七 終章
私の魂は其処から上昇した。
途中で案内人の爺さんに掴まれた。
「どうやら全うしたようだな?」
「あれで良いのですか?」
「自分で死に行った訳ではないので良い。ではチャンスをやろう、死ぬ五分前
まで時間を戻す、それで変化が無かったらあの世に行って貰う。ええい!」
「グエー 苦しい! 心臓が破裂しそうだ! グワー」
顔が苦しさから歪んでいる。
足が苦しみで曲がり始めた。
駄目だ! 心臓が止まった。五分じゃ何もできない・・・・
トンと曲がった足が洋服タンスにぶつかった。
ゴロ、ゴロと小さい音がした。
洋服タンスの上にボーリングの玉が置いてあり転がり始めた。
あれは麻友から預かったものだ。
私にそれが見えるのはもう幽体離脱をしているからだった。
ボーリングの玉はタンスから私の体に落ちた。
しかも心臓付近にドンと落ちた。
死んだ後で良かったと思った時、ドンク、ドンクの音と共に私の魂は醜い体
に吸い込まれた。
「ぷはー」私は生き返った。
ボーリングの玉の衝撃で心臓が動いたらしい。
襖が開き母親が入って来た。
「そんな処で寝ていると風邪ひくよ。布団で寝なさい」と電気を点けた。
「和夫、如何したの? 随分酷い顔しているよ。鏡を見てみなさい」
と言われ洗面所の鏡に移った自分の顔は酷いものだった。
和夫はそれから少しずつ運動もして体重を減らしたがポッチャリ系で止まった。
暫くして同窓会で高宮玲と再会してめでたく結婚出来た。
私も両親も御糞体の霊力のお陰と喜んでいました。
ふと庭を見ると御糞体は風雨に晒されて無くなり父が建てた
祠だけが残っていました。
読んで頂き有難うございました・