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春、彼女は。
「22歳の高校2年生って、どう思う?」
周りの高校生に、尋ねてみたい気持ちをぐっとこらえる。
春。桜吹雪が舞う季節。
自分よりも7歳下の高校生に混じることなんて、考えたこともなかった。
高校生なので、もちろん制服。
お世辞にも優等生とは言えない私がひざ下5cmのスカートを履くほど緊張している。
・・・・・帰りたい。
まだ、始まってすらいないけれど。
あの時みたいに何かをやらかしたわけでも、人様に迷惑をかけた訳でもない。
私は、今、高校の制服を着て、校門に立っている。
どうしてこうなったのか自分でもよく分からない。
ただ、分かるのは。
私が7年分の記憶を失っていると言うことだけ。
そして、二度と受けたくないと思っていた高校受験をもう一度受けることになった事実があるだけだ。