第2話 目覚めた世界
気がついて眠たい目をあけると、
天井が青空に変わっていた。
まだ夢を見ているのだろうか?
とりあえずもう一度寝よう、、
だめだっ!今日も仕事だった!
いつもの癖で二度寝してしまいそうになったが、思いとどまった。
ばっと身体を起こして、目覚まし時計を探す。
…が周りを確認しても目覚まし時計は見当たらなかった。
というよりも自分の部屋じゃないことに改めて気付く。
変わりに見渡す限りの草原が広がっている。
自分が寝ているベッド以外の物はない。
雅は呆然としてしまったが、まぁこれも夢なんでしょ、と軽い気持ちでベッドから出た。
すると身体に違和感を覚えた。
ん?身体が軽い?
不思議に思い、自分の身体を見ると、
白く細い四肢、さらさらで金色、肩ぐらいまでの長い髪、グレーのtシャツ、黒の半パン、皮のサンダルに、腰には、果物ナイフのようなナイフが鞘に入って巻き付けてある。
半パンのポケットに何か入っている感触を感じ、探ってみると金貨が5枚出てきた。
おおっ!まるっきし冒険者になってる!
という驚きと、身体自体が変わっていることに驚く。
心なしか、全体的に一回り小さくなった印象を受けるが、客観的に見れないので、確認するすべがないので確認は諦める。
街があったら、確認してみようと覚えておく。
やけにリアルな感覚があるので、ベタだが、
頬っぺたをつねってみる。
痛い…
まぁ、リアルぽい夢もあるでしょ、と
楽観的に考えた。
雅は元々楽観的な所があり、これが公私共にパッとしない原因だったのかもしれない。
だが、RPGゲームは小さいときから、
好きだったので、この時はここから始まるんだ!と少し浮かれていたのもあった。
折角異世界にいるのに、
1人というのも寂しいので、あてもなく進むことにした。
こんな気分であてもなく旅をしたことが、
今までになかった雅の心は舞い上がっていた。
が、そんな気分はすぐになくなった。
モンスターが現れたからだ。
草むらからばっと現れたのは、狼が二足歩行で、ナイフ持って向かってくる。
コボルトだ。
ゲームではすぐに倒せた記憶があるが、
リアルに近づいてくるコボルトをみると、
戦うという選択肢はすぐにでてこなかった。
ましてや、性格が平和主義者の雅のことだ。
和解か逃げる以外の選択肢がなかった。
走って逃げようとしたが、ビビって身体が上手くいうことを聞かない。
すぐに追いつかれ、ナイフが腕をかする。
腕から鮮血が噴き出る。
なにこれやばい
ちょーこわい
あれ、この世界夢じゃなかったの?
めっちゃ痛いやん、血でてるやん、
リアルなの?
リアルでもうゲームオーバーなの?
そんなこんなを考えてるうちに、
コボルトがとどめと言わんばかりに、
ナイフを振り上げる。
死期を悟ると走馬灯のように今までの記憶がフラッシュバックするというが、まさに今、雅はそうなっていた。
その時、この世界に来る時
書いた書類のことを思い出した。
そのときだった、
視界の下にアイコンが現れた。
スキル:平和主義者 発動