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小話10 トールの一日 お昼

 授業が終わるとお昼ごはんだ。

家に帰って食べるときもあれば外で食べるときもある。お弁当の時もあるけどこれはあまりないかな?外で弁当を広げるなら家に帰るし。


 今日はレイヴェさんに新メニュー試食のお呼ばれしているのでお外でお食事。実は朝にあったテトも誘ってある。


「レイヴェさーん」

「おう、来たか。これが新メニューだ」


 出されたのは・・・

「ケーキ?」

「ケーキですね?」


 見た目は普通のケーキだ。クリームも乗ってるし添えられてるフルーツもいつもどおりだし。

と言うか僕達お昼ごはん食べに来たんだけど・・・


「そっちは今作ってるからそれ食ってまってろ」


 取りあえず一口・・・!?


「紅茶?」

「すごい、いい香り」


 スポンジと・・・中のクリームにも紅茶を混ぜてるのか?ケーキをひとくち食べただけなのに口に広がる紅茶の香りが半端ない。生クリームにも紅茶が練りこまれていてまるでミルクティのようだ。


「上質なミルクティを固めてそのまま食べてる気分」

「贅沢だよね」


 感心しながらフォークが進む、飲み物も飲んでいないのにぺろりと食べてしまった。


「最後にフルーツを食べると口の中も爽やかでスッキリとするのがいいね」

「おいしかったです」


 食事を持ってきたレイヴェさんに感想を伝える。文句なしに美味しかった。

レイヴェさんは嬉しそうに笑って食事を置いてくれた。


「次はこいつだ」


 おかれた料理は・・・グラタン?


「グラッピエっていう料理だ。こっからノルドに向かう途中の村の郷土料理でな、必要な食材が手に入る用になったから作ってみた」


 フォークを差し込むとチーズがちろって付いてきて食欲を誘う。中身はホワイトソースじゃなくてトマトソースだ。玉ねぎにひき肉・・・人参に・・・あ、セロリ?ミートソースっていうほうが正しいかも。それになす入りか。大きめのナスがミートソースとチーズを絡んでて噛むとじゅわぁっと口の中で味が広がる。下にはパンが敷き詰められていてこちらもソースを良く含んでいてとろとろになっているのがまた美味しい。


「チーズのおかげで中はずっとアツアツなんですね、すごく美味しいです」

「ボリュームもたっぷりだしこれは人気でそうだよね」

「そうだろう?このチーズがなかなか手に入らなくて大変だったが入手ルートも確保できたしこれからじゃんじゃん出していくぞ」


 久々の新作料理の研究ができてよほど楽しかったのかレイヴェさんはとても機嫌がいい。普段なら思いつかないような気の回し方までしてるくらいだからよほどだよねぇ。


 コップのお水を飲みながらそんなことを考えてた僕にテトがこそっと疑問を投げかけてきた。


「でもなんで先にケーキが出てきたのかな?普通は逆だよね?」

「簡単だよ、テト。グラッピエから食べ始めたら僕らはケーキに辿りつけない」


 僕の指差すテーブルの上に置かれたお皿にはボリューム満点過ぎてお子様サイズな僕らには食べきれなかったグラッピエが半分ほど残っていた。ケーキを食べてなかったとしても食べきれる自信はないからまず間違いない。試食に来たんだから両方食べる必要がある以上は食べきれる方から出したほうが無難だろう。


「お子様サイズっていうのがないからねぇ」

「考えてみたらもったいないよね、こんなにおいしいのに」

「せめて残したやつをお持ち帰りできたら嬉しいなぁ?なんて思ってます」


 僕らの会話を聞いて考えこむレイヴェさんに要望を伝えてみる。家族連れなら皆で分けることもできるが僕らは家族でもない他人同士、分けて食べるという選択肢はない。金額はすべて同じ、出てくるサイズも同じ、でも食べきれなくて残すというのは金銭的に元日本人としては損した気分なんだよね。


「うーん、考えてみるわ」


 レイヴェさんの『考えてみる』は実施はほぼ決定事項で『(どうやって実現させるか)考えてみる』だから期待持てそうだね。




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