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2 視聴覚破壊バッタ

マウス皇国が新たに塹壕を100列制作し、一ヶ月後に進軍をすると発表した。


この発表に一番恐怖したのはハイエナ王国である。


塹壕の大群がやってくるまえにマウス皇国を潰せ。


あの今日の塹壕を潰したのに何故ハイエナ王国は進軍をしなかったんだ。


国民の怒りは国王に向けられた。


しかし、国王は分かっていた。


たとえどれだけ大勢の兵士を動員して超スピードで進軍してもマウス皇国に着く頃には次の手を打たれて全滅させられることを。


だから国王はあの歴史的大勝利の直後にマインに依頼を出していたのだ。


「マウス皇国そのものを潰す兵器を作って欲しい」と。


「策はあります」と、マインはその時即答した。


早速研究所に戻る二人。


そして、研究所でマインが見せたのはとあるバッタだった。


「国王様、こちらは私の発明品、視聴覚破壊バッタです。ご覧になる前にこれを」


そう言ってマインは国王に耳栓とサングラスを渡し、国王は素直にそれを装着した。


次の瞬間、バッタがとてつもない爆音で鳴き始め、凄まじい光で瞬き始めた。


「な、なんだこれは!!」


「これが視聴覚破壊バッタの能力です!! セミとホタルとバッタのキメラで、本来は拷問用に作ったのですがこれを大自然に放ちます!!」


「なにっ?!」


「このバッタは卵から一週間で成虫になり、森林や穀倉地帯などあらゆる植物を食い荒らす蝗害を引き起こします!! こいつを我が国の国境に大量に放し、マウス皇国へ突撃するよう命令をします!!」


「だが!! バッタなんて簡単に屠られるのではないか?! それに、屠られなくても塹壕100列を潰すことはできないだろう?!」


「まあ見ていてください!!」


そう言ってマインはバッタに魔法をかけて大人しくさせた。














ここはマウス皇国。


召喚勇者ソウスケ・ホリキタは自身の塹壕魔法が看破されることを予測し、塹壕魔法を全自動で発動し続ける兵器「トレンチマーチ」を量産する工場を一年前から建造していた。


そして、塹壕魔法がハイエナ王国の兵器「マインタートル」によって打ち破られたのを機にトレンチマーチの量産を開始したのだ。


こうして、ソウスケは述べ100万機のトレンチマーチを製造し、たとえ破壊されてもいくらでも補充ができる体制を整えた。


今、ソウスケは皇宮で自身のハーレム要員たちと茶会をしていた。


「でも勇者様、これだけの塹壕に配備するだけの兵士は我が皇国には……」


ソウスケの隣でマウス皇国の皇女ヘレンが尋ねる。


「いや、兵士は配備しない」


「え?」


ソウスケの突然の発言に皇女ヘレンは驚く。


「みんな、これを見てくれ」


ソウスケは皇女ヘレンを含む自身のハーレム要員に呼びかけ、無限インベントリからあるものを取り出す。


「これは現在製造しているトレンチマーチの改造バージョン、その名もトレンチマーチ改だ」


そこには、左右から銃口がちょこんとはみ出た軽自動車大の直方体の機械があった。


「この横から飛び出しているものは……」


聖女マリネがソウスケに聞く。


「これは俺の世界の武器でね、銃っていうんだ。この筒の先から弾丸っていう金属の粒が超高速で出るんだけど、この弾丸が敵に当たると敵は大ダメージを受けるんだ」


「へえ……なんか変な武器だな……っておい!」


Sランク冒険者のナーシャが発言の途中で全員に警戒を呼びかける。


全員が外に飛び出すと、皇宮の上空で一匹の赤いワイバーンが飛んでいた。


「Sランクモンスターのレッドワイバーン!? なんでこんな森から離れたところに!?」


エルフのシナモンが蒼褪めた顔をする。


「とにかく皇宮にいる奴らを全員避難させろ!! 私がこのワイバーンを食い止める!!」


ナーシャが大剣をインベントリから取り出し、身体強化の魔法を自身にかける。


「いや、その必要はない」


それを止めたのはソウスケだった。


「おい! ソウスケ!! 早く逃げろ!! Eランク冒険者のお前では一瞬で奴のバーストフレイムにやられちまう!!」


ナーシャがソウスケを呼び止める。


「まあ見ててよ」


そう言うとソウスケは無限インベントリから一丁の銃を取り出した。


「それは……」


「トレンチマーチの……」


「そう、銃ね。対戦車ライフルって俺の世界ではいうんだけど」


ソウスケはその対戦車ライフルを片手で軽々と構え、ピストルでも扱うかのようにレッドワイバーンに照準を合わせる。。


すると、瞬時に銃口の先端とワイバーンの眼前に魔法陣が現れた。


「あれは……転移魔法!?」


「ご名答」


ソウスケが引き金を引く。


爆発音と衝撃波がソウスケを襲い、次に硝煙がソウスケを包み込む。


「あ! ワイバーンが!!」


シナモンが上空を指す。


そこには頭部が丸々消失したワイバーンが墜落している姿があった。


硝煙が晴れるとそこには何事もなかったかのように立ち尽くすソウスケがいた。


沈黙するハーレム要員たち。


「……あれっ? 俺、何かやっちゃいました?」


ソウスケは場の空気が気不味くなりお決まり文句を言う。


「ま、まあ、量産したトレンチマーチにはこの銃を全て装備してあるんだ。だから塹壕から兵士に魔法を撃たせるんじゃなくて、塹壕に敵を落として始末することにすれば兵士はいらないだろう?」


「……なんて恐ろしい」


「あの銃とかいう兵器の反動を片腕一本で……」


「そのうえ、はるか上空のレッドワイバーンの頭を正確に撃ち抜いた……」


「心底敵じゃなくてよかったと思います……」


ハーレム要員が蒼褪めながら口々に言う。


「た、大変です! 皇女様!! ソウスケ様!! 今すぐお逃げください!!」


その時、兵士の一人がソウスケ達の前に慌てた様子で現れた。

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