第3話 美形に変身
目が覚めると、雅は草原で大の字になり、倒れていた。
身体を起こすと、腕に痛みが走った。
慌てて見てみると、斬られた場所には包帯のように布切れが巻かれていた。
誰かが手当てしてくれたのだろうか?
ふと周りを見渡すが、辺りには見渡す限りの草原が広がっているだけで、周りには誰もいない。
雅はこれまで起こったことを思い出していた。
いつも通り部屋で夜食食べて、寝ると、
夢の中に美女が現れ、異世界を助けてほしいとお願いしてきた。
書類にほしい要望を書いて…
あっ!
と、そのとき書いたことを思い出した。
確か、できるだけ争いに巻き込まれたくない。
と書いた覚えがある。
先の戦闘で発動したスキル「平和主義者」は、
その要望からきているものだとこのときは気付いた。
スキルが発動した後は、気を失ってしまったので、どんな効果があったのかは謎だが、
あのコボルトのナイフで致命傷を受けてないこと考えると防御的な効果があったのかもしれない。
今考えてみると、世界を救えと言われているのに、
争いたくないとはかなり矛盾した要望を書いてしまったなと反省。
しかし、それは雅の性格上、本心からでた希望だった。
この世界での初魔物に遭遇し、死にかけた雅は、夢気分ではなくなった。
これからは、魔物にも気をつけないといけないし、今後を左右するような所はじっくり考えないといけない。
と思ったところで、じっとしているわけにも行かないので、周りを警戒しながら雅は歩きだした。
この世界のことを考えてながらも、1時間程歩くと少し大きめな川を見つけた。
ここまで結構な距離を歩いて来た雅は、喉が渇いていたのもあって、警戒しながらも川に近づいていった。
川の水を飲もうとした時、はっと、水面に映る自分の顔に驚いた。
大きな青色の瞳、肌は透き通るような白色に近い、金色の髪は、前は目程の長さで、サイドとバックは肩ぐらいの長さ、スッと通った高い鼻、その整った顔は、男の顔というよりは、女の顔に近い。
どういう訳か、体も顔も前の世界のそれとは、全くかわっていた。
暫く自分の顔に見惚れていた雅だったが、
どこからか、視線を感じた。
周りを見渡すと、川の向こう側に女性が1人、こちらを見ていた。
少し遠くてハッキリとは見えないが、
金色の長い髪、胸と腰に服とはよびがたい、布を巻いている。
ハッキリとは見えないが、頭の中に耳?のようなものと、腰布から尻尾のようなものが見えた気がした。
話しかけようとおもったが、川を越えて女性のいる方に行こうと思ったが、いかんせん、大きい川で渡るすべがない。
女性は、こちらが気づいたのに気づいたのか、そそくさと、森の中に消えてしまった。
なんでこっちを見てたんだろう?
とは思ったものの考えても答えがでなさそうなので保留にした。
川の水で喉を潤した雅は、
この川沿いに歩いたら町とかあってくれると助かるな。
先ほど襲われたことを思うと、野宿だとそのまま襲われるとほんとの夢の世界になりそうだ。
そう思いまた歩きだした。
幸運にも、また1時間程歩くと町という程でもないが、村程度の家の集まりがあるのを見つけた。
早速村に入り、探索することにした。