第6話 ギルドについて
「僕ちゃん!僕ちゃん!」
気づくと、案内してくれた宿屋が一緒の冒険者と受付のおねえさんが心配そうな顔で、雅の顔を除き込んでいた。
後で聞くと、物陰に走って行き、こけて意識を失ったように見えたらしい。
どんな間抜けだ。
気を取り直して、書類に目を通すと、
文字の意味がわかるようになっていた。
どんなチートだ。
と思ったがありがたかった。
住所は、わからなかったので、適当に日本の東京と書いておいた。
記入し受付のお姉さんに書類を持っていくと、
「!?」
お姉さんが、驚いたような顔をしている。
「まずい!住所を適当に書きすぎたか?」
と思ったが、男というのに驚いていたようだ。
もうしょうがないよね。
住所のことを聞くと、
「そんな場所もあるんですねぇ」と軽く流してもらって助かった。
その後、ちょっとした説明があった。
簡易的なものだったが、纏めるとこんな感じだ。
・冒険者ランク
S.A.B.C.D.E.Fまでのランクがあり、Sが1番ランクが高い。
S級になると、国家戦争のキーマン程の実力者揃いのレベルらしい。
雅には程遠い世界だ。
ちなみに駆け出し冒険者の雅はFランクだ。
・冒険者カード
冒険者の身分証明書にもなる。
ランクによって色分けされてあり、
Sプラチナ.A金.B銀.C銅.D赤.E青.F緑
できるだけ周りに見えるように着用してほしいというので、腕の袖にクリップの様なもので付けた。
仕組みはどうなっているのかわからないが、
モンスターを倒すと、討伐したモンスターの種類、数が記録されるようで、記録されたカードをギルドに持っていくと討伐したモンスター種類、数によって、貨幣を支給されるようだ。
ちなみにBランク以上はいろいろ機能が増えるらしいが、なってからのお楽しみらしい。
初めは.採取クエやスライムやゴブリン、コボルトの討伐クエから始めるといいと言われた。
うん。ありがとう!僕には討伐クエ無理だわ!
雅は心の中でつぶやいた。
説明が終わると簡易的な冒険者カードを貰い、これで冒険者登録は終わりだという。
クエストというクエストはそこまでなかったが、念のため、討伐クエは避け、薬草の採取クエストだけ取っておいた。
薬草を10個採取して、銅貨2枚だそうだ。
今後の生活を考えると1日、5.60個採取しないといけないことになるが、まだ貯金があるのであせりはしなかった。
特に期日はなかったので、気が向いた時に行こうと思う。
ギルドでの登録を済まし、
市場で昼飯を食べていた。
ヌルに言われたことを思い出し、
これからどうしようか考えていた。
「1週間後にモンスターが襲って来るってなんだよぉ、、
どうすりゃいいんだよぉ、、」
現実問題1人で、コボルトも倒せない雅が、モンスターの襲撃を抑えれる訳がない。
雅は半泣きになりながらあーでもない、
こーでもないと、クエストのことを考えていた。
そんなこんな考えていると、今昼飯を食べている店に神棚があることに気付いた。
そこに飾られていたのは、狐の置物だった。
少し気になった雅は店主のおじさんに、その狐について聞いてみた。
「おじさん、あそこの置物はなんですか?」
「おっ、お嬢ちゃんよく気が付いたね。
あれはこの村の守神、ハル様だ。
昔からこの村が、モンスターに襲われないのもハル様が、いるおかげなんだ。
だから村のものはみんなこの置物をもっているのさ。」
お嬢ちゃんと呼ばれるのは、
もうしょうがないとして、さらに聞いてみた。
「へー、ハル様は姿からして、獣?魔物?なんですか?」
「ワシも村のものは見たことがないが、
言い伝えによれば、獣の耳と尻尾は生えていて人ではないが、絶世の美女だったそうな。
この置物はハル様の周りにいた動物をかたどっていると聞いているかな。
もし、気になるなら村から少し離れるが、
ハル様が祀られている社があるから、
行ってみたらどうだい?」
「そうなんだ!是非行ってみたいです!
場所教えてもらえますか?」
「いいともさ!」
そういって店主のおじさんに社の場所を教えてもらった。