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亡国の姫と成り上がり王  作者: 灰色のアルタ
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もう1人の王女

 しばらくして 亡きギオーレ王の居室の奥から 隠し部屋が見つかったという カイウスの知らせが入った。

一同は、ミレアムを部屋に残し その場所へと急ぐ。

そこは、何と ミレアムの居室の裏手にある 戸棚の裏だった。

「【灯台下暗し】とは、このことだな?

こんな場所に 引き離した 姫を閉じ込めていたとは」エミリオは、神妙な表情を浮かべて言う。

「どうやら………ここら一体 目くらましの結界が敷かれているみたいッスよ?

だから 誰も 部屋に入るところを見たことがなかったんじゃないッスか?」ジャンは、目を細めて 呟く。

リリアンは、今にも 部屋の中に乗り込まん勢いで 入り口を凝視していた。

けれど それを カイウスが止める。

「王女………最初に 理解していただきたい。

部屋の中で 貴女の姉上殿は、生きながらえていない可能性がある」

「わかっております……お願いです。

もし 万が一………一刻を争うのならば…ッ!」

リリアンの必死な懇願に カイウスは、息をつく。

そして ゆっくり 部屋の小口を開ける。

中に入ると そこは、不思議ね光景が広がっていた。

小さな空間であるはずが そこは、広い森のようなのだ。

「これは、まさか………すべて 幻影か?」エミリオは、中を見回しながら言う。

「そのようですね?おそらく 守護精霊が、主を守る為に 発現させているのでしょうが。

これだけ 膨大なのですから……相当 強い力を持った精霊ですよ」

カイウスの声は、震えているようだった。

リリアンは、目の前に広がる光景に興味を持ちながら 足を進めていく。

中は、どこまでも続く 空間だった。

「こんなに広いんじゃ………探しようじゃないッスよ」

ジャンは、疲れ果てたように肩を落とす。

「精霊の視せる 幻影なのなら………精霊を見つけるか 守護者を見つければいいことだ。

まぁ 危害を与える者だと判断されてしまえば 攻撃されてしまうでしょうけど」カイウスは、呆れたように言う。

「そりゃ………困るな?

精霊に攻撃されれば 俺達は、狙い撃ちじゃないか」

エミリオは、困ったように リリアンを守るようにあたりを見回す。

「じゃあ………テキじゃないっていう ショウコは?」

「証拠はないが………」

エミリオは、ハッとしたように 目を大きく見開く。

カイウス達も、その声に気が付いて 見回す。

すると リリアンが、上を指差した。

その指先には、小柄な銀髪の少女が、木の枝に座っている。

手足は棒のように細く どう見ても 10才にも満たない子供にしか見えない。

「あなたは………」

リリアンは、息をのんだ。

「アタシ ナマエ ナイわ。

だって………ヨばれたことがナイから」

少女は、クスクスと笑う。

その仕草は、ミレアムの微笑みに似ていた。

「あたくしは、リリアン。

あなたの妹なの」

リリアンの言葉に 少女は、イモウト?と 小首をかしげる。

「イモウトって なぁに?

何か 楽しいこと?」

「あたくしとあなたが、家族だということです」

リリアンの丁寧な言葉に 少女は、瞳を輝かせた。

「カゾク?!知ってるよ?

それって ずっと イッショにいれることなんでしょう?」

少女は、そう言って 木から飛び降りてきた。

リリアンは、危ない と 駆け寄ろうとしたが 見えない何かに 守られる形で 地面に着地する。

近くで見る 少女は、ふわふわのウェーブのかかった 銀髪の少女だった。

素足は傷だらけで 服装も、王家のものとは思えないほど 質素なもの。

「あなたをここから出そうと思っているのです。

一緒に 会っていただきたい人がいて」

リリアンは、この屈託のない 無垢な姉と心を病んだ 母を引き合わせたかった。

エミリオ達も、その思いを感じ取り 頷き合う。

「ダレとアうの?

アいたいなぁ?」少女は、嬉しそうに笑う。

それは、真冬から一気に 春へと変えてしまいそうな 暖かい微笑みだった。

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