第67話 パソコンに検索機能が追加された!
「お風呂あがったよ」
「おかえりなさい。……さっきはごめんね。せっかく気を遣ってくれたのに」
部屋へ戻ると、エルルはベッドで申し訳なさそうにしょんぼりしていた。
一人になったことで冷静さを取り戻したのかもしれない。
「いや、俺の方こそごめんな。実は、女の子と行動を共にしたことってあまりなくてさ。だから嫌なことがあったら遠慮なく言ってくれ」
「そう、なの? アサヒくんくらい優しくて優秀だったら、すごくモテそうなのに」
「あはは、ありがとな。でも本当に、女性にいい思い出はあまりないんだ」
俺、十五歳の少女に何を打ち明けてるんだろう?
そんなこと言われても困るだろ……。
そう思ったが。
エルルは嫌な顔一つせず、むしろ少しほっとした様子で微笑んでくれた。
「……そっかあ。ふふ、なんかちょっとだけアサヒくんが近くなった気がする。アサヒくん何でもできちゃうから、弱点とか欠点とかないんだろうなって思ってたから」
「いやいや、そんな超人じゃないよ俺」
なぜ嬉しそうなのかは分からないが、エルルはふわっと表情を溶かす。
そんな彼女の横顔を見て、俺も肩の力が抜けるのを感じた。
「――じゃあ、私もお風呂入ってくるね。覗いちゃだめだよ♪」
「覗かねえよ!」
「ふふ、知ってる♡」
エルルは楽しそうにこちらに笑顔を向け、それからお風呂場へと向かっていった。
揺れるしっぽが、パタパタと機嫌を表している。
――さて、今のうちにレポートでも書くか。
今日もいろんなことがあったしな。
そういや、フォーレス商店でもらった食材も整理しないと。
【アイテムボックス】につっこんだままだ。
俺は【ポータブルハウス】へインハウスし、この間特典としてもらった冷蔵庫に食材を入れ直した。
ちなみに【アイテムボックス】は、時間の流れが緩やかではあるが、今のところ時間を止められるわけではないようで。
試しに入れていた冷凍フルーツは溶けてしまっていた。
「うーん。【アイテムボックス】も、レベルが上がれば時間が止まったり容量が増えたりするのかな。いつでも【ポータブルハウス】が使えるわけじゃないし、せめて一日冷凍フルーツが溶けないくらいのスペックがほしい……」
そんなことを考えながらパソコンを開くと、いつの間にか画面上に検索バーが追加されていた。
先日【神の援助】のレベルを上げたことで増えたのかもしれない。
全然気づかなかった……。
「何が検索できるんだろ? とりあえず今一番知りたいのは……」
俺は試しに、「アイテムボックス 機能」と打ち込んでみた。すると。
*****
【アイテムボックス】Lv.1
異空間に持ち物を収納できる、希少なアイテム。
ただし、生きたままの生物を入れることはできない。
内部の時間の流れ;外の世界の十分の一程度。
耐荷重:100キロ
広さ:【ポータブルハウス】と同程度
*****
お、おおおおおおおおおおお!
これはすごい!
ようやくアイテムの詳細が分かるようになったああああああ!!!
広さが【ポータブルハウス】と連動してたとは知らなかった。
広いのか狭いのか微妙なラインだな。まあまだレベル1だし、仕方ないか。
……いや、待てよ。
いくらレベルが上がったとはいえ、検索できる内容の範囲によってはレベルに見合わないチート機能な気がする。いってもまだレベル3だし。
「もしかして、転生時に説明しなかった埋め合わせとして実装された、とか? あの女神なら、しれっとやりかねないんだよなあ……」
だとしたら、教えてもらえなかったのは逆にラッキーだったかもしれない。
まあここまで手探りすぎて大変ではあったけど!
何をどこまで教えてくれるのかは分からないけど、これから頼りにしてるぞ。
でもまずは、アイテムとスキルの確認だな!