表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

6


 苦しいですよ。

 だれが自分であるのか、自分がだれであるのか、わからなくなっていたのです。


 私とあなたは、コミュニケーションを取ることが極めて困難であったからこそ、あえて隣にいられたというものだったのでしょう。

 読み書きができることは、目標であって理想であって目的であって憧れであって、ずっと羨んで努力していたものです。

 欲しくてほしくて堪らなかったものです。


 それなのに近付いて来ると怖くてならないのでした。

 あなたと会話することが、かえってできなくなってしまうような気がするのです。

 できるようになった途端に、してはいけないことに変わってしまうような、不思議な恐怖が私の中から消えなかったのでした。

 改めて目標を持ちなおすのも、どこか怖かったのです。


 アイデンティティーが損なわれていくようでした。

 そうして狂って、狂って、あなたに近付いてしまったらば、大切なあなたを傷付けてしまうのでしょう。

 僕の鋭利な言葉で、きっと。


 間を挟まなくても、直接で会話ができるようになってしまうのですから、夢の筆談ができるようになってしまうのですから、その中で私はあなたを傷付けるに決まっていました。

 心を刺し抉るためにあるような、惨い鋭利な言葉しか、私は僕は持っていないのです。

 私というものを失っているから、さらにひどいのでした。


 こうして私は苦しむばかり。

 そうして僕は苦しめるばかり。

 自分が何者であるかもわからない。

 言い表そうとするから、わからなくて、辛いのでしょうよ、あぁ。


 こんなことなら、いっそ言葉なんて……。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ