表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百円玉の記憶  作者: 仙道 神明


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/11

第5話「小さな変化、大きな日常」

平成になって間もなく、世の中に“消費税”という新しい風が吹いた。


世間は「たかが数円」と笑う声もあったが、ぼくにとっては大きな変化だった。

百円玉はもう“完全な一人役者”ではなくなったのだ。


それまで、ぼくは一枚で飲み物を買える存在だった。自販機の投入口に、軽やかに滑り込む。

それだけで、缶コーヒーは落ちてきた。


だがある日を境に、ぼくは必ず小さな仲間と一緒になった。


十円玉。


「お前一人じゃ、もう買えないんだぜ」


そんなことを言われた気がして、ぼくは黙り込んだ。かつては一人でゴールできた自販機のスロープも、今は必ずその子と肩を並べて走るようになった。


ある日、自販機の前で財布をまさぐる人たち。


「あ、あと十円足りない…」


そう呟いて、買うのをやめる人もいた。ほんの少しの金額なのに、その少しが届かない。


時代は変わった。


ぼくは一枚では、もう役に立てない存在になったのか。


いや違う、人々は確かにぼくを使い続けた。

「あとちょっと」の希望を託すように、ぼくを仲間と重ねて差し出した。


小さな変化は、やがて大きな日常になった。

それを受け入れながらも、ぼくは心のどこかで願っていた。


もう一度、あの頃のように、一人で誰かの役に立ちたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ