冒険の始まりかもしれない
ようやく冒険っぽくなりそうな・・・なるかな?
僕が怒られている最中、城の上層部の人たちはきっちり仕事をしていた。
まずは避難していた住人を家に帰す作業、家が壊れている人たちへの仮設住宅の配布、王都全域の被害状況の確認とその補修費用の算出、材料の調達経路のめどなどなど、本当に有能な上層部だね。
とりあえず急務は城壁修理らしい。住民の家は仮設住宅や場合によってはもともと用意されている非常事態時の王城の部屋を提供できるからそれほど急がないが城壁等は外の外敵を防ぐためにどうしても必要だ。
「そんなわけで冒険者の資格を持つ奴は全員近くの集落や町に行って資材提供を受けることになった」
次の日、学校に集められた冒険者や冒険者コース受講生徒全員に以上の通達がされたのは必然というやつなのかもしれない。
近くって言ってもかなり遠い。森がなくなっているから本当に近くの町なんかは王都と同様、いや、それ以上の不安を抱えている。なんせ食料を普段からため込んでいるのは王都くらいだからね。冬の間の森での食料や薪の確保が完全にできない以上冬を越せないんだ。それらの町には通達が言っていて、秋ごろ町や村の収穫が終わったら王都に移動してくるみたい。
「森の再生はめどがついているのですか?」
「国の研究者が懸命に作業中だ。ただ、少し光明は見えているらしい」
魔力による発芽のことかな?簡単な検査の結果、とりあえず魔樹への変化は見られず、普通の木であることは確認できたらしい。ただ、周囲の土や種などは養分が完全になくなっていた。つまり発芽させるのにまわりの栄養を使いきるわけだ。土壌に栄養がなければ育たない。もしかしたら土壌の栄養がないから発芽以上は育たなかったのかもしれない。その辺も調査中だ。
今はそちらの問題の解決方法を調査中だって忙しそうにしながらお爺ちゃんが言っていた。とりあえず僕部外者だから、それ情報漏洩だよって言っておいた。出てくる時完全に固まっていたけどそろそろ復活したかな?
僕の予想では土壌の栄養源の確保に目途がついたら魔力の高い人で発芽作業を行わせるんだろうと踏んでいる。ただ、今は目途がつかないから人員を遊ばせてないで資材確保に駆り出すことにしたんだろう。働いていた方が不安も和らぐしね。
「では、隊の編成を行う、上級冒険者1人に付き中級冒険者2人、初級冒険者3人が基本編成だ。資格なしの仮免はランクにかかわらず全員初級とみなす。パーティーが決まっていない奴はこちらに申し出てくれ、資格を確認してから紹介する」
頭の中で知っている冒険者メンバーを思い浮かべる。でも中級コースを受けている以上全員初級扱いか。誰でもいいし、紹介してもらおうか「トール君」な?
「あれ?マーシャ?」
「よかったら一緒に行かない?知っている人が良くて・・・」
??マーシャは初級コースで友達が出来ているはずだが?
「余っちゃったの。あ、仲間外れにされたんじゃないよ?その逆・・・」
なんでも候補地の一つにマーシャが前にすんでいた村があるそうだ。実際の村を知る案内人がいるかいないかで旅の行程が大分違う。メンバー全員でマーシャの取り合いになり、今後の付き合いを考えると誰とも組まない方がいいと判断したらしい。
「トール君ならその・・・悪いけど見た目的に優先しても誰も文句言わないから・・・」
「・・・明らかに子供だもんねぇ」
乾いた笑いが出るがそれで旅が楽になるなら我慢だってしよう。
「そうなると後は上級、中級と初級1人?誰か心当たりある?」
「ナンデオマエハオレニコエヲカケヨウトシナインダ?」
うわっ、びっくりした。なんでユーリッツ片言なのさ?
「そんなことはどうでもいい。俺が初級にいるって分かっててなんで声かけないんだよ?」
「ユーリッツパーティー組んでるじゃん」
「初級だけだからばらばらになるし、みんなお前のこと知ってるからさっさと拾えって言われたんだよ」
ムスっとしたまま人の首根っこつかまないでほしいんだけど・・・
「ほら、いくぞ」
「・・・どこに?」
「上級冒険者として母さんも参加してんだよ!」
わぉ、上級冒険者も決まりだね!




