まずは服をそろえよう
まずは通うための買い物を開始
お爺ちゃんに魔法学校のことをある程度きいてから数日、僕は町でお買物中です。普段から買い物をしている食材の追加だとか、お爺ちゃんが注文していた魔法薬の受取とかの他に、学校の制服とか、道具とかを買い出ししないとね。
家の家事は数年前から僕が一手に引き受けるようになった。身体は5歳と小さい僕だが、お爺ちゃんにこれ以上家事をさせるのは僕がするより危険だと関係者一同全員が判断した結果だ。鍋を火にかけっぱなしで焦がすことは日常茶飯事。しかしこれはまだいい方だった・・・。掃除しようとして火のついた暖炉前でほこりを立てまくり危うく家が燃えそうに、いや、薬品もあるから爆発しそうになった・・・。発見した僕が悲鳴を上げながら即効魔法を使って鎮火したのはいうまでもない。
街中の無免許者魔法使用反応を感知した衛兵さんが制御装置を確認したら正当防衛の表示が出ててほんとにヤバかったことが証明されたほどだ。お爺ちゃんは全員に怒られた。
取り扱いの難しい道具や魔導の研究に関する重要書類が転がっている我が家に他人を入れるわけにもいかず、その場の協議で僕は家のなか限定で、家事一般に関して身体の補助をする魔法を使用すること(使わないと道具を持つのに力が足りない)を衛兵さんに認められた。コントロールに関しては見事な鎮火技術を披露していたので問題ないと判断されたらしい。制御装置に何かしていたけどあれは仮免発行だったのかな?
家事に関してはチート持ちな僕、どこまでやれるかなぁなんて思っていたけど、うん、普通です。どうやらこのチートは最初からすごいというものではなく、才能あるよ?というものらしい。練習すれば上達し続けるが何もしなければ素人と一緒ということだ。だから初めは要領も悪いし失敗ばかりだった。
前世では料理以外普通にできていたはずなんだけどなぁなんて首を傾げてから気づいた。あ、体のサイズ違うじゃんって。ちっちゃいのに大人の時と同じ感覚でやるから目測を誤りまくって失敗していたんだね。気づいてからは上達の一途をたどっているよ。家はいつもピカピカです。
料理もラーファさんやレイヴェさんに教わって少しずつ作れるようになったし、前世の料理も時々作っている。一番感動したのがこれだ。僕、前世ではまったくと言っていいほど料理ができなかった。
レシピは覚えているし、いまどき料理できない男なんて古いわよっって奥さんに料理教室にも行かされた。手順も完ぺきで教室の先生にも太鼓判を打たれていたのに味見をしたら・・・暗黒物質が出来上がっていたんだ。レシピも手順も見た目も完ぺきなのに味は壊滅的な暗黒物質。間違えて食べたら危険なので僕は料理禁止を言い渡されたんだ。作ることは楽しかっただけにあれは悲しかった。
しかし、ここでは暗黒物質はできない。味はまあ普通だねって感じだけど食べれる料理ができているだけで僕は満足だ。なんかこれ以上味の改善は期待できない感じだけど満足なんだ。どうやら神様がくれたチートの効果はは暗黒物質撲滅が精一杯だったらしい。おいしいものが食べたかったらレイヴェさんのところに行けばいいんだから問題は何もない。前世のレシピも幾つか教えてあるしね。
閑話休題
今は買い物だ。過去を振り返っている間に食材の買い出し等はすんだ。店の人に頼んで家に届けてもらう手筈なので僕は手ぶらだ。5歳児の体にイモ3kgその他とか無理だから。重さがどうこうよりかさばり過ぎて持ち切れない。
今から行くのは衣類・防具屋、町の普段着と冒険者たちがよく使う防具類を扱うお店が繋がっているところで町で一番の品ぞろえと評判のお店でもある。基本的に人族に合わせた商品が並ぶが、頼めば種族に合わせて丁寧に作り直してくれるので僕のような異種族はまっすぐこのお店に向かう。もちろん今回は普段着ではなく学校に着て行く制服のようなものを注文するのだ。
魔法学院には正式な制服はない。通う生徒は子供から大人まで多くの種族が入り乱れるのでいちいち用意していられないというのが本音だ。ただし、最低限の物理・魔法防御の付属効果を持つ防具着用が義務づけられている。実技訓練や実験失敗の被害を少しでも抑えるための処置らしい。そんなわけで僕が注文するのは・・・
「おじさんおじさん、このローブを僕のサイズに直して物理、魔法防御の付属効果をお願いします。あ、これ、ローブにつける付属効果用の石です。お爺ちゃんがくれたの」
「お~、トール。その注文の仕方はついに魔法学校入学か?まだ身体はちっこいみてぇだが老師は何も言ってないのか?」
「僕は種族として標準だもん、ちっこくないもん!・・・お爺ちゃんはちゃんと説得したよ。じゃなきゃ魔法付与した石なんてくれないよ」
「ははは、トールの粘り勝ちかぁ。よし、最高のローブに仕立て直してやるからな!受取は1週間後でいいか?」
「うん、仮縫いとかはいい?」
「お前サイズはもう10年間変わってないだろ。いまさらだな」
「うぅ、まだしばらくはこのサイズだってお爺ちゃんも言ってたけど、もう少し身長がほしい・・・これじゃ家事も一苦労なんだもん。学校でも机の高さに苦労しそうだなぁ」
「そこは安心しろ。種族的に大人でも小さい奴らもいるからな、机も個別だし高さ調整もできる」
「ほっ、てあれ?もしかしておじさんも卒業生?」
「たいていの奴は卒業生だぞ?講義内容はそれこそピンからキリまでいろいろあるからな。俺は被服・防具系部門資格修得者だ」
「へ~、本当にいろいろあるんだねぇ」
「おう、調べたら限がねぇ。だからまずは自分が将来やりたいことだけを習得することを考えろ。じゃなきゃ目移りしすぎて卒業できなくなるぞ?やってるうちに他にも興味が出てきたら、そんとき考えればいい」
「肝に銘じておくよ」




