、使える人とか多分いると思いますので。闇属性の人で、金貨50枚払ってもいいと思う人は、外のバルコニーに出てください。」

冒険者ギルドに口座を持つ者は、大概小切手を使って、大きな買い物をしている。特に、ランクが上に行くほど、流れる金額も大きくなるためだ。必然的に手持ちの現金では、足りない金額を即決で払うこともあるため、小切手の需要は大きいのである。また、小切手自体は、各商店や、大きな屋敷などに常備しており、冒険者自体が持ち歩かなくてもよかった。

光莉は、大広間に隣接するバルコニーに出た。金貨50枚と書かれた小切手を対象者から受け取ると、部屋から漏れる光を背に立ってもらい、それぞれの陰に魔法陣を刻んでいく光莉。魔法陣は複雑な文字列と図形で成り立っており、それを影に刻み込むという行為が、光莉の説明ではできる者がいなかったため、光莉が描くことになった。

「先程も言いましたが、最初に注ぎ込む魔力量で作り出せる空間の大きさが決まるので、自身の持つ最大の魔力を込めてください。それでは、魔法陣に手をかざして、『闇の眷属よ、我の願いを聴け。開け、異界の扉。闇の倉庫ダークスペース』と唱えてください。」

それぞれが呪文を唱えると、影に刻んだ魔法陣が黒く光りだした。光は、数秒後に収まり、影に刻んだ魔方陣も姿を消した。

「これで、闇の倉庫ダークスペースを使うことが出来ます。ちなみに中に入れたものを出す時は、任意に指定したものを取り出すことが可能です。後は、それぞれが考えた発動キーカオスワードで、空間への物の出し入れが出来るようになります。最初は、どれだけの物が入るか確認のために、限界まで者を入れてみてください。」

光莉が部屋の中に戻ると、新たな集団に囲まれていた。それは、隊長を含めた領主側の一団だった。

「光莉殿、今回の活躍は、私の耳にも届いていますぞ。」

光莉に声をかけたのは、ケルンの領主であるミステリク=カスタイルだった。

「ありがとうございます。ミステリク様の耳にまで届いているのは、どんな噂でしょうか。」

「先程、外のバルコニーで、何やら魔術の伝授をなされていたようですが、私からも、お願いがあります。」

「何でしょうか?騎士団にも何か魔術を伝授しろとでも?」

「話が早くて助かります。我々が欲しいのは、魔術ではなく、今回使用された『魔法剣マジックブレード』の製造方法です。金に糸目はつけません。実際に使用した騎士たちの評価は、とても素晴らしいの一言でしたから。」

領主の賞賛に、少し赤くなる光莉。

「別にお教えしても構わないのですが、魔法剣マジックブレードの本体である柄に埋め込まれている水晶は何とかなるにしても、水晶に刻む『言霊』はどうにもなりません。このケルンで言霊を使える人がいれば別ですが。」

「光莉君、『言霊』とは何かね。」

領主は、初めて聞く『言霊』と言う単語について質問する。

「言霊とは、すべての魔法の詠唱における最上位の詠唱です。隊長さんたちにはお話していますが、魔法の詠唱には、言霊、古代魔法文字エンシェントルーン新代魔法文字エクストラルーンの3種類があります。この3種類の詠唱は、全くの別物と認識されているようですが、古代魔法文字エンシェントルーン新代魔法文字エクストラルーンは、言霊が劣化していったモノです。言霊を自在に扱えるのは、『龍神の神子』と、『精霊の神子』、後は、『妖精の神子』くらいですね。

私が開く予定のお店には、もちろん目玉商品の一つとして置かせてもらいますよ。」

「お店ですか。ちなみにどこに開く予定ですか?」

「それを調べるのも、実力の内ですよ。それに、ケルンだけそんな高度な武器を揃えたら、他の町との軋轢が増えるだけでしょう。」

光莉の言い分に、なるほどと頷くミステリク。たしかに、ここケルンだけ、装備を充実させれば、いろいろな軋轢が生まれてくるだろう。領主である私だけにやっかみが集まればまだ何とかなるが、提供者である光莉にも当然向かってくる。売られている商品として個人が買い求めれば、それは個人の財産であり、横流しなどという考えは生まれないだろう。

「相わかった。光莉殿、公金から出すのはやめておこう。皆の者。聞いての通りだ。これらの装備が欲しければ、己の実力で手に入れろ。」

こうしてパーティーは進んでいった。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。

話の内容を、大幅に改稿しました。

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