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ガラガラガラ・・・・


体に振動を感じ、虎は意識を取り戻した。

薄目を恐る恐る開ける。

眩しい!

虎は強い光の刺激に再び目を閉じ、またゆっくりと目を開けた。


空だ。

光の正体は太陽だった。 檻の中で何年も暮らしてきた虎にとって、空を眺めることはとても久しぶりのことだった。

ゆっくりと太陽のまわりを雲が流れている。


『な・・・・なんだココは・・・ 俺は生きているのか!?』


虎は自分の体を確かめたが、何ともない。だが揺れていた。

虎は荷車に乗っていたのだ。 それも檻に入れられているわけでも、縄で縛られているわけでもない。


「よく眠りましたね。もうお昼ですよ」


荷車を引きながらミコトが顔だけ虎の方に向け挨拶をした。

虎を乗せた荷車はガタガタの山道を進んでいた。 

ミコトは虎を仮死状態にする毒を飲ませ、中年の老人から死んだと思わせた虎と”絶対発毛毒”を交換したのだ。


「かなり南の土地なんですけど、野生で虎が住んでいる森があるって、さっきペンペン草さんから聞きました。私も旅のついでです。そこまでお付き合いしますよ」

『森!?』


”森”という言葉を聞いて虎の目がキラッと光った。

しかし、すぐに虎は視線を下に向けた。


『おせっかいな人間だな、お前は・・・私がそれで礼を言うとでも思っているのか?』


虎は荷車の上で不機嫌そうに耳を後ろの方に向けた。

ミコトは瞳だけを虎の方に向けた。


『この歳で野生でやっていけるわけがないだろう? 狩りの仕方すら知らんのだぞ。飢え死にがオチだ』


虎の言葉にミコトは口をつぐんだ。

自分の考えが足りなかった事を悟った。


『だいいち。 私は生肉には興味がない。きっちり調理さて絶妙に味付けされた物でなければとても食べる気にはなれん』


ミコトは無言で荷車を引き続けた。

やがて一面に田園風景が広がる平坦な道に出た。

脇には小川が流れトンボがスーッと飛んでいった。


「そうだ!! 」


ミコトは何か思いついたように、山に向かう道を曲がり、その田園を営んでいる農家集落の方向に向かった。


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