俺は鎧だった。
「自分が何者かわからない?」
「ああ」
「そしてまだ目が覚めてからすぐだから寝かせてほしいと?」
「ああ」
「そんな話真に受けると思うか?」
「ああ、ん?待て石を持つな」
「信じられんな、自分がわからないだと?」
「だから何度もそう言っているじゃないか」
わなわなと震える少女。なんでこの子こんな喋り方なんだろ。疲れないのかな。
「馬鹿を言うな!!」
「だから石を投げるなって、俺疲れてるんだからいい加減にしてくんないと怒るよ?」
「いい加減にするのは貴様の方だ!その鎧の意味さえわからないのか!」
「え、鎧?」
あ、ほんとだ俺鎧着てる。
寝起きすぐで分からなかったが俺はどうやら鎧を着ていたそうだ。確かにさっきガンッ!って聞こえたもんな。
「その鎧を今すぐ脱げ愚か者!」
「お、おう」
何でこんなに怒ってるんだろう?とりあえず脱ごう。
「・・・ん?」
「どうした、早く脱げ!」
「いやあの、脱げない」
「は?」
「脱げないの。え、これどうなってんの?」
不思議なことに鎧が脱げない。というより鎧そのものが俺のような感覚がある。
少女は今にも石を投げそうな目でこちらを見ている。
「ほんと!ほんとに脱げないの!脱がしてみ!?」