この世界、連絡ミスは命にかかわります。
「扱いって?」
キョトリとして答えるマーシャ。
「えっと」
「待ってください」
アルフさんの待ったがかかった。なんだろ?
「とりあえず皆さん馬車に乗ってください。ポルカに進みながら話しましょう」
ここからポルカまでは馬車であと2時間ほど。今はお昼を回って1時間。王都から4時間ほど進んだところまで来ていた。確かにここから王都に戻るという選択肢はない。ならポルカに早く着いた方が連絡鳥も借りられて対策が取りやすい。僕らは全員馬車に乗り込んだ。
「みんなここからは車酔いしている余裕はないからね。気合い入れなさい」
そこからマーシャへの質問が始まった。
前提条件とする事前情報がないためまずマーシャの現状確認。本来は家事講座を受けている。魔力が火属性しかなくて他の属性を扱えるようになるためにレベル上げを目的として初級講座に特別措置で参加中である。
そこまで確認した。
「なるほど。つまりマーシャちゃんは本来戦闘訓練を受けるつもりはなかったわけだな?で、講師もそのことを知っていると」
「はい。家事講座以外も生産系の講座ばかりです」
でも魔力アップにはモンスター討伐が一番早いからって進められて・・・。
そこまでいってマーシャは黙り込んだ。なんとなく自分のおかれた状態がまずいんだと感じているんだろう。でも、マーシャには悪いけど僕たちが問題にしているのはそこじゃないんだ。
「不味いわね」
「ええ、非常にまずいわ」
「アルフ、俺たちのことは気にするな。全速で行け!」
ダットさんがアルフさんに大声で指示を出す。その瞬間揺れとスピードがあがったたたた。
「うわぁ」
「した、したかむぅぅぅ」
ガッタンゴットンともはや揺れるどころか跳ねながら進む馬車の中でマーシャに何がまずいのか説明してあげた。ユーリッツもマーシャの動きを思いだして気付いたみたいだし。戦っている最中はそこまで気を回せなかったらしい。
「そもそもね、戦闘訓練してない冒険者なんていないわけだよ。最低限動き回れるように訓練される」
「なのにマーシャはそれができてなかった」
「つまりマーシャは講座では生徒じゃなくて依頼者扱いだったんじゃないかな?旅商人の中には戦闘はできないけど、いざというとき効果の高い魔石を使うためにレベルだけは上げるって人がいるみたいだから」
「そこまではいいんだ、今回の騒動による混乱の連絡ミスで俺らがまだフォローできる。マーシャは村への案内人という扱いにしてもいいし、俺らが戻るまでポルカに残るという選択もできる。何なら王都行きの馬車で戻れるし」
「問題は、マーシャだけが特別じゃないってこと。属性の問題で特別措置を受けている人は他にも何人もいるよね?その人たちもマーシャみたいに依頼人扱いされてたうえ、連絡ミスで今回の物資調達に参加していたとしたら・・・」
「しかも私たちと反対側、西に向かっていたら非常に危険よ。あっちのモンスターのレベルはこっちと段違いになる。もし初めての戦闘がそんなモンスターだったら・・・」
「・・・本人は即死、他も想定していた連携の穴が初めから崩れるから最悪全滅だ」
「――――!!」
マーシャの息をのむ音が聞こえた。顔色も真っ青だ。
「幸い今回の戦闘で問題に気がつけたし、あたしたちは他よりかなり早く旅だった。西は危険も多いから旅の準備に一日使うメンバーが多いの、上級がついているならなおさらね。ポルカについてから急いで鳥を飛ばせば間に合う可能性が高いわ」
マーシャのおかげで気がつけた。そう何度も言い聞かせることで精神的に落ち着かせる。
まだ顔色は悪いが大分落ち着いてきたようだ。ポルカに着いた後のことも話し合い始めた。
「おい、見えてきたぞ!ポルカだ!」
どうやら説明している間もかなり飛ばし続けたおかげで大分早くポルカに到着したようだ。




