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魔法力0の騎士 作者:犬威

第1章 ガルディア都市

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主人公は魔法が使えない1

初めまして。犬威と申します。
こちらはもともと書いていた「魔法力0の騎士(R18)」の残酷描写を軽減した内容になっています。
詳しい戦闘描写などが気になる方は18歳以上の方のみですが、ノクターンノベルズにも掲載していますのでよろしくお願いします。
挿絵(By みてみん)

燃える街並み、(とどろ)く悲鳴の声、人混(ひとご)みをかき分けて逃げる人達。

 誰もが絶望した顔をして逃げている。

 この街はそんなに大きい街ではない、急いで逃げなければあっという間に炎に飲み込まれてしまうだろう。


「た…… 助けてくれ!」「嫌だ! こんな所で死にたくない」「まだ子供が中に…… お願い離して!!」



 そんな阿鼻叫喚の声がいたるところで聞こえてくる。

 周りの人達は我先にと人を押しのけて、火の手の廻っていない街の外へ出ようとしている。

 その後ろからは、剣を持った騎士の恰好をしたような男達が人を切りながら追ってきている。

 そう…… この街は戦争の渦中(かちゅう)に巻き込まれていたのである。

 あんなにも綺麗だった街並みは見るも無残に燃やされ、多くの血が流れていた。

 ここも安全ではない、早いうちに街から出て近くの街に避難しなければならないのだと誰もが考えるが、街の二か所あるうち一つの出口のほうはすでに敵の兵によって封鎖されているらしく、進行が(とどこお)っている。


 後ろを確認するともうすでに見える距離にまで騎士の男達が(せま)ってきていた。

 そこに敵のとは違う鎧を着た男が、剣と盾を持ち立ち向かって行くのが見えた。

 こんな緊迫した状況なのに私はその男の後を追わずにはいられなかった。
 まだ燃えていない家の壁に隠れるように私は様子を見に行く。


 シルバーと青い鎧を着ていた男は、敵の騎士5人を相手取り、互角以上の戦いをしていた。

 はたから見てもその青い鎧の男は強いことがわかった。 

 五人の攻撃を盾でさばいて的確に切り伏せていく、その姿は幼いながらも見ていて圧倒的だったといえる。


 五人を倒し、さらに追ってきた騎士を倒していく。 しかし、次に現れた敵の騎士は今までの騎士とは圧倒的に違っていた。

 血で染まったのか赤いフルプレートを着た槍を(たずさ)えた騎士は、青い鎧の男の攻撃を確実に躱して傷をつけていく、一方青い鎧の男は体に違和感があるのかさっきまでの動きとは違い、息を荒くして攻撃をくらっているではないか。


 このままでは確実に殺されてしまう、それを青い鎧の男は(さと)ったのか、敵の騎士に叫んでいた。


「お願いだ!! 関係のない人々を切るのは止めてくれないか! この街はアンタ達になんかしたことがあったのか! この街の物はすべてやるから、街の人達だけでも逃がしてあげてくれ!」

「それだけでは足らんな」

「どうしてだ! 戦争はもう決着がついたじゃないか! 私たちの負けだ! 私の…… 私の命で引いてもらえるというなら、喜んでこの命差し出そう」

「そうか、それなら話を飲もうじゃないか」


 その刹那(せつな)、青い鎧の男の首が飛んだ。
 恐怖のせいなのか視界が明滅(めいめつ)し、動機も激しくなってる感じもする。


「お……


 ■ ■ ■ ■ ■



「また…… この夢をみてしまったか……」

 自分のベッドから降り、洗面台がある風呂場まで長い廊下を歩いていく。

 洗面台にたどり着き、顔を洗おうと鏡で自分の顔を確認する。

「……ひどく疲れた顔してるな」


 髪を下ろしていると女性に間違えられそうな私は、金色の髪を後ろに結んで顔を洗う。 今日はあの夢をみたせいかひどく疲れた顔をしていた。

 かけてあった清潔なタオルで顔を拭き、さっき見た夢を内容を再び考える。


「昔からよく見る夢だが…… 実際に体験した気分になるのがきついな……」


 決していい夢の内容ではない、あの夢は起きた今でも鮮明に覚えている。

 私、 アリア=シュタイン は昔からこの夢をよく見ていた。


 八歳を過ぎたあたりだろうか、年に1~2回の頻度で見る夢。 十九歳になった今でも見続けている。


 毎回同じシーンの繰り返し、まるで忘れることを許してくれない夢のようで私はこの夢がとても怖くてしかたがない……


 ふと考えていると廊下からパタパタとこちらに向かって走ってくる音が聞こえる。

 ドアが遠慮(えんりょ)がちに開かれる。


「アリア様急に居なくなってしまうと困りますよ! 探していたんですから!」


 洗面所に入ってきたのは昔から面倒を見てくれていた褐色肌のエルフ、メイドのフリーシアさんだ。

 髪はショートの黒髪で、前髪をピンでとめていて、ロングドレスのヴィクトリアンメイドがよく似合う女性だ。 この世界には様々な種族がいてフリーシアさんは褐色のエルフの女性だ。

そんな私はエルフではなくヒューマンという種族である。

 ただ普通のヒューマンにしては身長が高いということもあり、フリーシアさんを見下ろす形になっているのだが。


「お、おはようございます、フリーシアさん」

「うん、おはようございます。 よかった見つかって」


 フリーシアさんはほっとしたのかホーと息を吐き、大きな胸をなでおろす。
 その垂れ目がちな瞳が安堵の為か少し細くなる。

 エルフはスレンダーな女性が多いのだが、フリーシアさんはどちらかといえば大きい部類に入る方なので、目のやり場にとても困る。

 そして話から察するに、自分のいる部屋に私がいなくて慌てて探しに来てくれたのだろう。
 私の家は世間一般にいう貴族の家にあたる。

 それなりに大きな屋敷で暮らしていて、父、アルバラン=シュタインと再婚した母、ミラ=シュタインそしてその母の連れ子で私の妹にあたる、セレス=シュタインの四人で主に生活をしている。

 昔からのメイドのフリーシアさんと調理担当のノイトラさん、父の秘書のテオと色々とこの屋敷には使用人は多くいるけど、常にいるのはフリーシアさんだけなのだ。


「着替えましたら朝食の準備はもうできていますので、お早めにおこしくださいね」

「ありがとう。 着替えたらすぐに行きますね」

「それではまた」


 朝はなにかとやることが多く大変そうなフリーシアさんは、大きな胸を揺らしながらパタパタとまた廊下に出て行った。


「あんな夢みたからって落ち込まず今日は切り替えていかないとな」


 着替えをすませ、朝食が用意されている一階へ降りていく。


「あ、おはようございます。 お兄様」


 ちょうど部屋から出てきた妹 セレス=シュタインと会った。


「おはよう、セレス」


 セレスは母、ミラ=シュタインの連れ子で本当の妹ではないのだが、十年間一緒だったこともありお互い自然と打ち解けて、いまでは確かな信頼関係を築いていると思っている。

 セレスの種族はドラゴニア、ドラゴン族ではなくほぼヒューマンに近い竜人と呼ばれる珍しい種族だ。
 見た目もほとんどヒューマンに近く、銀髪にウェーブをかけたセミロングで角は小さいのでほとんど髪に隠れていて見えない。

 身長はフリーシアさんよりも低く、スレンダーな体型をしている。

 そして今日の服装は清潔感のある白のニットに青いスカートである。


 世間一般からみたらやはりセレスはお嬢様と呼ばれても仕方ないのかもな。


「お兄様、少し疲れているお顔をしていますよ?」

「ああ、またあの夢を見てしまってね……」


 セレスにもこの夢の話は何度もしてきていた。 そのたびに私を心配してくれているのであまりこの話をしたくはないのだが、嘘をついてもセレスには何故かわかってしまうのである。


「最近見なくなったからもうないものだとばかり……」

「大丈夫だよ。 気にしてはいないさ」


 こういった時は不安がらせないためにも頭を撫でてごまかしている。
 いらない心配はさせるべきではない。


「うぅ私はお兄様を心配して……」

「父様も母様も先に待っていると思うから急ごうか」

「……えぇ」
定期的な更新ができるようにしていきます。
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