9Vの味(三十と一夜の短篇第28回)
9Vの味は炭酸のようだ。
弾ける泡の刺激が舌に走る。
熱帯夜のパーティーで、目隠しした僕の舌に9V電池を当てたのは君だったね。笑いながらサイダーを飲む君に、僕は9Vの炭酸を舐めさせた。この偽の炭酸が馴れ初めになるとは思わなかった。サイダーが最後の間接キスになることも。
たったひと夏の甘酸っぱい日々、ピリリと痛む思い出は9Vでは済まない。御影石の前にサイダーを置き、松葉杖を抱えて、僕はそっと手を合わせた。
9Vの味は炭酸のようだ。
弾ける泡の刺激が舌に走る。
熱帯夜のパーティーで、目隠しした僕の舌に9V電池を当てたのは君だったね。笑いながらサイダーを飲む君に、僕は9Vの炭酸を舐めさせた。この偽の炭酸が馴れ初めになるとは思わなかった。サイダーが最後の間接キスになることも。
たったひと夏の甘酸っぱい日々、ピリリと痛む思い出は9Vでは済まない。御影石の前にサイダーを置き、松葉杖を抱えて、僕はそっと手を合わせた。
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