表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

<11>神界③

「じゃあ、まず自己紹介からしようか。僕の名前はラグリ。創造神様がいない間、この神界の最高権利者を任せられてるんだ」


「えっとー、俺はライトだ」


ラグリはさっきの俺の態度を余り気にしていないようであっさりと許してくれた。

心の広い神でよかった....


「…...」


「ちょっとクレミー。空気読まないとー」


「は、はい! わ、私の名前はクレミです。ゲルキアを担当する神です」


おぉ、クレミ様が縮こまってる。ラグリの方が身分が上だからか。

.....あれ、俺も身分上なんだけど。


ていうか、俺が見てきた神様、フレンドリーだな。まあ気さくだからこそ、普通に喋れてるんだけど。


「さ、じゃあライト君にここに来てもらった訳を話そうかな」


そう言うなり、ラグリの表情は今までの陽気な感じでは考えられない真剣な表情となった。


「ライト君は創造神だよね?創造神っていうのは、いくつもある世界を作り出し、僕ら神さえも生み出した全ての原点でもあるんだよね。その創造神の力は、ライト君はもう使ったことがあるかもしれないけど『万物を創り出す能力』なんだ。その力は余りにも強大で....僕が言いたいことはつまり、ここにずっといてくれないかな? その力を使うには君は余りにも若すぎる。--」


聞くに俺はどうやら2代目の創造神らしく、まだたったの18年しか生きてない若輩者だから、力に溺れて暴走する危険があるとのことだ。


「ーー僕らは君が創造神という事を本当に理解するまで管理下に置きたい。だからここにいてくれないかな?」


「....それはできない」


「....理由を聞いても?」


ラグリは目を細める。


「ゲルキアに俺を待ってる人がいるからな」


「そう....なら力づくで君を止めるよ?」


その瞬間、ラグリから殺気が溢れた。

近くにいたメイドはその場で倒れ、クレミ様も膝を折って床に這いつくばっている。


「ふぅーん。流石創造神だね。このくらいの殺気じゃビクともしないか」


「ま、まあな」


こ....怖い


「創造神がどこまで耐えれるか見ものだね。実はこれでも僕、前創造神ーーゼヴァス様が一番最初に作られた個体なんだ」


更に殺気が濃くなる。


「『創造』っていう魔法はね、例えば人を創り出す時、その人の力の強さとかはある程度でしか決められないんだ。それでね、僕はゼヴァス様初めての個体だから、ゼヴァス様は僕をゼヴァス様と同じくらい強く創った。意識して創ったんじゃなくて、単純に『創造』の魔法の意味を余り理解できなかったんだろうね。それからゼヴァス様は神をたくさん創ったけど、どれも僕ほど強くはしなかった」


やばいやばいやばいやばい。


「話が逸れた上に長くなったね。つまり僕は前創造神と互角の力を持つってこと。それで今の君は創造神になりたて。これがどういう意味か分かるよね?」


ラグリからありえないくらいの殺気が溢れ出た。

メイドは泡を吹き、白目を向いて気絶していた。同様にクレミ様もうつ伏せで気絶していた。


「.........」


俺は恐怖で顔を引きつらせながら、ジリジリとラグリから遠ざかるように後ろへ下がった。


「若輩者でもやっぱり創造神だね。僕の本気の殺気をもろに浴びて恐怖するくらいで済んでるんだから」


ラグリがゆっくりと近づいてくる。


やめろ。やめろやめろ。近づくな。


ラグリは足を止めない。


やめてくれ。頼むから...!


遂に目の前まで来たラグリに、俺は右手でーー


「その顔で俺に近づくなあぁぁぁああ!!!」


ーーラグリの頬を思い切り殴った。

ラグリは、「え...」とだけ言うと客間の壁を突き破って飛んで行ってしまった。


「あー、怖かった。マジで怖かった。あの怖さはトラウマレベル」


殺気がどうのこうのとか言ってたけど、何も感じなかったしなぁ。しかし殺気を出す時のアイツの顔だけは危険だな。


「......にしても酷いなこれは」


部屋の外へ出ると、通路にいた神やメイドや執事諸々が全員倒れ込んでいた。


「流石最上位の神ってところか」


ラグリの様子を見ようと、一度客間に戻ってから穴が空いた壁を歩いていく。


「あー.....宮殿の外まで行っちゃったかー」


宮殿の端まで来た俺はラグリが飛んで行った方を見ながら呟く。


追ってもいいのだが、もし意識があったらそこで襲いかかってきそうなので、クレミ様を起こそうと客間に戻った。


「クレミ様ー、おーい」


クレミ様の肩を揺すりながら起こす。


「ん....んんぅ....」


「.....エロすぎだろ」


艶のある声を出すクレミ様に、顔が赤くなっていくのが分かった。


俺も男だ。こんな声を出されて反応しないわけがない。


「......はぁ...早く起きてくれよ...」


ゲロリーなメイドと、エロリーなクレミ様を交互に見ながらため息をつく俺だった。

少しでも面白いと感じてくださればでいいので評価・ブクマよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ