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甘やかな毒  作者: Goat
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 煙草のけむりが、甘い匂いの満ちた部屋に漂う。

 よれたシーツ一枚だけを身体に掛けて、私は隣で寝る男に尋ねる。


「ねぇ・・、次はいつ買って下さるの?」


「やけに積極的じゃないか。前までの君は、もっとつっけんどんだった気がしたが・・。何かあったのかね?心変わりのするようなことが」


 中年の男は言いながら、私の腰に手を回す。

 その腕に巻きとられるようにして身体を起こし、男の上に跨る形になる。


「いいえ?あ、でも強いて言うなら・・」


 窓に自分の姿が映っている。

 こちらを指さし、嗤っている。

 その後ろ、数百人の影が私を蔑んでいる。

 ニィハも、セブも私を(そし)り、なじり、叫んでいる。

 彼らの純粋で綺麗な心がたくさん泣いている。


 ──とっても気持ちがいい。


「煩わしかった虫の巣をようやく取り除けたことかしら」


 私は私でいい。それでいいんだ。

 飼われていたい。堕落していたい。自由なんかいらない。

 ただ家畜のように与えられる快楽に溺れていたい。

 真っすぐで純粋な心を裏切る快感は、甘やかな毒だ。

 知ってしまったら、抜け出せない。


 ──でも、もうそれでいい。


 何も考えないでいられるなら、それで。




 ——4日、サースシティ地下で反政府集団による秘密集会が行われていたのが発見されました。

 集会のメンバーの中には区画管理執政官であるディズ・エンゲル氏と、息子であるセブ・エンゲル氏の姿もあり、執政官、およびその親族で初の反逆罪適用の事例となりました。

 粛清は昨日滞りなく行われ、次期執行官にはダフト・ボズマン氏が就任する模様です。

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