街に到着です
ようやく町に着いた主人公。はたして念願のミルクは手に入るのか!?
風が気持ちいいですね。空腹をまぎわらせるために少しお昼寝している間に空中散歩に移行していましたよ。前方の森と平野に挟まれた地点にお城と城壁に囲まれた街らしきものが見えてきました。城壁は3重構造です。お城から少し距離をおいて取り囲む1つ目の城壁、その回りに建物が一周して2つ目の城壁、さらに建物や畑があって最後の城壁に囲まれています。セオリーでいくと中心からお城、貴族・富裕層、貧民層ですかね?どうなんですか、お爺さん?
「む、起きたか?よしよし。もうすぐ家につくぞ。あそこに街が見えるじゃろ?あそこの一番外側が農民と兵士のすんでおる場所じゃ。他には畑があるの。中間は王宮勤めの貴族や職員、店を経営する商人などが住んでおる。真ん中にある一番大きな建物が王宮じゃ。王族がすんでおる他、少し開けた場所は災害時は全住民が避難し生活する、場内地下には二月はもつ保存食も備蓄されておるぞ。年に1度は保存食の交換が行われ、この時は収穫祭も合わさって盛大な祭りとなって振る舞われる。どこまで理解しとるかわからんがお前も大きくなったら参加するといい」
おお、結構実用的なつくりなんですね。身分差ではなく職業や災害対策基準とは。ここの首脳陣はかなり優秀みたいです。
よく見ると家の立地もなかなか考えられていますね。まず一番外側の城壁は東西南北にそれぞれ門があり、すぐ側には比較的大きな建物が1件、おそらく兵士の詰所でしょう。そこからしばらくは畑が広がり中間の城壁付近で家が並びます。中間の城門は東北、東南、西北、西南に1つずつです。中間の町並みは途中まで日本の城下町づくりですね。建物の見分けがつきにくく、格子状にならんでいます。内側はまるで迷路のようにいりくんだ町並みになっています。最後のお城を守る城門は南側にひとつだけですね。これは攻めいるのが大変ですよ。まず門と門が直線で結ばれていません。しかし、平時や市民の避難には不便ですね?その辺りはどうなのでしょう?いつか質問しましょう。
グリフォンは町の城門から50メートルほど離れた草地に着地し、私達を降ろした後、森に帰って行った。グリフォンはどうやら町には入れないらしい。あのもふもふがないのは寂しいが入れない以上諦めるしかない。そのうちまた呼んでもらうことにしよう。
お爺さんに抱きかかえられて城門に到着すると門の兵士さんがびっくりしていた。どうやら知り合いらしい。
「ヴァン老師、お疲れ様です。・・・あの、そちらの赤ん坊は?」
「個人的なことなのじゃが神託のあった森で1人ぼっちでおるのを見つけての、関係があるやもしれんと思って拾ってきたのじゃ。関係なくとも見ての通りの赤子。そのままにしておくわけにもいかんじゃろう?」
「赤子が森で一人!?お、親は?」
「おらなんだ。捨てられたか、はたまたモンスターに襲われ赤子を守ろうとして囮となったか・・・いずれにせよこの子をほおっておけば明日には確実にモンスターの腹の中じゃろう。実際わしが見つけた時ウルフに圧し掛かられておったわ」
「なんと・・・」
兵士さんが痛ましげな顔で覗き込んできます。お爺さんは一切嘘をついていません。見つけた時の状態と、そこから考えられる推測を述べただけです。ええ、本当は捨てられたか忘れられたかの二択なんて事実はないのですよ。きっとモンスターから守ってくれたんです。記憶にある親が僕を木のそばに寝かせたまま楽しげにふらふらーっといなくなったなんて知りません。何も切羽詰まった顔してなかったなんて言う事実は記憶から消去しました!!
「扱いを決めるまではわしのところにおいておくつもりじゃ。親がもしかしたら赤ん坊を探してここに来るやもしれんしの。その時はわしが預かっておると伝えてくれればよい」
「わかりました。念の為何人か兵を森に向かわせます。赤ん坊を見つけたのは森のどのあたりでしょうか?」
「泉の近くじゃな。数分南東に歩いたところでグリフォンを呼べるような開けた場所に出た」
「あのあたりですか。街道からは離れているし、これはちょっと・・・」
兵士さんは言葉を濁したけれど、街道から離れた場所に子供を置き去りとなると捨てた可能性が高いと判断したんだろう。まあ真実がどうかなんてあの頭がふわふわした親にしかわからない。忘れていたりわざとでないなら探しに来るだろう。そんなことよりも私はいい加減おなかがすいて我慢できなくなってきた。そろそろ泣くぞ?
「それで、納得できたのならそろそろ通行許可がほしいのじゃが・・・。この子が腹をすかせておっての?早くレイヴェのところにミルクをもらいに行きたいんじゃ」
「それはしつれ「ぐ~っ」・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「どうぞお通りください」
「うむ」
ダッテオナカスイタンダモン・・・