リア充は爆発すればいいけどいい年こいた大人がもどかしいのは逆にいらいらするよね
世の独身男性の僻みと祝福を混ぜた言葉を放ち、僕らは出発することにした。
シン兄ちゃんたちは自分の騎獣であるグリフォン、フーリーたちは借り物らしい。僕はもちろん黒曜だよ。そういえば兄ちゃんたちには初お披露目かも?
「あー、あのな?トール。今回の目的地はオヴェストって言ってもんのすごく遠くてだな?・・・何が言いたいかっていうとウマじゃ無理だ。飛べるやつを借りて来なさい」
「黒耀はウマじゃないもん!ちゃんと飛べるもん!バカにしたら怒るんだからね!黒耀が!」
「お前じゃないのかよ!?」
「何言ってるの?黒耀はちゃんと自分で報復まで出来るとってもいい子なんだから僕が手を出す必要ないじゃないか」
「いや知らんし」
僕がかわいそうなものを見る目でシン兄ちゃんを見たら心外だとばかりに言い返された。確かに初お披露目なんだから知らないか。では黒耀のすばらしさを見て羨ましがるがいい。
黒耀は僕の視線を受けて背中に力を入れる仕草をした。すると背中の丁度真ん中あたりが盛り上がり始め、見事な漆黒の翼が生えたのだった。きゃー黒耀ステキー。心なしか黒耀がドヤ顔してる気がするー(笑)。
「へぇ、すごいね、きれいな変形術。幻獣の血を引いてるのかなぁ?」
「フレイアちゃん大正解。黒耀はモリオンっていうウマとユニコーンの奥さんの子供だよ」
えっへん。ちなみに今回も奥さんには会えませんでした!モリオンの弟か妹を身ごもり中で静かな環境に隔離中だそうです。
「飛べんなら問題ないか。でも体力は平気か?」
「少なくとも僕よりはあるから」
「ああ、そっちの問題があったか。お前どうやっても子供だもんな」
「今回は危険地帯、トールに合わせて進むくらいがちょうどいい」
「ヒルダちゃんの言うとーりだよー。付近の街で情報収集もしっかりしないと危ないし、警戒レベル多めに休みも多めにでいいっしょ」
「なら俺とレイティで先行して情報収集しとくか?こいつらも借りもんだから途中で交代させてもいいし」
「今回の依頼は他の冒険者も受けていると聞きますから私達の連絡網でそれなりに集められると思います」
あ、ずいぶん少人数だと思ったらいくつかのグループに分かれて攻略を試みるのね。
結局フーリーの申し出を採用してフーリー・レイティが先行して情報収集、シン兄ちゃんとヒルダちゃんがあちこち寄り道して食料確保、僕とフレイアちゃんが僕に合わせてゆっくり旅をすることにしてそれぞれ出発していった。オヴェスト手前の町で合流して情報を確認し、休養を挟んで皆でオヴェストのイルレー大樹海に入るんだって。
「・・・フレイアちゃんのほうが力持ちで食料調達に向いてるのにシン兄ちゃんとヒルダちゃんがペアなところにそこはかとなく別の思惑を感じるんだけど」
「あの二人って実はデキてるからねぇ」
「あ、やっぱり?」
「本人たち内緒にしてるつもりらしいけどさぁ、なんていうの?距離がねぇ?」
「近いよね?すっごく近いよね?」
「手ぇ繋ぎそうになって慌てて離すとことかさぁ」
「いっそ堂々とつなげよ、さっさとくっつけよって思うよねぇ」
「お前らいくつだよって言いたいよねぇ」
「「ねぇ」」
黒耀とグリフォンにまたがりパカラッパカラッとかるーく流しながら進む僕達の会話はこれからの冒険についてではなく身内の恋話が大半を占めたのだった。時々話を聞いている騎獣も相槌を打つという器用さである。
おかしいな、恋話なんて入れる予定じゃなかったのに。
いい年した奴らがさっさとくっつかないから一話潰れたじゃないかぁ(八つ当たり)。




