自分で選ぶのと命令されるのでは心情的にだいぶ違うんだよ
新章突入。
オットコ前なお姉さんの発言のとおり冒険者達が利益度外視で魔石採取に乗り出したことで土、水、風の魔石が王宮の宝物庫にぎゅうぎゅう詰めになった・・・らしい。この前うちにお新香を取りに来たロードさんが警備費も増額する必要がってぼやいてた。
面白半分で僕監修僕作成の物理罠を教えたら王宮から突貫工事の音が最近するんだが・・・
ちなみに僕は魔石採取には乗り出していない。資格は持ってるけど冒険者として活動しているわけじゃないからパーティメンバーがいないんだよね。魔石の産地は危険地帯なため個人では立入禁止なんだ。
「そんなわけで今は暇なんだ」
「暇だから武器の強化ねぇ、うちはお金を落としてもらえるわけだからありがたいけど」
カウンターに肘をついて僕の話を聞いてたエリーが僕の持ってる杖の傷とかをチェックし始めた。買ってから使い込んでてだいぶ傷んでるしね。買い替えどきかな。
「貴水晶は相変わらず状態がいいみたいだけど、やっぱり柄の部分は買い替えどきね。小さいけど細かいヒビもあるし何より・・・聞いてる使い方を考えると身長に合ってないわね」
「そうなんだよ!最近ちょっとした成長期でさ!もう少し長めにしてもいいと思うんだよね!あとあと、ここにこうギミックを入れて・・・」
「ふんふん、あいかわらず面白い発想ね。成長したって言ってもあいかわらずお子様サイズに変わりはないし、攻撃範囲が広いのはいいことなんじゃないかしら?」
「じゃあ製作可能?」
「時間はかかるけどね、このギミックだと強度に不安があるし。部品一つ一つに強化付与の必要があるから・・・お値段もこんなかんじで・・・」
「付与魔法は僕がやるからこんなんはどうよ?」
「部品製作が細かいからねぇ、・・・付与代を差し引いても・・・これ以上は無理かしら」
「じゃあ付与にこんなものもつけて・・・これもいれたら?」
「う~ん、なかなか手ごわいわね、でもそっちのやつは欲しいし・・・わかったわ、お得意様でもあるし、今回はおおまけにまけてこれでどうだ!」
「交渉成立で!」
エリーと握手を交わして杖を預け店を出る、次に向かうのは防具屋だ。
「・・・というわけで防具もそろそろ新調しようかなと」
「だからってこれはなぁ、お前どこに出かけるつもりだよ?」
「樹木属性の魔石探し?」
他の系統は前から存在しているから集め始めたら割りと早かったが最近まで存在の知られていなかった樹木属性の魔石は未だに発見されていなかった。そこで国の上層部は賭けに出ることにしたらしい、ずばり、西である。そこに何故か僕も行くことになっている。大人の事情が絡んでいるようだ。
「なんかオヴェストに向かうことになりまして」
「なっ、馬鹿かお前は!?あそこは今じゃ誰も帰ってこない魔境なんだぞ!?」
「だから行く価値があるんだよ、とはいっても僕自身はついていくだけなんだけどね」
「あん?」
「一番隊の人とか、精鋭ぞろいで向かうんだ。僕はなんていうの?案内役?保険?」
「意味がわからん」
「僕もわかんないよ、でも行くことはほぼ確定だから過剰防御しとこっかなって」
実際のところは僕が妖精種の血を引いてて、オヴェストが精霊や妖精の国だったから何かしらの役に立つはずっていう希望的観測らしい。ロードさんたちは反対してくれたみたいなんだけど王様に甘言吹き込んだ奴がいるみたいで勅命が下った。
さすがにド素人が魔法陣作成に協力してたことで分かる人には種族がバレたようだ。しかしすっかり道具扱いだよね?僕はあくまでも『善意』で『協力』していたにすぎないのに。・・・一般人に何してんだ。王様は賢いと思っていたんだけど実は馬鹿だったのか?
伝えに来た時のロードさんの顔色はひどいもんだった、僕がどう思うか、お爺ちゃんがどう思うかをしっかり理解しているからね、そのうち胃に穴が開くんじゃないかな?この国の宰相様が土下座までして謝ってくるのはさすがに可愛そうだから『ロードさんに』協力するよと言って妥協した。
もちろん甘言を吹き込んだ奴には相応の報いを受けてもらうつもりだけどね。僕が手を出すわけじゃないよ?相手はお貴族様だもん、ただロードさんと一緒に来てニヤリとしたマッドな人やどこからか取り出した杖の素振りを始めた人の報復活動を止めないだけだ。
予定ではこの章で終わり。なのに終わりが全く思い浮かばないという現実。




