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言葉

林檎、蜜柑、瓜。   

魚に干し肉。

着物にわらじ・・・


市場はザワザワと賑わっていた。

着ている着物が違う所を見ると民族がバラバラのようだ。


そんな中に一人、変わった品を売るものがいた。


「毒~ 毒はいらんかね~ 毒と言っても体にいい毒ですよ~」


”毒”と書かれたノボリを横にさし地面に敷いた風呂敷には、貝の中に入った得体のしれないクリーム状のものや、小さな壷が沢山ならんでいる。

しかし、客は全く立ち止まらない。 

主人は大きなため息をついた。・・・・・ん?

この主人・・・ミコトだ。


「はぁ~ ダメだ 全然売れない。 ただでさえ説明がいる商品なのに言葉が全く通じないとは・・・・」


ぐうぅぅ と腹が鳴る。


「お腹減った。 あー 大陸なんて来なきゃ良かった」


そう呟くと、ガックリと首を垂れた。

その時、誰かがミコトに話しかけた。


「是不是賣著你毒?」


ミコトが顔を向けると、その中老の男は長いひげを親指と人差し指で延ばしながら、ペラペラとどこかの言葉でまくし立てている。


「想其實使用毒殺死動物、想用儘可能不感到痛苦的毒殺」


ミコトは全く言葉の理解が付かない。だが客であることは確かそうだ。千載一遇の好機とばかりに負けじと売り文句を並べ立てた。


「これはどうです。”絶対発毛毒” これもうオススメです。 3ヶ月くらい凄い激痛が遅いますが、4ヶ月目にはフサフサですよ! わかるー? フーサ フーサ」


ミコトは発毛毒と書かれた壷を片手に持ちながら必死に発毛の表現をした。

だが、中老の男は怪訝そうな顔をすると、突然ミコトの腕を掴んだ。


「來。」

「はい? え? なんですか? 私、何にもしてませんよ。 ちょっと!!」


ミコトは商品を何とか片手でクシャクシャにまとめ、男に引っ張られていった。

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