<13>魔物の群勢
「勇者様達は避難を!」
他の騎士とは身に付けている鎧の色が違う。
黄金の鎧を全身に見に纏った男が大声で叫ぶ。
王都エルディア騎士団団長バラクマゼは冷や汗をかいていた。
「団長!南門が突破されました!」
「魔族を何としても中に入れるな!北東西の守りを維持しながら南に騎士を向かわせろ!」
「了解です!!」
「何としても勇者は生かせなければ」
勇者とて、この世界に来てまだ数日。
安全に倒せる魔物と戦わせただけなので到底魔族に勝てるとは思えない。
バラクマゼは自身の剣を固く握り締め戦場へ赴いた。
* * *
宿の扉を開けて広がってきたのは、爆発によって生じた熱風と焦げ臭い匂い、火によって焼かれた家々だった。
「魔族はいないようですが...」
「遠距離からの魔法じゃないか?」
「なるほど!流石マスターです!」
メルから褒めの言葉を貰ったところで、リーラに顔を移す。
「怖くないか?」
「らいとがいるからだいじょーぶ」
顔を上げたリーラは笑顔で答えた。
「そっか」
俺も笑顔で一言返すと、王都の門へと向かうべく足を進めた。
門へと数分で辿り着いた俺達は、ボロボロになった騎士や冒険者を横目に、人目につかない所へ向かう。
「ここら辺までくれば大丈夫か」
東門と南門のちょうど間辺りまできた俺達。
門と門の間は数キロにも及ぶ長さのため見つかる事はないし、まず門の前でみんな戦ってるので、俺のとこに来る気配など微塵も感じられない。
「にしても多いな」
前を見渡す限り、真っ黒だ。
あれが全部魔物や魔族だとすると圧倒的にこちらの数が足りない。
「マスター。私に任せてください」
しかし、こちらには俺と、そのメルがいる。自分の力を過信するわけではないが、負ける気がしない。
「向こうが数ならこっちは質か。いいぞ。ちゃちゃっとやっておしまい!」
迫り来る魔物の群勢を指差すと、メルが飛び出した。
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