番外編 ~花火2~
久しぶりに旅行に行ってました。短いですが更新です!
「ようやく終わった…」
何が終わったと思う?書類の山をじゃなくて部屋の掃除なんだけどね。
「まさかこんなにびしゃびしゃになるなんて…」
セレスはぐっしょりと濡れた書類を紐にくくりつけ、一枚一枚干しながらそう呟いた。
急激に冷やされた空気は凍結し氷に、それを一気に溶かしたのだから案の定水蒸気で紙の書類はぐっしょりと濡れてしまっていた。
「さらに仕事を増やした感じっす…」
ジャスティンは濡れてしまった床を拭きながらそうぼやく。
「クリーンの魔法じゃ埃とかは取れても水は吸い取れないって欠陥すぎるよー」
パトラはジャスティンが絞った水をカナンとバケツリレーしながら掃除をしていた。
「書類もこんなだし、書類整理は明日にしようか、とりあえずそろそろ予定された時間みたいだしちゃんと装備してから出るぞ」
「「「「はい」」」」
鎧をそれぞれ着終わると私達は祭りの灯りで賑わう街に繰り出した。
辺りからは屋台のいい匂いや、人々がいつになく楽しそうに笑う声が、熱帯夜の夜を色付けていく。
祭り飾りのおかげか夜なのに随分と明るい。
横を楽しそうにはしゃぎながら子供たちが駆け抜けていく。
「いいなぁ… 私も遊びたかったなぁ…」
ふてくされながら歩くパトラはキラキラと輝く街をうらやましそうに見てはため息を吐いている。
「俺達が街の安全を守ってるからこういったこともできるんだぞ、さっきからため息ばかり…」
「むー… カナンだって食い入るように屋台のチラシ見てたじゃん!」
「なっ!? み、見てなんかいないっ!」
「あそこの屋台のマローソンタン?って料理気になってたじゃん」
「何を言ってるんだ!あそこの屋台がやってるのはマルゲリータという異世界の料理だ!」
「カナン熱心に見てたんじゃないっすか」
「!!」
「まぁまぁ、さっき確認したら少しくらいなら買ってもいいらしいからさ、始まる前に買ってくるよ」
「本当ですか隊長!! 聞いたか!!全力で今日は警護任務をこなすぞ!!」
「本当にカナンさんは料理のことになると燃えるんですね…」
セレスは苦笑いしながら、ポケットから可愛らしい財布を取り出し、いくら入ってるかを確認していた。
その目はキラキラとしていたので、隠していてもセレスは楽しそうにしているのが丸わかりだった。
「それじゃあまずは…あそこにある店とあの店も押さえときたいな… あっちにある店もなかなか…」
「待った!待った!多すぎる!少しじゃないじゃないか…」
カナンは食べれるとわかってからなのかテンションががらりと変わってしまった。
「そんなに多くも行けないからな!1つに絞ってくれ」
「そんなっ!?!?」
絶望を垣間見たような表情をするカナン、そんなに食べたかったのか!?
散々カナンが悩みに悩んだ挙句一つに絞ったのはカキ氷なるものだった。
魔法で作り出した氷を細かく粉砕し、甘いシロップをかけた異世界の食べ物だ。
今日の屋台に並んでいるのはこういった異世界の料理がほとんどである。
なんでも宝石商ドワール=エドマンの強い要望により、今回こういった異国の料理を再現しているのだそうだ。
「わっ!冷たい!」
「氷なんだから当たり前でしょう…」
パトラは初めて食べるカキ氷に驚きを隠せないでいた。
「ひんやりと頭が冷えていくっすよー」
「美味い!美味いぞ!!これなら何杯でもいけるんじゃないか?」
「も、もう食べ終わったんですか… あまり食べすぎると体調悪くしますよ…」
まるで違うものを食べているのかと思うくらいにカナンの食べっぷりはすごく、周囲から歓声が上がる。
「すげぇぜ!あんな冷たいものを口にかっ込むなんて長髪のあんちゃんやるねぇ!!」
「アンタの食べっぷりが気に入ったぜ!こいつはサービスだ!持っていけ!!」
「ほむとですか!! ありがとうございます!!」
再び屋台の男性から二杯目を渡され、カナンは迷いもせず口にかきこんでいく。
「お、おい、カナンの食べっぷりを見て人がどんどんここに集まってきてるっすよ!!」
気が付くと私達の周りには騒ぎを聞きつけた人々が何事かと集まってき始めていた。
「そろそろ行こう、人もだいぶ増え始めてきたからね」




