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初めての実技

漸く実技の授業が始まった。まずは媒体に自身の魔力を通すところから始めるとか。シバ先生がものすごくゆっくりと実演してくれた。僕には先生の体をめぐる魔力がゆっくりと媒体に伝わることが丸見えなわけだけど、他の人にはどう見えているのかな?


 周りの話声を盗み聞きする限りなんとなく魔力が濃くなって、媒体が光ったということくらいしかわからないらしい。不便だよね。・・・これってこんなちょっとの情報だけで魔法が使えるようになる他種族の方がすごいってことなんじゃ?まあどうでもいいか。


 もともと何らかの理由があって魔力をすでに使える生徒も何割かはいる。そんな生徒は復習がてら一度試して合格ならすぐに次の手順、僕が数日前に実験した水を生み出す魔法の練習だ。風や土、火は暴走すると物理的に危険なので暴走してもずぶ濡れになる程度ですむ水魔法は一番最初の練習魔法として推奨されているんだ。


 さて、それすらも合格を得た生徒は何をするのか?自習かと思いきやまだ次があったらしい。これは僕も初めて。武器生成魔法だ。媒体を基準として魔力で何か武器を作り出せとな?これは刃物系の武器を持たない状態で接近戦を行ったり、上級家事スキル講座の狩りの講義で使うことになるとか。


「今回は解体にも利用できるナイフ類の成形、あとは自身が使いやすいと思う武器を一つ成形したら合格だ。今日はそれで終わりなので合格した者は解散していい」


 ナイフは指定されているからいいがもう一つ、自分だけの武器をイメージするのが難しい。まず僕は杖を持っているので必然的にそれより大きな武器になってしまう。すでにナイフの時点で剣みたいな長さだ。


「このまま剣としてもう少し整えるのもありだけど・・・僕剣なんて使えないし」


 ブツブツつぶやいていたら一人目の合格者が出た。何とテトだった。参考までに聞いたらドワーフの武器は鎚だと伝統的に決められているらしい。ああ、武具作製にも使うもんね。ものすごく納得できた。次はエルフのお兄さん。こっちはすでに冒険者講習を受けていたとかで槍系の武器を好んでいるとか。他にもすでに冒険者かけだしとして活動していたり種族や家系的に使う武器があらかじめ決まっている人はどんどん合格していった。


 すでに残っているのは今まで魔法を一度も使っていない生徒や僕のように決まった武器がなくてイメージしにくい人ばかりだ。合格した人は邪魔にならないよう速やかに解散することが支持されているので友人を待つ人もいない。ついに1時間目の授業終了を知らせる鐘が鳴った。まだできていない生徒もいるしこのまま2時間目に突入かな?って空気になったけれどシバ先生は解散を告げた。ただしそれはナイフ成形まで終わった生徒のみだ。ナイフが出来ていないものはもちろん居残りで補講。ナイフまでできていて自身の武器作製がまだのものは次までの宿題となった。もちろんここに残って作成していってもよし。


 僕はまだ武器作製が出来ていないから残って考えることにした。隣にはマーシャ。彼女はまだ水魔法が出来ていない。うんうん唸っているので魔力の流れを見たらなんかおかしなことになっていた。


 魔力は流れている・・・ただし赤などの暖色系。青系統は本当に少量しか流れていない。これでは発動はかなり難しいのでは?


 ちらっとシバ先生を見る。シバ先生もマーシャを見ていた。気付いているということか?あ、こっち来る。


「君・・・えーと「マーシャ」マーシャ君。少しこれに魔力を流してみてくれ」


 そう言って取り出したのは一つの貴水晶。中にはいろんな色の魔力石が閉じ込められている。これ1つで国が買えちゃうよ・・・とんでもない代物だな。


 マーシャがふるえながら手を添え、魔力を流し始めた。完全に循環し始めると貴水晶の魔力石が光り出して水晶が赤色に染まった。あ、これ属性検査?


「ふむ・・・。どうやら君は水の適性が弱いらしい。人種にはたまにある現象だ。もちろんレベルが上がれば水もそれなりに使えるようになるのでそう落ち込むことはない。ただ今回に授業では無理だな」


 きっぱり言われ落ち込むマーシャ。レベルが低いなら仕方ないとは言ってももう13だ。人種としてはレベル上げできる時期が限られるから焦りも出てくるだろうし・・・


「初級冒険者コースのミハエルに連絡を入れておこう。もし君にやる気があるならそちらにも参加してレベル上げに努めなさい」


 ですよねー。手っ取り早くレベル上げするなら冒険者としてモンスター退治に参加するのが一番だ。どうするかはマーシャ次第だけど・・・


「あ、あの、冒険者になるのはお願いします、それで・・・今回の講義はどうすれば・・・」

「水が出せない以上は別の魔法を行うしかないだろう。ただ君の適性は火だ。生徒の多い今の状況でおこなうのはリスクが高い。君に午後の時間があるのならそこで改めて指導を行いたいが・・・」

「お願いします」

「ふむ、では昼食後、1と半の鐘でここに来るように」

「はい」


 マーシャが席を立った。なんだか落ち込んでるし僕も付いていくことにする。


「マーシャ。まって、一緒にご飯食べよう」

「トール・・・。補講は?」

「僕ナイフまでは終わってるからあとは宿題にする。それより、冒険者の初級講座に行くなら友達紹介するよ。ユーリッツって言って僕の幼馴染でメリルの彼氏!」

「ああ、あの?いいの?」

「ユーリッツも初級コース取ってるから。危険なコースだし少しでも知り合いはいた方がいいでしょ?あと、レイヴェさんたちにも相談しよ?元冒険者だしいろいろアドバイスもらえるはずだよ」

「うん、ありがとう」


 不安と焦りとでうっすらと目に涙をためていたマーシャはとうとう泣き出してしまった。僕はマーシャの手を引いてレイヴェさんの店に向かう。人種のことはよくわからないから僕が変にアドバイスするわけにいかない。レイヴェさんたちがいいアドバイスをくれるといいんだけど。


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