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杖、げっとー

 ちょっとどんよりした空気をまとってエリーは出てきた。隣でユーリッツはどうしたのかと呟いている。お前が原因だ。僕が誘導したけど。あれ?僕のせいか?いや、無自覚にたらしこんでたこいつが悪い。僕がそう決めた。彼女ちゃんも賛同してくれることだろう。


「・・・これが店にあるもので、君に使いやすそうなものだよ」

落ち込みながらもきちんと仕事は果たしている。私情をはさまないなんてこの年齢の商売人としては素晴らしいレベルではなかろうか、さっきの店のことがあるから余計にそう感じる。まずは短剣やナイフを何本か手にとって軽く振ってみたり刃先の確認をしてみる。どれも手になじむし刃もきれいで使いやすそうだ、いい仕事してるね。一番軽くて使いやすいものを2本選んで手渡し、次は本命、杖の確認。


 持ってきてくれた杖は3本。初心者用の木製1本に金属製で全体に小さな魔石が埋め込まれたものが1本、最後は柄は金属だが先端に大きめの魔石がくっついた物が出てきた。どれも長さは40~50センチくらいだろうか?大人が持つには短杖に分類されるが僕にはちょうどいい。長杖だとほんとに長すぎて引きずるんだ。僕は魔石がついた杖の先端、魔石と柄の結合部分を確認する、よしよし、このつくりなら取り外し可能だな。


「これって魔石は取り外しできるよね?」

「ええ、魔石を持ってきてくれたらそれに取り付けられるように加工できるわ。そのままでも十分使えるけど購入する人のなかには何個か魔石を用意して用途に合わせて交換して使っているひともいるみたいね」

「ふんふん、なら話が早いな。実は今日魔石を1つ持ってきていてね。これがなければオーダーメイドを頼むところだったんだ」

「見せてくれる?魔石の種類で加工に必要な時間が変わるから」

「これだよ」


僕は持っていた道具袋から手のひら大の魔石を取りだした。


貴水晶きずいしょう・・・・」


 取りだした魔石を見てエリーが絶句している。うん、気持ちは分かる。僕も杖用だって見せられた時は絶句した。貴水晶とはちょっと珍しい水晶で、水晶の中に魔石が閉じ込められているものだ。魔石は通常その魔力に合わせて拡張して大きくなっていく。だからふつうは周りを覆っている水晶側が割れちゃうんだけどたまに魔力になじんで割れない水晶が現れる。そうすると大きくなれない魔石は魔力を内に内にため込みかなりの高濃度の魔力となる。豆粒ぐらいの大きさの魔石がこぶし大の大きさの魔石と同じ効果を発揮したりするなんてざらだ。しかもこの貴水晶は中の魔石が星のようになっていて装飾品としても一級品だ。はっきりいって僕みたいなお子様が持てる代物じゃない。僕の保護者陣は一体何を考えているんだろう・・・


「普段は今杖についている風の魔石を使うつもりなんだけど、僕の保護者がこれももっとけって言うんだよ。そんなわけで加工をお願いできる?」


 あまりの貴重品だ。だから最初はお爺ちゃんに言われた店に行った。でもどうも目的の人物がいなかったからここに来た。断られても仕方ないと思う。最悪グレンさんにお願いすれば何とかなるんだ。ちょっと実験につきあわされそうだから遠慮したいってだけで。


「・・・・」

「無理ならあきらめるよ?この杖は普通に購入するつもりだし」

「いいえ、やるわ、やらせてちょうだい。うちの職人ならできる技術があるって私は思ってるから。でもどれくらいかかるかは私には判断できないの」

「なら確認したら教えてくれる?ユーリッツが来た時に伝言頼んでもいいし、僕もここにはちょくちょく来させてもらうつもりだし。この杖がある限り期限は問わないし」

「いいの?」

「うん」

「なら、最高の仕上がりにさせてもらうわ」

「よろしく」


にこにこと商談を成立させる。いやぁ、よかった。これでグレンさんに実験動物モルモットにされなくてすむ。期限なんて気にしないよ。



なかよくなれそうな雰囲気?でもエリーはヒロインではありません。エリーも主人公に恋心を抱くことはありません。エリーの認識では主人公は上客です。より良い関係は商売上必須ですが今後もそれ以上に見ることはないですね。

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