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第6話 エルドラドの歴史

 俺達がアカルディアに行くことを決意するとクロードさんとフローラさんは部屋を出ていった。


「みなさん私は残りますのでわからないことがありましたら何でもおっしゃってください」


 アリアちゃんがほっこりとした笑顔を向けてくる。

 こうして見ると年相応だけどさっきこの世界のことを説明してくれた時はしっかりしていてさすが副艦長って感じだったな。


「アリアちゃん⋯⋯それじゃあお姉ちゃんから1ついいかな?」

「はい。何でしょうか?」


 そう言ってコト姉はアリアちゃんの後ろに回る。


「アリアちゃんって⋯⋯ホントォォォに可愛いね!」


 そして背後からアリアちゃんを抱きしめた。


「えっ? えっ?」

「アリアちゃんこの船の副艦長をしているなんてえらいね~」


 アリアちゃんは自分が何をされたのか理解できていないようだ。「はわわ」と声を出して混乱しているぞ。

 だが俺は身内の行動に対してさすがに申し訳ないと思ってアリアちゃんからコト姉を引き離す。


「ごめんね。コト姉は可愛いものに目がなくて」

「かわいい!? 私が!?」


 あれ? アリアちゃんの顔が真っ赤になっちゃったよ。あまり可愛いとか言われなれてないのかな?


「けどアリアちゃんが何しても良いって言うからお姉ちゃんは⋯⋯」

「ち、違います! そんなこと言ってませんよ」


 確かにアリアちゃんは何してもいいなんて言ってない。どうやらコト姉の脳内で都合のいいように変換されたようだ。


「アリアちゃんごめんね」


 コト姉は両手を合わせウインクをしながら謝罪する。

 初対面の人にいきなり抱きつかれたら驚くよな。アリアちゃん怒っていないといいけど――。


「いえ、突然のことでビックリしただけです⋯⋯こうやって抱きしめられるの初めてで⋯⋯」


 えっ? もしかしてアリアちゃんは親がいないのかな? これ以上聞いてもいいのか躊躇うぞ。


「そっか⋯⋯それじゃあもしお姉ちゃんにギュッとしてほしかったらいつても言ってね」

「その時があれば⋯⋯て私初対面の人に何を言ってるんですかね」


 初対面で抱きつくコト姉の方が問題あると突っ込みたかったが場の空気を壊さないためにも俺は口を閉じることにする。


「⋯⋯それじゃあ僕からいいかな?」


 シュウヤが口を開きアリアちゃんに質問をする。


「僕達が元の世界に帰る方法をどうやって見つけるつもりなんだ?」


 確かにシュウヤの言うとおりだ。もし手伝えることがあるなら俺達も協力したい。


「アカルディア王都にある過去の文献を調べたり、世界各地にある遺跡を調査するつもりです」

「それで元の世界に帰る方法が見つかるのですか?」


 シュウヤの疑問はもっともだ。17年前に救世主が元の世界に戻ったというわりに今までその方法が見つかっていないのだから。


「僕は早くカノンの所へ⋯⋯元の世界に戻りたいんだ!」


 シュウヤの叫ぶような声が部屋に響き渡る。やはりシュウヤは地球に残したカノンちゃんのことが心配なんだ。両親がいないからシュウヤがいなければカノンちゃんは一人ぼっちになってしまう。


「シュウヤ⋯⋯カノンちゃんのことは父さんと母さんが何とかしてくれるはずだ」


 シュウヤの家とうちは家族ぐるみの付き合いがある。もしシュウヤが家に帰って来なければカノンちゃんはうちに電話するはず。そして1人のカノンちゃんを父さんと母さんが放っておくとは思えない。


「そうだね⋯⋯アリアさん声を荒げてすみません」

「いえ⋯⋯こちらも情報を提示できず申し訳ありません。後は救世主様と戦った英雄の方々なら何か知っているかもしれませんが⋯⋯」


 シュウヤはイライラしているな。無理もない⋯⋯いくら父さん達がいるとわかっていても病気の妹に会えないのは辛いのだろう。だが俺もその気持ちはわかる。ユズと別れてまだ数時間しか経っていないが俺も無性にユズに会いたくなってきた。

 そしてこれはおそらくだがさっきコト姉がアリアちゃんに抱きついたのはこの世界に来てから塞ぎ込んでいたシュウヤのために少しでも場を和ませるためにやったのだろう。いくら可愛いもの好きのコト姉でも理由もなく初対面の人に抱きつくことはしないはずだ⋯⋯たぶん。


「じゃあ次はプラーナと魔力について教えてくれよ。その⋯⋯精霊機に乗るために必要なんだろ?」

「は、はい」


 俺はこれ以上元の世界に帰る方法の話しても不毛だと思い話題を変えることにする。


「え~と精霊機を動かすためにはまずプラーナが必要となります。特に32機の真正の精霊機は膨大なプラーナが必要で選ばれた人じゃないと動かすことができません」


 選ばれた人か⋯⋯中々男心をくすぐる言葉だな。


「そして魔力は武器を使用する時に必要となります」

「ガルガッドが使っていたライフルのような奴か⋯⋯あれは凄い威力だったな」


 地面とか岩を簡単に破壊していたからな。


「そして魔力にはそれぞれ属性があってリウトさん達にも何かしらの力があると思いますよ」

「ちなみにアリアちゃんも魔力を持っているの?」

「はい⋯⋯私の属性はこれです」


 そう言ってアリアちゃんは胸ポケットにあるペンを取り出し手に持つ。


「レビテーション」


 アリアちゃんが言葉を紡ぐとペンがふわふわと空中へと浮かび上がる。


「ペンが浮いているよ!」

「すごいねアリアちゃん!」


 俺とコト姉は目の前の出来事に称賛の言葉を贈る。口には出していなかったがシュウヤもペンが舞う姿を見て驚きの表情を浮かべていた。


「えへへ⋯⋯ありがとうございます。けど皆さんも属性が分かればその属性に合った魔法を使えると思いますよ」

「それは楽しみだ」

「まさかこの年になって魔法少女の夢が叶うなんて」


 コト姉の夢は魔法少女だったんかい!

 まあけどその気持ちはわかるけどな。男だったら1度は魔法を使って敵を一掃する⋯⋯そんな夢を見るのは当然だろう。


 コンコン


 そして俺達はアリアちゃんに魔法の話を聞いていると不意にドアがノックされる。


「フローラです。そろそろ王都に到着するので下船の準備を」


 王都? アカルディアの首都に着いたのか。

 どんな所か期待半分不安半分の気持ちでいたがまさかこの後とんでもないことが起きるなんて今の俺には想像することが出来なかった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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