常識人?なアルさんが輝いて見えるよ!
「あいつさ、ナンパしてきやがったの」
「何それ詳しく」
バカがフレイアちゃんをナンパ?討伐作戦中に?フレイアちゃんを?え、ごめんよく理解できない。むしろしたくない。フレイアちゃん含め1番隊は僕にとって家族だ。フレイアちゃんは大切なお姉さんだと思っている。そんな家族によりにもよって作戦台無しにするような馬鹿が近づいたとな?
「トール落ち着け、魔力があふれて草が生えて・・・むしろこのままの方が森が再生されるか?」
新しい新事実。魔力は森の植物にとって成長促進効果のある芳醇な栄養源だったらしい。
今はそんなことどうでもいいよ。
「いや結構じゅうよ・・なんでもありません」
「それでフレイアちゃん、詳しく聞かせてくれるんだよね?」
ふふふ~って笑いまで出ちゃった。
フレイアちゃんは正座し始めるし、なんか周りの兵士も正座してる。
お爺ちゃんが仕事仕事なんて言いながら遠ざかって行くよ。失礼な。
始まりは討伐対招集だったらしい。
高レベルな冒険者や騎士はたいていそれなりの年齢。その中で若く女性なフレイアちゃん達は目立つ。もちろん他にも若い女性は数人いたわけだが職業として最高峰な王宮勤めの魔導1番隊は別格だそうだ。フレイアちゃん髪の毛真っ赤だしね。余計目立つ。
当然安易に話しかけるような、それもこの緊張状態でナンパを仕掛けるバカは当然いない・・・はずだった。
「お、こんなところに美人発見!」
軽い声と共に肩をたたかれた。「あ"?こんな時に何ふざけたヤローがいるんだ?」と思って振り向いたらしい。フレイアちゃんキャラ変わってるよ?
「俺くらいのレベルになるとドラゴン退治なんてかたっ苦しくてさぁ、まあ報酬いいし?相方が参加するっていうから仕方なく参加してやるけどさぁ。なぁ、終わったらどっかでかけねぇ?奢るぜ?」
なんて最低最悪なナンパの仕方だ。別の意味で驚愕するわ。
当然フレイアちゃんはもちろん、王都ひいては家族を守るために決死の覚悟をしているまじめな騎士や冒険者たちは殺気立った。
「・・・こんな時にふざけないでくれる?場の緊張をほぐそうとしているのならその言葉は最低の選択よ」
それでも何とか理性を振り絞って場を取りなそうと、謝罪さえすれば何とか収まるようにいさめようとしたフレイアちゃんほんと偉いわ。ところが、
「は?冗談じゃねぇってマジ本気本気。本気であんた口説いてんの。なぁ?どう?」
最低の返答が返ってきたわけだ。当然フレイアちゃんはにっこり笑って
「もちろん・・・論外よ!」
と言う言葉を叩きつけたらしい。
何故か、本当になぜか唖然とするそいつをそのままにしてその場は解散、騎獣に乗って現場へ向かった。
その後はそれなりに順調だった。先発隊と合流後ドラゴンの巣のようすを見て討伐開始ののろしを上げ始める、同時に強襲開始。数体逃してしまったが作戦の範囲内、しかもかなり若い固体だったので十分王都で耐えられると判断したそうだ。
「実際その判断は正しかった。巣の討伐が終了しても王都は十分余力を残しているみたいだった。終了ののろしを上げて、答えるように王都から囮の合図が上がったわ」
その場に何人か火葬を行うメンバーを残して残りのドラゴン討伐に向かおうとした、そのとき
「なぁ、もし残りのドラゴンを俺一人で倒したらデートしてくれねぇ?」
あいつがまたもやアホなことを言い出した。
しかしあいつの騎獣は素早さ重視で先攻としてはうってつけ、倒せるというのなら倒してもらった方が被害は少ない。討伐隊招集時にしっかり全員に作戦概要は伝えてあるので成功すれば本当に最小限の被害ですむ。
少し考えて頷いたらしい。倒せたなら1回のデートくらいつきやってやると。
「いいわ、被害が最小限ならそれに越したことはないし。できるならデートくらいしてあげるわよ」
聞いたあいつは張り切った。騎獣を飛ばして真っすぐ突っ込んでいったらしい。強大な範囲攻撃魔法を唱えながら。
詠唱を聞いて慌てたのはあいつの相方。なんとアルさんがそうだったらしい。謝るわけだわ。
「なんでそんな魔法を詠唱しているんだ馬鹿!それじゃあ森まで焼け野原だろうが!!」
アルさんは一瞬遅れてこちらも騎獣を全速力、バカを追いかけて行った。そこからはまあ僕も知っている。
警告なしに森ごと、囮ごとドラゴンを蒸発させようとしたあいつを見て慌てて僕らに警告を促し、せめて王都に被害が及ばないよう全力で王都方面に結界を張ったらしい。そこは知らなかったわ。
「で、戻ってきたあいつはあたしになんて言ったと思う?・・・ドラゴン倒したぜ、約束通りデートな!って言ったのよ!!!あたしの目の前でトールちゃんたち殺そうとして、森を蒸発させて何も悪びれずに!!」
瞬間フレイアちゃんは「ふざけんなこの大バカ野郎!!」と叫びながら獣魔の魔法を展開して思い切り殴り飛ばし、墜落したあいつに向かって周囲の兵も攻撃魔法を一点集中砲火したらしい。うん、当然の結果だな。
ついでグレンさんとの話し合いが終わったアルさんが黒焦げのあいつの元へ戻り、今回の森の被害額すべて弁償のため今回の報酬は一切なし、しかも各地への援助要請の書状を最速で届けることをただで行うことにしたと伝えたとか。文句を言うあいつに
「概要はしっかり事前説明されていた。お前もその場にいた。無差別攻撃を仕掛けたお前が全面的に悪い。ああ、それでも足りない被害額は俺が立て替えて支払ってある。むしろ今回の損害賠償に巻き込まれた俺にも賠償しろ、当然今後の報酬から天引きして行くから遊ぶ金は一切手に入ると思うな」
とスッキリきっぱり言い放ってあいつを縄でぐるぐる巻きにして騎獣にくくりつけ、さっさと旅支度して出発したらしい。その場はアルさんに向かって拍手喝さい、あいつには二度と来るなこの天災野郎というブーイングを放ったとか。僕も参加したかったわ。
報いにざまぁと言ってやりたい。




