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亡国の姫と成り上がり王  作者: 灰色のアルタ
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誓いの言葉


 リリアンは、カイウスの出て行った 扉を見つめて 不安そうな顔になっている。

「王女………俺達は、貴女がギオーレの王族といえど その命を脅かすつもりはない。

俺達が憎んでいたのは、戦争を引き起こしていた原因であって 貴女達も犠牲者と分かった今 処刑する意味がないのだから……」

「王?そんな風に もったいぶらずに はっきり言っちゃえばいいんじゃないか?」

エミリオの言葉を遮るように ベリンダがクスクスと、笑う。

「余計なことをするなッ!

カイウスもそうだが お前達は、俺のことをなんだと思っているんだ?」

「「見た目は百戦錬磨の女たらしだが 霊愛経験のほとんどない 純情少年のような大男」」

ベリンダとジャンの断言に エミリオは、眉間に青筋を立てる。

リリアンとチェルシーは、どうすればいいのか オロオロするしかない。

「いいのか?

さっきから………王女が、困り果てているようだが。

早いところ 言っちゃった方がいいんじゃないか?

じゃないと………カイが戻ってきて 余計に肩身が狭くなるんだからな」ベリンダは、茶化すように言う。

「くそッ!笑うんじゃねぇよ!!」

エミリオは、なぜか 顔が赤くなっていた。

だが リリアンと目が合うと 真剣な表情になる。

そして 目の前で膝をついて 利き手を前に差し出した。

「ギオーレ王国 リリアン王女………生涯 貴女を守ることを神と精霊の名の元に誓う。

どうか この手を取ってほしい」

その言葉と仕草は、世界で共通の求愛の言葉。

リリアンは、まるで 全身の熱が頬に集まってくるような気分になる。

エミリオは、まじめな顔をして 返事を待っていた。

リリアンは、深呼吸してから 手袋を脱ぐ。

そして その細い手を、エミリオの手に添える。

「ギオーレの最後の王族として あなたのお側にいることを 髪と精霊の名の元に 誓います」

リリアンの言葉に エミリオは、嬉しそうに笑う。

そして 彼女を包み込むように抱きしめる。

すると まるで 何かに祝福されたかのように 頭上から、星のように輝く 水色の花びらが、舞う。

「これは、一体……」

「初めて見る 花だな。

青い花か………」

リリアンとエミリオは、不思議そうに 見上げる。

ベリンダとジャンも、顔を見合わせているようなので 初めて見る光景のようだ。

「フフフ………神と精霊に誓って 【青い花(神と精霊の祝福)】が、舞い落ちるのは、互いの心が通じ合っている証拠。

懐かしい………あの人と誓いの言葉を交わした時も、こうやって 舞い落ちてきた。

リリィ?貴女だけでも 幸せになってね?」

「お母様?!今 あたくしのことを言って下さったのですか?」

リリアンは、母の言葉に反応して ベッドにすがりつく。

けれど ミレアムは、目を閉じて 寝息を立てていた。

「きっと お母上は、貴女のことを想っていた。

お母上の願い通り 幸せになろう」

エミリオは、そう言って リリアンの肩に手を置く。

「はい……よろしくお願いします」

その間 【青い花(神と精霊の祝福)】は、舞い続けていた。

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