春になりました
あけましておめでとうございます。5章を書くことにしました。それに伴い、4章までで少々書き直しがあります。ただ、国名や主人公のステータスなど本当に細かい部分なので話の流れに影響は全くありません。
春を告げる花びらが舞う中、復興の進む街をレイヴェさんに作ってもらった人数分のお弁当と、数日分の着替えを持って王宮に進む。今日から数日は泊まりこみだと連絡があったからだ。
「こんにちは~、ヴァン老師に頼まれておとどけものを持ってきました。取次をお願いしまっす!」
「トールくんこんにちは。悪いけど1番隊の人たちはさっき魔法学校に出かけちゃったんだ。荷物はこちらであずかるよ」
「入れ違い?みんな行っちゃったんだ?」
「ノルドのメラン支部から連絡があってね。例の植物の発芽についての結果が出たらしい」
「ああ、去年の夏に調べ始めて、もう冬越して春過ぎだもんね。いい結果が出てるといいけど」
ドラゴンの襲撃があったのは初夏、復興の資材集めで駆りだされたのは秋。城壁の修理が終わったのが冬直前で雪が降り始めたため街の復興自体は春になってからとなった。修理が必要な家の住人や近隣の住人はお城の災害避難室や兵士の宿舎を利用して、とにかく冬を乗り切ることに専念したといっていい。
その間、お城の研究機関は森の再生についてさんざん議論を重ね、他国にも協力を仰いで研究を重ねていたらしい。連日徹夜明けでおかしなテンションのフレイアちゃんがグロッキー状態で教えてくれた。お爺ちゃん?年には勝てないよね。帰ってくると即行でベットにダウンだよ。
僕がはじめに起こした現象だし、魔力の流れが見えるわけだから協力を申し出たんだけどロードさんに却下された。外交とか種族とかで問題があるんだって。年齢も関係してるって言ってたかな?戦争がどうのこうのっておじいちゃんと話してた。僕に対して?ダメだの一言で終わりだよ。
レイヴェさんに愚痴ったら僕は早熟だから忘れがちだけど、本来クウォーターエルフの16歳は人種で言うと2~3歳の幼児だからだろうって言われた。
善悪の付かない年齢の人間に専門の研究者がするようなことをさせると魔族側から文句言われたり(外交問題)、僕という前例を作ると他の子供達もそんなことをさせられる可能性が出てくる(犯罪予備軍)から国として、大人としてもそんなことはさせられないだろうってさ。
あ、僕冬を越して16歳になりました。誕生日が来たとかではないよ。そもそもこの世界に誕生日なんてないし。春のマナを祝う日にみんな1つ歳を数えるんだ。マナの日は地球でいうところの正月みたいなものかな?
ちなみにマナは魔力じゃなくて世界樹だよ。西の『オヴェスト』にある大きな樹でね、エストからも見えるんだよ、すごいよね。確か、南の『スッド』はプロクス山脈のせいで見えないけど、北の『ノルド』からはきちんと見えるって聞いたな。
その世界樹が春になると花が咲いて、風に乗った真っ白な花びらが各地に雪のように降るんだよ。これはスッドでも降るんだって。だから雪の代わりにマナの花びらが降り始める日をマナの日として1年の始まりにするんだ。
ん~、他に何か報告あったかな?あ、学校!
去年受けていた講義は冬の間に試験があって無事に合格したよ!これでとりあえず将来は安泰だね。今は入学するときにお爺ちゃんに相談した魔法の実験を行うために魔術系の講義を受けているよ。その他で言うと上級家事スキルコースで狩りの訓練とかかな。
魔術コースでね、なんと、僕に親友が出来ました!わーぱちぱち。名前はウォルフくん、人種の12歳。シン兄ちゃん以来の天才魔導師って今すっごく注目されているんだ。姿は耳くらいまである黒に近い焦げ茶の髪を魔道具の髪留めでまとめていてね、僕とお揃いの金茶の瞳で並ぶと兄弟みたいだねって言われるんだよ!もちろん精神年齢的に僕がお兄ちゃんだから。ちっちゃいお兄ちゃんだね(笑)って言われて沈められる被害者多数(笑)。
ユーリッツ?幼馴染ですが?え?親友?違う違う。
そのユーリッツくんは春になって旅立ちました。メリルと一緒にね。とりあえずエストを回ってから一度戻ってくるってさ。その後は南のスッドにも行くって言ってたかな。どうせなら北のノルドも行けよ。マーシャのことはねぇ、うん、笑い話なんだよね。また今度にしようかな。




