第4話 情報収集
「やっと人がいる場所にきたー!」
と村に入った雅は、人に会えたのと、既に日が落ちかけていたのもあって、安心したからか嬉しくなっていた。
村の中心にはちょっとした市場のような場所があり、
少しお腹が減っていた雅は焼き鳥のような物を買った。
金貨しかもっていなかったので、
金貨を出すと、店のおばちゃんは少し驚いた表情で話しかけてきた。
「どこかの貴族の御子息かい?」
「いえいえ、ただの冒険者ですよ」
とりあえず、あやしまれないよう、冒険者を名乗っておいた。
「その年で冒険者をしてるのかい!?
大変だねー。
これサービスしてあげるからがんばりなよ!」
と焼き鳥2本と、銀貨9枚、銅貨9枚が返ってきた。
おそらく1本銅貨1枚で売っているようだ。
その歳って、幾つに見えたのだろうか、
確かに川で自分の顔を見た時は、幼い印象で、
15.6歳ぐらいに見える気がする。
「おばちゃんありがとう!」
といって焼き鳥を持って市場を見て回る。
焼き鳥のようなものを買った時に気付いたことだが、言葉は通じているようだ。
異世界に来た時の不安点でもあったが、
あっさりその不安点は解決された。
なんの肉かはわからないがとりあえず焼き鳥に食いついた。
「うまい!」
焼き鳥を食べながら、市場を見て回ると、
食べ物が多いが、武器屋、防具屋、薬屋、なんかもあるようだ、幸い宿屋らしきものもあって、入ることにした。
「すいません。一晩泊まりたいんですがいくらですか?」
店のカウンターに立っていた、おばさんはびっくりしたようで、
「僕、1人かい?
親は一緒じゃないのかい?」
やはり子供に見えるようだ。
中身は27歳のそろそろおっさんはいりつつある雅だったが、この世界では子供のような身なりだ。身長もハッキリとはわからないが、160あるかないかぐらいでだろうなと思う。
「こう見えて冒険者なので、1人ですよ」
ちょっと心配そうな顔で
「そうなのかい?若いのに苦労してるんだね」
といって、料金と店の説明をしてもらった。
一階は居酒屋、小料理屋みたいな感じで、カウンター席と、テーブル席がいくつかあり、
2階には小さい部屋が何部屋かあった。
雰囲気のいいおじさんおばさん夫婦が2人で経営していて、晩飯、朝飯付きで銀貨1枚のようだ。
部屋に入ると、ベッドにバターンと倒れ、
今日あったことを思い返していた。
「ほんとに異世界にきちゃったんだな。
お金は今はあるけど、どうやって稼ぐか考えないとな。」
そもそも、冒険者で通じたけど、冒険者の収入源ってなんなんだろう?やっぱりモンスターを倒して素材を売るとか?
いろいろ思考を巡らせていたところ、ぱっ、と思い出した。
「あの川であった金髪の女の子なんだったんだろうな。
近くで見たかったし、話しかけたかったな」
そういえば、晩御飯の時間がそろそろなので、階段を降りて1階にいく。
既にお客が入っていて賑わっていたが、雅は1人でカウンター席に座った。
店主のおじさんがこちらに気付き、料理を持ってくる。
「おう、冒険者様じゃないか。
ウチの料理は美味いからいっぱい食べなよ!」
と、またもや子供扱いされる。
ともあれ、料理は普通に美味しかった。
コンビニ弁当ばかりの雅だったが、異世界にきてまともな食生活になるとは思っていなかった。
冒険者を名乗っているので、あまり疑われないように、おじさんに話を聞くことにした。
「ここらへんのモンスターはどんなのがいますか?」
「おっ、情報収集かい、流石冒険者だね。
この付近のモンスターといえば、そんなに猛者はいないよ、いて、スライム、ゴブリン、コボルト、たまにオークがいるぐらいかな。オークには気をつけなよ」
コボルトが猛者でないことがわかった。
そのコボルトに殺されかけたとなるとこれからが、不安になる。
ましてやオークにあっていたら確実に死亡コースだっただろう。
とはいえモンスターと冒険者があるなら、たぶん冒険者の収入源の話もきけるかもしれない。
「そうなんですか、猛者がいなくて安心しました。
ちなみにモンスターの換金所はこの村にありますか?」
「モンスターの換金所?
あぁ、冒険者ギルドのことかい?
一応小さいけど、この村ににもあるよ
市場の1番奥のところがそれだよ
ともあれこんなか弱いお嬢ちゃんが.
冒険者だなんて、信じれんよ」
おお!やっぱりあった!
おじちゃんありがとう!
モンスターを倒すか倒さないかはさておき、
明日いってみよう。
そういえば、さっきからお嬢ちゃんって
やっぱり女の子にみえるのだろうか、
「ありがとうございます。
明日いってみますね。
あ、ちなみに僕、男です。」
「!?」
というと、おじさんおばさん含め、
店内が騒然としてしまった。