第7話 森の中での戦闘
昼飯を食べちょっとゆっくりしてから、
まずは防具を揃えようと、防具屋に行った。
武器も防具もこの白い細腕を見るに、ごっついのはもてそうにない。
武器は今もっているナイフ以上は扱える自信がなかったので、あきらめた。
防具は、軽いのならなんとか持てるかもしれないので、探してみると、小さな木の盾があるのを見つけた。
持ってみると、重さも何とかなりそう、
何とか使えそうだ。
残りは皮で出来た比較的軽い胸当てと、革のブーツだけ、何とか装備できそうだった。
他にも全身を覆うフルプレートや、兜もあったが、動けなかった。
なんかいろいろと弱体化してない?
ヌルさんこれ不具合?
なんかの嫌がらせ?
と思ったが、しょうがない。
盾と胸当て、ブーツで銀貨3枚だった。
防具屋のおじちゃんは心配そうにしており、
僕が「大丈夫、大丈夫、なんとかなるよ」というと、「嬢ちゃんちょっとまってな」と店の奥に入った。
しばらくして店の奥から出てくると、革の籠手を持ってきてくれた。
「盾と逆の腕にこれをつけときな。
嬢ちゃんが危なっかしいからこれはサービスだ。」
これには感激した。
つけてみるとぴったりで、奥で調節してくれていたようだ。
ほんとにこの村の人たちは暖かい人達が多い。
きっと、この村の守神ハル様も暖かい神様なんだろうなと思った。
「ありがとうございます!助かります!」
「いいってことよ!嬢ちゃんも無理すんなよ!」
「ありがとう!行ってきます!」
まるで、子供を送り出すように手を振ってくれた。
新品の防具を身に付け、道具屋で買ったバッグパックに食料と水筒を入れ、ハル様の社に向かう。
ぱっと見、ピクニックに向かう少女にも見えるだろうが、本人は本気なのだ。
村からでる以上、モンスターとの遭遇は避けられない。
生きるか死ぬかの世界なのだ。
「よしっ!行こう!」と雅は村を出た。
ハル様の社は、川から直角に行くとある、山の麓にあるらしい、どこも直線なので、迷うことはないらしいが、麓につくまでに森を越えなければならない。
森では、モンスターがでるので、村の者もあまり近づけないそうだ。
雅はそのまま歩いて行き、
森の入り口までは運良くモンスターと遭遇しなかった。
森に入り、少し進むとギルドで教えてもらった薬草が生えていた。
ラッキーと思い、薬草を採取していると、奥でゴソゴソと草むらになにか物音がする。
ばっとその場から離れると、ズィーと青いジェル状の物が明らかにこちらに向かってくる。
あ!これがスライムなんだ!
雅は嬉しくなった半分、恐怖した。
こちらに向かう道筋の中の雑草が溶けていたのだ。
これはやばい!
てか戦いたくない!
と思った雅は全速力で逃げ出した。
スライム自体移動速度はそこまで早くなく、なんとか逃げれそうだ。
雅は走りながらスライムを確認し、ホッと安心した。
が、それも一瞬だった。
スライムの後ろからさらになにか追ってきている!
その何かは、スライムを追い抜き姿を現した。
緑の華奢な体、身長は130ぐらいだろうか、
手には剣と、反対側に盾。
初めて見てもすぐにわかった。
ゴブリンだ!
やばいやばい!
今度は逃げ切れないかも!
しかももう一度見ると、追ってきているゴブリンが3匹に増えている。
やばい。
追ってきているゴブリンの目には、
明らかに獲物を見る殺意が込められていた。
じわじわと追い詰められ、ゴブリンの剣が振り上げられる。
とっさに出した盾でなんとか、ゴブリンの剣を払いのけたが、次のゴブリンの剣が既に振り上げられている。
雅は剣を払いのけた時、バランスを崩し、地面に尻もちをついている体勢だった。
何とか一撃を避けようと体を反らし、持っていたナイフを振ると運良く、ゴブリンの腕に命中した。
腕に傷を受けたゴブリンに追撃し、首元にナイフを突き刺す。
初めて、モンスターを倒した。
あとの2匹は、1匹が殺されたのをみて、少し距離を置くが、引くつもりはないようで、じわじわ距離を縮めてくる。
次の瞬間棍棒をもったゴブリンが、殴りかかってきた。
剣の方も一緒に来た。
剣はやばいと、盾で防ぐが棍棒が頭に命中した。
薄れいく意識の中で、ゴブリンのいるその先に村で見た置物の獣が見えた気がするが、そのまま意識が遠のいてしまった。