トンテキ食べたい
トンテキ食べたい
お昼前現在、僕らがいるのはイルレー大樹海の手前の町トンテキ。なんか美味しそうな名前だ、じゅるり。早速町の人に声をかけてみよう。
「こんにちは!この町の名物はウーリですか?」
「いや?イルレー樹海の入口付近でとれてる胡椒だよ?」
何だと?トンテキならウーリだろ?豚だろ?なぁ!?
「トールちゃーん、現実に戻っておいでぇ」
「名前詐欺だ、僕はトンテキが食べたい」
「はいはい、夕飯はお肉料理にしようねぇ」
「肉ならアルパカ亭が安くてうまいぞ」
「アルパカ亭ね、わかったわ。ありがとう」
今度はアルパカかよ。
「アァルパカはぁアンデース山脈のぉお♪有名なかちぃぃくなのよぉぉぉぉ♪毛はふかふかの洋服素材なのよぉぉぉぉ♪かっこ地球の話☆」
「意味分かんないからw」
即興の歌を歌いながら町を歩いて行くとアルパカ亭についた。看板は食事処と宿屋マークもあるね。
ちょうどいいのでここに泊まることにする。お肉は夕食なので昼ごはんは魚にしてみた。このへんでは川魚らしいのだが。
「・・・川魚?」
「おっきいねぇ」
鮎やイワナを想像しながら川魚の塩焼き定食頼んだら高級な肉厚ホッケほどの大きさの魚がまるまる一匹出てきた。これでも僕に合わせて小さいサイズを選んでくれたらしい。大きいサイズだと軽くこれの3倍いくとか。どおりで普段どのくらい食べるか聞かれるわけだよ。結局一人じゃ食べきれないから二人で分けて食べました。フレイアちゃんがまだ注文してなくてよかった。
皆との合流予定は夜だから昼食を食べたあとは胡椒が採れるという入口付近を見に行くことにした。魔獣は出るのかな?
◇ ◇ ◇
『ザンッ!!』森に中に攻撃音が響く、現在アルパカと交戦中のトールとフレイアです!アルパカって魔獣かよっていうツッコミをしたのはもう30分も前だ。ちなみに今は3組目、遭遇し過ぎである。
「トールちゃん、そっちにもう一匹行ったよ!」
「『力付与』『スピード付与』ホイッと」
突進してくるアルパカに対し、身体強化を付与してかわす。木々を利用して避けるのでまるで曲芸のような動きになっているのはご愛嬌。ついでに魔力で補強した杖で足を重点的に攻撃する。
血を流させると臭いで他の魔獣も来るから今回は鎌は使用しない。威力はだいぶ落ちるが地道に足を攻撃し続ける。
だってこうすれば――「トールちゃん避けて!『獣化掌底』」――動きの鈍ったアルパカをフレイアちゃんが狙い撃ちでとどめを刺せるのだ。あ、フレイアちゃんの手が肉球に変化してる、プニプニしたい。後で触らせてくれないかな?
最後の一頭が倒れたあと、死骸はそのままにしてすぐにその場を離れた。最初の群れに遭遇した際、解体作業を行っていたら次の群れ、その次の群れと血の臭いに引きつけられて次々に群れが現れたからだ。アルパカの素材に興味はあるけどそれはまた今度、もっと大人数の時にしたほうが良さそうだ。
「しかしここが魔境と呼ばれる理由がわかったねぇ、魔獣の多さもそうだけど」
「まさか魔力がすぐに分解されるとは思わなかったからね」
アルパカに遭遇したあと、僕はすぐにカマイタチを展開した。しかし放った瞬間から魔力が分解され始め、アルパカに届く頃にはそよ風、むしろ無風になっていた。これには目が点である。だがアルパカはそんな僕達を待ってはくれない、ものすごい脚力で突進してきた。フレイアちゃんがとっさに僕を抱えて避けてくれなきゃ僕は今頃あの世行きだね。魔力のない僕なんてただの子供だもん。
その後魔力の大量消費覚悟で身体強化を行ったら放出系よりは分解スピードが遅いことがわかって僕らは魔力を強化に回して戦う戦術に切り替えたわけだ。それでもいつもより消費量は多いしこう次々に襲われたら魔力なんてあっという間に枯渇する。奥に向かって生きて帰ってくる奴いないわけだよ。
「魔力系の僕なんかは致命的な場所なんだけど・・・今からでも探索隊のメンバー変えたほうがいいんじゃない?」
「うーん、確かにこの環境は魔族や人種じゃなくて獣人向けだよねぇ。魔獣たちも魔力って言うよりは筋力!って感じだし」
「あと気になることがもう一つ、この樹海って樹海創造で出来たんだよね?」
「うん、その可能性も考えなきゃねぇ、もし考えてるとおりなら大魔法は中止しなきゃいけなくなる可能性高いし」
「真似事なだけで完全再現じゃないところに希望はあるけど・・・元々の効果なのか魔法陣に付与されたものなのか突然変異でも起こしたのかはグレンさんに調べてもらわないととわかんないなぁ」
「そのへん含めてシンとも相談だねぇっとまた来たよ!」
「もう、早く町に戻りたいね」
探索がぁ一歩進んで二歩下がるー




