うっかりしてたけど使えてたね
話し合いの末、ジーンさんが1級の魔導書を読むことになったよ。今日からうちにお泊りだって。お爺ちゃん達は研究があるから手が離せないとか。
「そういえば昨日連絡があったんだっけ?」
「ランツのやつもらしおったな・・・それは機密事項じゃ、他に言ってはならんぞ?」
「はーい」
門番さんの名前がようやく判明した!あんなに親しくしてたのに知らなかったなんて言えないよね。あはは。でも研究に手が離せなくなったってことは進展があったってことだよね?よかったよかった。
「じゃあそろそろ帰るね、本はジーンさんに選別してもらって毎日学校に運べばいいかな?」
「ある程度の量を予め判別してもらって運び込んでおけないかしら。トールくんの肉体年齢じゃ毎日は大変でしょう?」
「そうね、防犯対策としては・・・グレン、魔術講座の講義室に符術付与をお願いしてもいいかしら?」
「分かった。鍵はトールの魔力を登録すれば問題ないな?」
「お願いします」
こうして僕らは一度家に戻り、ジーンさんは本の選別、先生とウォルフくんは3級以下を別の部屋に運び込み(量が多いので選別したそばから交じることを防ぐため)、僕とグレンさんは学校に行き教えられた本の保管場所と講義室に結界の付与を行った。これで僕がいなければ持ち出せない。対策バッチリ?
「では俺は戻る、報告は・・・」
「そちらのことも気になるから私が定期的に行くわ、もちろんいい発見があればすぐに伝えに行くけれど」
「わかった、サーシャにはそう報告しておく」
「差し入れも持って行くからたまには休むように言っておいてね?みんな隈ひどすぎ!」
「・・・確約はできないな」
「とにかく言っておいて!」
まったく、責任感もあるんだろうけどみんな研究馬鹿すぎる。これは本当に定期的に行って強制的に休ませるべきか?
そこからはひたすら読書読書読書の日々。僕のように他の講義を受けていたら別だが魔術系の講義のみの人はそれこそ廃人一歩手前だった。いや、休めよ。
しかしその甲斐もあってほしい情報がいくつか手に入った。『失われた魔法』はやはり木に関する魔法だ。すくなくとも生えている植物を操る『樹木操作』という単語は確認できた。そして僕はその結果に呆然とした。
いやだってね?記憶にあるんですよね?その魔法。冷や汗をだらだらと流し始めた僕にウォルフくんが気づいてしまいました。
「トール?顔色悪いぞ?寝不足か?・・・お前まさか」
「すいませんでした」
魔術講座全員に〆られました。ジーンさんにもです。その後訓練場に行って例のニードルくん発動。魔力の流れとか、どういった感覚で使っているかとか詳しく測定されました。僕にはすでに色で見えているけどみんなには見えないから例の測定用貴水晶に手を触れたまま使ってみせたんだよ。すごく疲れた。
ついでに僕の魔力属性も測定された。前回の発芽といい、今回の樹木操作といいどう考えても関連あるでしょ。結果として今までにない属性が検出されることになった。
僕の主属性は『水』ついで『土』そしてその次に『木』と『風』。
「ステータスと違うなぁ?」
「ステータスと主属性は違うわよ?ステータスは練度で主属性は適正だもの」
ほうほう。だから今回見つかった樹木属性?はステータス表示されなかったわけか。
他の理由としては魔力量が足りなくて検出されないか、他の属性にうもれているか・・・。
「ジーンさんとジェットさんの属性ももう一度きちんと測定してみたら?」
「そうね、トールや他の人の属性も合わせたら発芽条件として足りない属性が分かりそうだわ」
そういってわかった結果をまとめたレポートの束を持ってウキウキとジーンさんはお城に戻っていった。さて次にすべきは・・・
「じゃあ他の魔法がないか更に読み進めましょうか」
くるりと後ろに振り返って僕はみんなに微笑みかけた。
え?終わりじゃないのか?何言ってるんだい?まだ1/3も読んでいないのに。
みんなだってこれで終わりじゃないと聞かされて安堵の溜息をついたどころか大歓声だよ?だって僕らは魔術講座の人間だからね!
「あ、この作業の報酬の話を忘れてたね。報酬は、この作業が終わった後なら気になった記述の本を3冊までなら1年間貸し出すっておじいちゃんと話をつけ・・・もう行っちゃったよみんな早いなぁ」




