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再編成

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今までのエピソードも随時直す予定です

 その後、病み上がりのゆじゅちゃんに無理をさせないように解散した。

今は次の日の朝食後でチャオロさんが話をしたいって言うので居間に集まってる。

「皆さん昨日はお疲れ様だぽ。昨晩考えたんだけど、エルディー国に危機が迫っているのならおいら達も旅に同道するぽよ。んでね、今後の旅はおいらがリダしたいんだけど良い?」

そう言われてみんなはそれぞれ他の人達の表情を伺ってる。

「オートリーダースキル持ってる人大歓迎。あたしは無責任でいたいしね」

「チマちゃんはチャオロの守備範囲外じゃから気楽に言ってくれるのぉ…。じゃが戦力が上がるなら悪くはないのじゃ」

チマちゃんとゆじゅちゃんがそう言ったら、

他の人達も「異議なし」「任せる」とか銘々に賛成する声を上げた。

「お払い箱…」ってケンジャ様だけがちょっと残念そうな表情だったよ。

「おkおk、では早速なんだけど、パーティ編成が無茶苦茶だから再編したいんだぽ。でさ、この中で盾役できる人は挙手してちょ~。できればフレヤ以外にあと三人程欲しいんだぽ。今までフレヤがメインタンクなのは妥当だけど、魔道士のケンジャちゃんまでタンクをやってたなんて狂気の沙汰だよ…」

チャオロさんがまたまた(あき)れてる。

言われてみれば…。ケンジャ様が普通に先頭に立つから当たり前に感じてたよ!

「僕はそれなりにできますけれど、盾を持ってませんです」

そう言ったのは弓組のオレークさん。

パーティの中でダントツの筋肉保持率な人だね。

「家に一通りの装備を用意してあるから大丈夫だぽ」

「僕とマトヴェイもできるよ」と言ったのはアガフォンさん。

「アガフォンとマトヴェイはできればアタッカーになって欲しいな。他にいなかったら頼むんだお」

「オレも一応できるぞ」

続いて遠慮がちに手を上げて言ったのはベアダ組のムレジさん。

ムレジさんが盾を使ってる所を見たことがなかったから知らなかったー。

「うぃうぃ、あと一人だぽ」

とチャオロさんがみんなを見渡したけど、他に名乗りを上げる人がいない。

「召喚精霊のロータルが生粋のタンクじゃが、それでは駄目かの?」

ゆじゅちゃんが聞いた。そんな精霊がいるの知らなかったや。

「ゆじゅっ子は二体しか同時召喚できないでそ、一枠使うのもったいないぽ。

召喚にひと手間掛かるから咄嗟(とっさ)の対処ができないし、街中とかでトレントなんて巨体呼んだら大騒ぎになっちゃう。屋内だとそもそも呼び出す事もできないから却下だぬ。ズキはどう? 士官学校でやらなかったんだぽ?」

「いや、指揮官は後方で全体を見渡すポジションだから、視線と思考が固定される盾役は害にしかならないって言われて禁止されてたぞ」

「指揮官なら各々のポジションがどういう負担を抱えるのか知るために、一通り経験しておくほうが良いと思うんだぬ。ズキは近接アタッカーで土魔法に慣れてるんだっけ。なら基本はアタッカーをやって土魔法でタンクの補助をしてもらおっかな。それとズキは剣から槍に武装変更ね。タンクの後ろから攻撃してもらう形だけど、剣だと届かないし一々魔法で攻撃するのも長期戦になった場合不利になるから」

「ん、分かった」

「そうすると一番中途半端なチマ婆さんや、タンク覚えてみないかね?」

いきなりチマちゃんに話を振られてチマちゃんがびっくりした顔。

「え? 今からジョブチェンジ?」

「だぽ。シルフ召喚を覚えたんなら魔力をそっちに使ったほうがいいでそ? そうしたら攻撃魔法を使えなくて本体の攻撃力は下がるけど、攻撃と補助をシルフに任せてタンクをやればパーティ全体の安定感が出るんだぬ」

「盾を持ち歩くの重そうでなんか嫌だな~…」

チマちゃんが顔を(しか)めて嫌々オーラをにじみ出してる。

「おいらの腕輪型の魔道具貸したげよか? レベル三相当の置き盾マジックバリアと追従盾のモバイルディフェンスの二種類を選んで出せる優れモノ」

「魔力吸われちゃうじゃん!」

「大丈夫ぽ、魔道具にストックされた魔力を消費して発動するから。左手首に装備して使うんだけど左手の小手と仕込みの銅の矢が不要になるから三キロ位軽くなるお」

「うわ、欲しいかも!」

「貸すだけだお。それと壊したら弁償だぬ」

「おいくら万円?」

「国が一つ買えるくらい」

チャオロさんがニコニコしながら言った。

「んな訳あるかい! レベル三の魔法呼び出し程度でありえんわ!」

「ドラゴンの角から削り出した『魔力の腕輪』がベースなんでつよ。歴史上討伐されたドラゴンは一体しかいないはずだから、魔力の腕輪は左右の角から取れた二個しか世界にないんだお。ドラゴンの唸るほどの魔力の半分がストックされてて、使用者の魔力が枯渇した時に腕輪から補充できる超優れモノ。ってかそっちが本来の使い方。だからマジで国が買えるんだぽ」

「……へ?」

チマちゃんの目が点になってフリーズした!

そのチマちゃんの横からすかさずスッと右手が出てきた。

「…ケンジャちゃん何その手…」

「おくれ♪」と一言…。

「対価は?」

「えへ、一万年ローンで~」ってはにかんでりゅ!

「ダメだわこのアホの子…、自社ローンのリボ払いにするぞっと…」


 「さて続きましてタンクを四人選んだから気づいたと思うけど、パーティを斥候隊と本隊の二つに分けるぽよ。斥候隊は本隊から先行して囮になって野盗と魔物の処理だぬ。今まで旅をしてきた大陸南部と違って魔物の数と強さが根本的に違うぽよ」

「そういえば、この旅で生きた魔物はタイサイ一匹しか見ておらんぞい。死にかけてまで魔物と戦う練習に行ったのにのお…」

ゆじゅちゃんが遠い目をしてりゅ。

「野盗もこの北のポイス・コノッタとフォーアンジ・コノッタの二国。国民総野盗だと思ってくれて間違いないぽ。道徳とかいう単語自体が存在しない未文明地帯だからね、話して一見温厚そうに見える人も隙を見たら襲ってくるんだぬ。この先の人々と接する時は野良の獣と相対していると思うといいよ。機嫌が良くて相手になってくれていると思っても、よそ見した瞬間に首に噛みつかれるって感じで注意するぽ。そんで、移動中の話でつが斥候隊は穀倉地帯で四キロ、森林地帯で二キロ位先行してもらう予定」

「少し離し過ぎじゃないか?

お互い見えなくてはぐれちまうだろ?」

壁に寄りかかってるサンサさんが質問した。

「通信魔道具を使います。盗撮もできる優れモノでつ。ってか本来の使い方」

「おいくら万円?」

またこの展開だね。

「一セットをゲットするために貴族の地位と領地売っぱらいまつた♪」

「さすがアホの子の親分だわ…」

「おくれ~」

そしてまたケンジャ様…。

「グダりそうなので本題に戻りまつね。グループ分けは昨晩考えておいたんだぬ。まずは索敵班の編成から発表だぬ。指揮はケンジャちゃんで。ポイントマンにチャイチャイ。タンクはオレーク・フォルトフとムレジ・ワ・マジ。アタッカーはズキとマトヴェイ。レンジャーはクレメンチーナ、シードル、アルテナイとヴィタリー・メレフ。AoEメイジはケンジャちゃんの兼任と深紅。サポートはおいらが召喚するシルフを同行させるぽ。以上十名と二体、ケンジャちゃんとアルテナイ婆さんは西言語の通訳もお願いぽ」

「お任せくださいな」すまし顔で答えるアルテナイさん。

チマちゃんと違ってスルースキル高いな。

チマちゃんはノリツッコミのお約束を守ってくれるから律儀とも言えるけどね。

「昨日決めたって、あたしが盾やるの最初からさせる気だったじゃない…」

チマちゃんが愚痴ってるけれど、魔道具を手に顔がにやけてる。

「魔道具で買収できるの分かってましたから」

ニッコリと微笑むちゃっかりチャオロさん、抜け目がないね。

「僕も槍に変えた方がいいのかな」

マトヴェイさんがチャオロさんに聞いた。

「うむ、何(から)か持ってるから馴染むやつを選ぶと良いぽ」

「なんか人数偏ってない? こっちの戦闘要員って六人だけよね?

アタッカーなんかパトリだけじゃん」

チマちゃんが聞き返す。

「その中においらがいまつ。わぁ安心だね!」

「あんたは襲う方でしょ?」

「失敬な。婆さんを襲うほど飢えてませんよ?」

「がうぅぅっ!」

チャオロさんの挑発にチマちゃんが唸り声をあげて威嚇してりゅ…。

「なあコノ、この二人いいコンビだって思うよな」

隣りにいるエブロきゅんが話を振ってきた。

「ね~、退屈しない旅になりそうだよね~」

「私にとっては緊張が絶えなそうで気が重いよぉ」

ホウサちゃんが体をウネウネと揺らしてりゅ。

ナイーブタコダンスと命名しよう。

「チマ婆さんのシルフとかゆじゅっ子の召喚精霊おるし、おいらも各種召喚取り揃えてるぽ。むしろ攻撃力過剰かも?」

「チャオロは同時召喚何体までいけるのじゃ?」

「今は五体かも?」

「何故に疑問形なのじゃ…。まぁ良かろう。護衛六人に精霊六体、妾も攻撃に参加するじゃろ。ホウサちゃんも昨日なにやら未申告の魔道具でレッツスプラッタじゃし、…十分過ぎるほどに過剰じゃのお…」

「俺は戦力外だからな~。俺も戦うんだって意気込んでたけどよ、神樹の森出てからの戦い見続けてぶっちゃけ無理ってわからされた」

エブロきゅんがそう言ってため息をつく。

「わからせ系?」

「チマちゃんがまた意味不明な発言しておる」

ゆじゅちゃんが首を傾げているけれど、

理解してしまったぼっきゅんはチマちゃんの同類かも…。

一瞬目が合ったホウサちゃんも目を逸らしたってことは…。

あぁ、ホウサちゃんはもっと純粋だと思ってたのに!」

「コノ、役立たずコンビは後ろから応援しような!」

「え? ぼっきゅんは回復の魔道具持ってるから普通に役に立つよ?」

ポッケから回復のタリスマンを出してチラッと見せびらかす。

「ちっきしょ~!!! 役立たずは俺だけか~!」

頭を抱えて大げさに体をよじるエブロきゅん。

「コノ君は回復の魔道具なんて激レアなもの持っていたのね! 良かったぽ、索敵班に回復役がいないから困っていたんだぬ。没収!」

…ひったくられた……。

「ファン感涙! 役立たずコンビ十秒ぶりに再結成!」

「再結成おめでと~、パチパチ~」

パトリさんが拍手をしながらニヤリとしてきた。

フレヤちゃんと深紅さんまで一緒になって拍手してるし…。

深紅さんの立ち位置はそっちのグループだったのね。

「待って~、ぼっきゅんがそっちのパーティに行けばいいんじゃないの?」

「守る対象を分散させてどうするんですか、大人しく守られていなされ」

「ぼっきゅんのアイテムが…」

「これあげるから我慢してちょ」

とチャオロさんがなにか小さな袋を渡してきたよ。

「これはなに?」袋を開けながら聞く。

中には半透明のオレンジ色の丸っこいのが何個も入っていて一個取り出す。

表面にサラサラな粉がついてる。

「元気が出る飴ちゃんだぽ」

「体力とか上がるの?」

「いんや~? 頭の中が幸せハッピー! になれるだけ」

「それってダメな奴じゃんっ!」

「うふふ、表面の粉を触っただけでも効果があるんだぬ」

「うあぁっ! 触っちゃった触っちゃった!」

慌てて袋に戻して手を洗いにダッシュ!

 居間に戻ってくるとチマちゃんが楽しそうに魔法の盾を振り回してる。

一辺三十センチ位の六角形で半透明の盾が腕にくっついて動いてる。

「これちょー楽しい! 重さと空気抵抗を全く感じさせないのよ!」

「マジックバリアの場合は数メートルの範囲内なら任意の場所に出せるぽ。頭の中で思い浮かべるだけで出せるから視界外の後ろにも出せるぽ」

途端にチマちゃんの腕の盾が消えて後ろに二メートル四方の盾が出現。

「うわお! 大きさも好きにできるのね!」

「大きくしすぎるとその分脆くなるから注意」

「でもマジックバリアとモバイルディフェンスって動かないか動かせるか違うだけなの?」

チマちゃんがバリアをコンコンと叩きながら聞いた。

「その魔道具で例えるとするなら~、同じ大きさで比べた場合マジックバリアの方がずっと頑丈。マジックバリアだとレベル四の貫通魔法を防げるけどモバディフェだと無理ぽ。モバディフェの利点としては慣れると好きな造形や色透明度で発動できるぽ」

「ふーん、マジックバリアって格上の魔法まで防げるのね」

「消費魔力が多いのじゃが数ある防御魔法の中で一番硬いからのお。

『大消費だけど大出力』が好きのケンジャ様が愛用する魔法だけはあるのじゃ」

「魔力切れの心配はないのかしら?」

「素材元のドラゴンの魔力総量からすると百年つけっぱでも平気だぬ。でも魔力貯蔵の腕輪部分はそうでも、防御魔法発生部分は安物だからつけっぱだとオーバーヒートしちゃうぽ。一度オーバーヒートしちゃうと三日は使えなくなるから気をつける必要はある。連続使用の限度は三十分くらいを目安にしておくといいぽ。あとその腕輪の中の魔力を利用して自分が魔法を使う時、体にすんごい負担が掛かるから根性ないとぶっ倒れるお」

「根性でどうにかなるものなの?」

「むしろ根性で耐える以外の方法がないんだぬ」

「なら大丈夫かもね、あたし根性は売るほどあるわ」

ドヤ顔で胸を張るチマちゃん。

「じゃあ試してみるんだぬ。腕輪から魔力を移動するイメージで何か魔法使ってみそ」

チャオロさんがニコニコしながら言った。

あれだね、やれるもんならやってみろ的な挑発の顔だよ。

絶対に無理なやつ。

「よっしゃあ、……Lv2舞風ブギャアッ!」

チマちゃんが速攻で豚みたいな絶叫を上げて崩れ落ちたよ。

ビクンビクン痙攣してる…。

「おいらでさえ長年修行してレベル四を耐えるのがやっとなのに初めて使う人に耐えられたら面子丸つぶれなんだぬ」

使った後にその台詞とか完全に遊んでるな~。

「わたしなら耐えられるのにぃ」

ケンジャ様…。

「取り敢えずチマ婆さんの意識はあるみたいだから続けましょうかね。ここより先、北の森林地帯を抜けるとポイス・コノッタに出るんだけど、ポイス・コノッタとフォーアンジ・コノッタの二国では物資が手に入らないぽ。貧乏国だから売り買いできるほどの品物がないの。だから矢とかの消耗品はここの手前のムルトの町で多めに用意して、荷の軽い人にも分散して持ち運んでもらうよ。食料も多めに持って行って適時狩りをして補充するしかないんだぬ。水は毎回魔法で確保。川の水とかきったないから煮沸しても飲めないよ。あと対流のない池ぽい場所は激しくちうい。最悪の場合、池の水に触っただけで寄生虫にやられて死ぬぽよ。何事もなければ二十日くらいで帝国文化圏まで辿り着けるから一気に突っ切る。何事も起こらないわけないんだけどね…」

「起こるのかえ?」とゆじゅちゃんが聞いた。

「あの国々は町同士で中が悪いから領主の目が厳しいんだぬ。旅人なんか見つかったらカツアゲくらうぽ」

「目が厳しいって領主の兵達ですか? どうやって対処するんです?」

ズキきゅんが尋ねた。

「絡んできたら勿論ぬっころしますよ?」

「でもそれじゃあ追われる身になってしまうのでは?」

「大丈夫ぽ。見つかっただけで追われるからおんなじ。隣の領地まで行けば良くぞ戦力を削ってくれたって褒められる。真面目に答えると各領主が手駒をかき集めても精々百人くらい。超運が悪くない限り兵は領土内の拠点に分散配置してるし、装備もアガタ国周辺の野党の方が良い説まである。なによりポイス・コノッタとフォーアンジ・コノッタには魔法使いがいないぽ。村落に入る前にパーティが合流すれば村人全員が襲ってくるって事もないっしょ」

「なんていうか、サル山が沢山ある地方って思えばいいのね…」

チマちゃんはなんか諦めの境地。

「あとね、ここまでの旅で弓使いの人たちは弦を張りっぱで居たみたいね。ちょっと弓幹(ゆがら)がヘタりかけてるお。北国は湿度が高くて弓幹の劣化が半端ないから移動中弦は外しておくといいぽ。それとね、北国では植生も違うから木材になる木が貴重なんだぬ。だから弓自体が普及してないから弓組の人達は別の遠隔武器、このスリングを使ってもらおうかと思うんだけど」

そう言ってチャオロさんが取り出したのは十センチ幅の厚手の長い布。

布の片端が紐の輪っかになってる。

チャオロさんはそれをテーブルの上に広げて説明を続けた。

「このスリングっていう武器は知ってるぽ? 輪っかに手首を通して反対側を握るのね。んで、間に石を挟んで頭の上でクルクルと回転させて勢いをつけるの。投げる時に握りを離すと思った以上に狙った場所に飛んでいくんだぬ。鍛えてない女の子でも上手く使えば八十メートル以上飛ぶし、使い手ならばその倍は飛んで六十メートル位なら狙って当てられるぽ。北国では遠距離武器といえばこのスリングが一般的なんだぬ」

ボーベニルーディの弓組のみんなは興味深そうに紐を眺めてる。

「ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ! アタイの弭槍(はずやり)はテンションが掛かってないと使えないんだぞ? 弓は敵に襲われてから弦を張れってか!?」

慌てた様子で聞き返したのはサンサさん。

そっか、サンサさんは近接武器まで封じられちゃうことになるのか。

「役立たずコンビがトリオになってリニューアル!?」

エブロきゅんがヤケクソ気味にハイテンション。

「じゃあアタイがセンターな」

サンサさんが余裕綽々でエブロきゅんにウィンクして見せる。

「うぬ、あくまでも強制する訳ではないぽ。他に手がないのなら今まで通りでもいいけど、旅の途中でその武器が壊れる事も視野に入れてどうするか考えるんだぬ。それとセンターは人気投票でお願いするぽ」

冗談のキャッチボールが続いてるけどケンジャ様にはできない芸当だね。

早くも新リーダーとの差が見え始めた?

「く、しょうがねえか。んじゃアタイにも槍貸してくれな」

「うぃうぃ」

「でもさ、ここから森に入っていくんだろ? 槍で立ち回れるのか?」

ズキきゅんが尋ねる。

「ボーベニルーディの人達は気配読みができるんでそ? 森の中は獣か魔物しかおらんからの。でっかい群れに襲われない限りは近づく前に倒せると思うぽ。そのためにボーベニルーディを殆ど斥候隊に割り振ったんだぬ。勿論近距離用の予備武器も持ってもらうけどね。それに森といっても木の密度はそれほどでもなかったはずだぽ。あとね、深紅とズキの火魔法を森で撃っても湿気で燃えないから大丈夫。遠慮なくバンバン撃っちゃってちょ。深紅の火攻撃を使えば大抵の生き物は近づく前に怯むんじゃないかな」

そう言ってからチャオロさんは一同を見渡した。

「この先について大体は分かったが、追手に関してはどうなんだ?」

ムレジさんの質問。

「んまぁ、気にしないで大丈夫だと思うぽ。ゆじゅっ子の移動魔法でまけたと思うし、アガタ文化圏からの追手なんだから他文化圏に手勢がいるとは思えないぽ。北へ向かったと敵に予想されても後追いで追いかけてくるくらいでそ。他に理由はあるっていえばあるんだけど、おいらの予想でしかないから明言はしないでおくんだぬ。…あ! いちばん大事なこと忘れとった!」

いきなり大きな声でびっくりした~!

一瞬ざわついたけどチャオロさんが落ち着くように両手でゼスチャーしてる。

「あのね、怠ったら本気でモチベーションに関わることなんだけど」

って前置きしてからわざとらしく咳をしてもったいぶってる。

「各人うんこを拭く布を用意すること!」

真顔で何言ってるんだろうこの人は…。

みんな真面目に聞こうとして気勢を削がれたような氷面の表情。

「今まで通りで葉っぱじゃ駄目なのかえ?」

ゆじゅちゃんが素直に聞き返してる。

「駄目ぽ駄目ぽだ~め~ぽ~! 葉っぱの裏側はダニがビッシリなんだぬ。閲覧禁止なレベルでキモいし、噛まれたら痒くて大変だぽ」

「げ、冗談かと思ったら結構本気の案件なのね…。外では我慢して宿屋で用を足せばいいんじゃないの?」

チマちゃんがちょっと真面目な表情になって聞き返した。

「宿屋はノミとシラミの巣窟だぽ…」

「うげっ!」

の声と共にチマちゃんがフリーズした。

「とにかくこの先はムシ虫蟲のオンパレードだぬ。一応体に塗る虫よけの特性油を用意するけど気を抜くことはできないよ。アー・ディヤジュア帝国へ入るまでは虫との終わりのない戦いが続くぽ」

「いや~~~~~~!」

ホウサちゃんが壊れた!

ってかぼっきゅんも壊れそうだよ、聞いただけで文字通り虫酸(むしず)が走る!

「まあ、そういう訳でうんちを吹いた後は布を水球の魔法で頑張って洗ってね!」

みんな一様に苦虫を噛み潰したような表情の中、皮膚を硬質化できるパトリさん一人だけが勝利の微笑みを浮かべていた。

今話の最後の部分

元2chの『虫さんが走る』のネタを思い出した

『虫さんトコトコでワロタ』のレスに声に出して笑ったものだw

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