ドラゴン来襲
上空をたくさんの色の光が覆ったと思ったらすさまじい爆発音が聞こえ始めた。
王都でドラゴンとの戦いが始まったんだ。
ここからは森の木々で戦局は見えない。
でも上空の光や聞こえてくる音ですさまじい攻防が行われていることは分かる。
杖を握る手に汗が伝う。
すべって失敗することだけは避けたいので一度ぬぐって握りなおす。
いつの間にか僕もグレンさんも息をひそめて上空をじっと見つめていた。
今王都はどうなっている?ドラゴンの数は?討伐隊は何をしている!?
数秒が数分に、数分が数時間に感じる。はやくはやくはやく!
早く合図をくれ!
いつの間にか涙が流れていた。
ただじっとしているだけがこんなにつらいなんて思わなかった。
ドラゴンと対峙するのは恐ろしい。死の恐怖だってすごく感じる。
でも―――知り合いや友人、家族のように思っている人たちが危険にさらされているのに何も分からず、何もできない状況の方がもっとつらい
杖を握る手に力が入った時、グレンさんに頭を押えられた。
「・・・グレンさん」
「まだだ」
「でも、だって・・・」
「今動く方がもっとつらいことになる」
――――老師たちのことを信じるんだろう?
言われて思い出す。この作戦は国の上層部が一般人の犠牲を出さないためにさんざん考えた対応だ。
戦力となるお爺ちゃんたちも納得し、僕に言った。
『死なせない』って。
ならやることは一つ。焦ってはダメだ。最高のタイミングは向こうが教えてくれる。
僕はそれを待ち、そして
「絶対に囮として成功させてドラゴンを討伐隊のところまで引き戻す!」
討伐隊の完了合図が上がる。少しして囮の要請の合図も上がった
一気に魔力を全開で錬る。まだ結界のおかげでそれほど周囲に漏れていない。
たとえ漏れても王都のドラゴンまでは届かない。
ウマがかけだす。
結界は10m。3・2・1・・・
結界を超えると同時に魔力を頭上に放出した。
ウマは最速で森の中を駆ける。
まるで木の方がウマをよけているかのようにひたすらトップスピードを保持している。
後方に羽ばたきが聞こえ始めたがまだそれほど近くではない。
おそらく結界のあたりを探しているんだろう。
そう、僕は魔力を放出した後すぐに新しい結界符をグレンさんに付けられた。
だからドラゴンは大好物のにおいを嗅ぎ付けてきてもとたんに見失うというわけだ。
その間に僕らは討伐隊方向に進みある程度距離を稼いだらまた魔力を一気に放出する作業を繰り返す。
ただし、ドラゴンも馬鹿じゃないからこの方法も何回か繰り返せばばれてしまう。
そうなれば先回りしたり、簡単に追いついてきたりできる。
何せ相手は空を行くことが出来る生き物だからね。
だからなるべく距離を稼ぎたかったんだけど・・・
「トール、そろそろばれた頃だ。魔力は回復したか?」
「魔法薬飲み過ぎだね、副作用が出てて7割の回復しかできてない」
ちなみに最初のドラゴンの時僕の魔力は9割残った状態、
魔法薬も飲んでなかったからその後は正常に回復可能だった。ちょっとまずいかな~。
ここからはドラゴンの攻撃に耐えられるよう即座に防御を固めながら進む必要がある。
ウマに何かあれば自力で走ったりよけたりしなくちゃいけなくなるから身体強化もしなくちゃいけないし。
「強化は俺がする、トールはとにかく防御壁を張れ」
「わかった」
役割を決めたところで2体のドラゴンが頭上から襲いかかって来た。
1体は成体、もう1体はわずかに幼い。親子か兄弟か・・・
でもこっちも殺されるわけにはいかないんだ。
幸いブレス攻撃はしてこないみたいだ。まだできないとか?
爪や牙はウマがよけるのが上手なおかげで攻撃を防御壁で受け流す形で何とか防げた。
魔法は3重にした障壁と相殺、また展開が必要となる。
ドラゴンも交互に攻撃してくるからグレンさんも身体強化後は僕の魔法の合間に障壁を張ってくれてる。
それでようやく防げている状態、周りはひどい有様だ。森・・・なくならないよね?
「う~、このままじゃ魔力が持たないよ。討伐隊は?」
「木の陰でよく見えないが・・・もうすぐ合流できるはずだ」
確かに結構時間がたったような気もするんだけど・・・?
「囮役!全力で防御しろ!!」
アルさんの声が聞こえたと思ったらものすごい魔力の放出が見えた。
「死ぬ!死んじゃうからこれぇ!」
慌ててグレンさんと残りの魔力を使いきる勢いで防御する。
あ、ウマも上に結界展開してくれた・・・こいつ終わったらもらえないかな?
「何とも頼もしいウマだな。終わったら譲り受けられないものか・・・」
グレンさんも同じ意見らしい。ウマはこっちを向いてじっと見つめた後そっぽ向かれた。
「ああ、今の主人がよほど好きなのだな・・・お前ほどのウマに好かれるとはよほどいいやつなのだろう」
残念だが仕方あるまい、後でそいつに礼を言いに行かせてもらうってウマに話しかけてました。
なんでこんなのんきな会話をしているかって?
現実逃避です。
2人で全力で張った防御壁、ウマの防御壁、ついでにグレンさんの魔法符も全部使って漸く無事だった僕ら。
当然そんなことしていなかったドラゴンは周囲の森と共に跡形もなく蒸発していました。
そう、蒸発。森が荒野になったよ。ここ僕らの訓練場所だったんだけど・・・どうすんの?
「大丈夫だったか?俺の攻撃魔法防ぐなんて囮に使われるだけあるな!」
そういって現れたのは・・・誰?
本当はできればもう少し戦闘風景入れたいですね。むずかしいなぁ




