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異世界転生したくない!  作者: 紫 和春


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第24話 作成

 軍の駐屯地にある庁舎の応接室で夜を明かした志木とルーナ。

 ソファで横になっていたものの、体がバキバキである。

「さて……、トイレにでも行くか……」

 そういって荷物の中を探り、あるものを取り出す。

 石鹸だ。以前実験として作っていたものを利用している。

 しかし予想よりも減りが早く、残りわずかとなっていた。

「そろそろ新しい石鹸作るかね……」

 見張りの兵士に便所と手洗い場の場所を聞き、用を足しに行く。

 手を洗って応接室に戻ったときには、ルーナは起きていた。

「おはよう、ルーナ」

「カイトおはよう……」

「今日は何か予定あったっけ?」

「うーんと……」

「本日の予定はございません」

 いつの間にか志木の後ろに付き人がいた。無音での登場で、志木は一瞬ビビった。

「よ、予定ないのか。それなら街中に出ても問題ないかな?」

「何かしたい事でもあるの?」

「前に作った石鹸使ってるんだけど、もうそろそろなくなりそうでね。街に出て買うなり材料揃えて作るなりしようかなって考えてる」

「なるほど。確かにカイトには必要かもしれないわね」

「ついでに石鹸の市場調査もすれば一石二鳥だ」

「いいわね。じゃあ一緒についていこうかしら」

「ご自由にどうぞ」

 ルーナは、志木の買い物についていくことに。

「そういうことだから、あなたもついてきて」

 ルーナは付き人に告げる。

「かしこまりました」

 その後はゆっくり朝食を取り、そのまま街へと繰り出した。

「さてさて、市販の石鹸はどこにあるかなっと」

 そういって朝市の屋台をあちこち見る。

「ここに石鹸は置いてないと思うわ」

 志木に助言するルーナ。

「あー、そういえば石鹸は高級品だって聞いたな」

「並の商人には扱えないものなの。石鹸は海辺の街が独占販売している上に、販路も限定されてるのよ」

「はえー、意外と面倒なことしてるんだな……」

「もし買いたいのなら、あっちの方の商店街に行けば、専門店があるかも」

 そういって指したのは、2ブロックほど先にあるいかにも高級そうな雰囲気を醸し出している場所だ。

「……自分らが行っていい場所なのか?」

「それは分かんない」

「うーん。……迷子の体で見に行ってみるか」

 そういって志木は、専門店が立ち並ぶエリアへフラッと立ち入る。

 3ブロックほど移動すると、石鹸を販売している専門店を見つけた。

「お、値段が書いてある」

 そういってショーウインドーに陳列されている石鹸を見る。握りこぶしより少し大きめの茶色の塊だ。どうやら値札もついているようである。

「……でも読めないな」

 残念ながら、志木はこの世界の文字を読むことが出来ない。

「ねぇ、ルーナ。これいくら?」

「どれどれ……。ぅっ……!」

 ルーナは声にならない声を出す。

「え、何? そんなにヤバい?」

「えっと……、750ゼル……」

(確か、500ゼルあれば数日は空腹に困ることはないって言ってたから……)

 志木は理解した。

「これ一個で一週間くらいの食費に匹敵する……?」

「そうね。その認識で問題ないわ」

「えぐ……」

 現代日本円で考えれば4000円くらいだろうか。日本で1個の固形石鹸を買うなら、こんな値段はしないだろう。

「これなら、各家庭で自作したほうが安上がりだな……」

「カイトもそうしたほうがいいよ」

「うん、そうするわ……」

 そういって再び朝市のほうに向かう。そのままオリーブオイルを購入。その他桶や布も買う。駐屯地へと戻った。

 そのまま兵士に灰がないか尋ね、どっさりと回収した。

「さて、作るか」

 すでに数回作っている志木。慣れた手つきで石鹸を作っていく。

 材料を混ぜ、少し休ませている間に、石鹸を固める型を用意する。

 その型に粘性の高い液体を流し込み、しばらく待つ。

「さて、後は固まるのを待つだけか」

 太陽は傾き、あと2時間ほどで夜を迎える時間だ。

「うーん。しかし、石鹸が高級品だとはなぁ……。覚悟はしていたけど、さすがに高すぎる……」

 食費としても贅沢出来る値段がついているのは、志木にとっても想定外だろう。

「こういうの、公務員試験の問題集でやった気がするな……。奢侈品だっけ?」

 前世の懐かしい記憶がよみがえってくる。

 そして再び決意するのだった。

「やっぱり、俺がちゃんとした石鹸製造業者になるしかないな」

 決意を改めて口にするが、不安が襲ってきた。

「大丈夫かな……? 厚生局からはGOサインが出てるけど、すでにいる製造業者と衝突しないかな……?」

 しかし、今から心配しても仕方ないだろう。

 志木は何度目かの腹をくくる覚悟をした。

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