離縁まであと5日 夕食時
「ボヤ騒ぎは大丈夫でしたか?」
「ご心配ありがとうございます。妻が襲われた時から、また更に警護を増やしたので、すぐに消しました。だが、向こうも逃げ足は早かったですね」
「そうでしょうね。捕まれば、金を貰えませんし失敗したとなれば、最悪命が危うくなる」
離縁まであと5日になった夜、サジタリーを含め夕食を食べている。
朝早く、屋敷の塀が燃える騒ぎがあったのだ。
サジタリーは公務がある為、前回のお母様が襲われた時もすぐには来れず、今日の夕方やって来て、ボヤ騒ぎと一緒にお父様から報告を受けていた。
お母様はまだ顔色は悪いが、特に怪我もなかったから良かった。
ただ、暫くは外出が恐ろしい、と部屋に籠っている。
そんな話をサジタリーは聞きながらとても不機嫌になりながらも、とりあえず何も無かった事を聞いて安心していた。
「それは良かった」
お母様が襲われた事件も、やはりお父様が倒れたというのは嘘だった。逆にお母様が襲われたと聞いて、急いで帰ってきたくらいだった。
「あと5日ですね。夫人も外出するのはやめてくださいね」
「勿論です。あの時から怖くて外になんて出れません」
お母様がサジタリーを見ながら青白い顔で首を振った。
「やっぱり私だけを狙っていたのね」
「・・・ええ。馬車の扉を開けて、覆面した男が中を確認した時、いない、と呟いていました。本当にあなたがいなくて良かった」
「あの時お母様とサーシャが止めてくれたからです。そうでなければ、ここにいなかったかもしれない」
ホーン様と婚約が決まった時から、婚儀まで少ししかお会いしなかったが、この方が私の夫となる人なのだ、と淡い期待と、恥じらいを覚えていた。
たとえ政略結婚であっても、夫と妻。
私は私なりにこの方に尽くしたい、と思っていたのに、全てが崩れた。
何時からだろう・・・。ホーン様を見てもう嫌悪感しか感じなくなったのは。
「もう少しです。これからは何があっても、誰も屋敷に入れず、屋敷の外に出ないで下さい。それは、レンだけではなく、誰もが、です」
決意あるサジタリーの言葉に皆が頷いた。




