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刈り入れ時

 「…でもぉ、チマとズキも相当やらかしておるぞぉ?

なんで姫とわたしだけ正座なのだ~?」

ケンジャ様がふてくされた表情でそう言ったぴょん。

自分が落ちるなら皆巻き込めの根性だね!

よく分かる~。

ベアダの町はそういう人で溢れていて、

頑張って抜け出そうとする人を引きずり落とす…。

建設的の対義語的行動で全く褒められた行動じゃない…。

「確かに、量で言えばズキとチマのがやらかしてるけどね、

この二人は間違いに気づいて自浄できているからお説教はいりません。

つまりあなた達はペナルティが無いと学習できないと思ったんでつ!

ケンジャちゃんは相変わらずでもうおいらは気力も尽きそうで…」

『キキンッ!!』

とチャオロさんが喋っている最中に突然の金属音!

慌てて振り向いたらアガフォンさんとエメリヤンさんが抜剣して向き合ってる!

「…Lv3マジックバリア」

「ルーナエ・ルーメン!(敵全体へ思考速度低下)」

え?

チャオロさんが防御魔法を唱えて半透明のバリアで部屋が二つに分割された。

それとテーブルの下にいつの間にかケトシちゃんがいた。

バリアの向こう側は、

アガフォンさん、マトヴェイさん、オルジフさん、エメリヤンさんと、

あとずっと向こうにフレヤさんがいるけれど、

フレヤさんは翼をめいいっぱい広げて仁王立ちで通路を塞いでいる形になってる。

なにこれ?

「チッ、今の不意打ちでお前を殺せていれば生きる目もあったんだけどな…」

エメリヤンさんが不吉なことを言ってる。

「用心して帯剣はしてたが、このタイミングで来るとは思わなかったぞ?」

とアガフォンさん。

そしてマトヴェイさんとオルジフさんも剣を抜いてお互い向き合った。

なにこれ?

「ここに来て個室を与えられた時から警笛が頭に響いてたんだがな。

さっき研いでる際、ミルカが茶を持ってきた時に確信した。

盆に乗ってた小物、魔力検知の魔道具だろ。

針が常にこっちを向いていたからな。

で、廊下はドラゴン、玄関の外は弓組、

勝手口も伝説の魔道具パトリとやらがいる。

馬鹿でも包囲網だって気づくだろ?」

そう言ったのはエメリヤンさん。ぼっきゅんにはまだ理解できないよ?

「ミルカさんに魔道具を使わせたのは失敗だったな…。

今朝、お前がスパイだと聞かされたが、

信じたくなくてもう一度頼んだんだよ。

素直に信じていれば今夜寝込みにチャオロさんが精神魔法で抑えたんだがな…。

僕のせいで力沙汰になってしまったじゃん」

「兄さん、いい加減にその嘘語尾やめたら?」

マトヴェイさんがなんかツッコんだ。

「言うなよ~、エルフ達が個性的過ぎて頑張ってたのに」

「合わないよ!」

キャラ作りしてたんだね…。

ってか話を総合するとエメリヤンさんはスパイで、

バレたと確信してアガフォンさんを襲って、

それを見て弟のマトヴェイさんはオルジフさんに剣を向けた。

ってことはオルジフさんも敵?

エメリヤンさんの話だと廊下にフレヤさんがいるのも、外に弓組がいるのも、

お勝手にパトリちゃんがいるのも事前に準備されてた?

で非戦闘員を含めてぼっきゅん達はバリアの中?

なにこの精錬された作戦!

「コノ君、尊敬してくれていいんでつよ?」

うぁっ!? チャオロさんが見透かしたように話しかけてきたよ!

「チャオロさんが計画したの?」

「そだぽ。

昼間にゆじゅっ子がオルジフと二人だけになったのは想定外だったけど、

ゆじゅっ子が機転を利かせてウンディーネを呼んでくれたので助かったぽよ。

あの時点でオルジフにはバレていたと思うから。

人質にされる危険があったのよね」

「なんでスパイって分かったの?」

「ゆじゅっ子が魔法を使って大移動したのに襲われたって事は、

内部にスパイがいて敵に場所を教えていることが確定で、

スパイの可能性は旅の同行を申し込んだオルジフ以外にはありえないって、

初日にゆじゅっ子の進言があったからスパイ狩りを計画したぽ。

でもオルジフも自分がスパイだとバレるのは想定していたはず。

ならオルジフが排除された後も差し障りがないように、

他にもスパイがいるって結論なんだぽ。

で、スパイはどうやって連絡を取っているかを考えて、

場所を示す魔道具で魔力を放出していたんじゃないかって思った。

だから皆に個室をあてがって探しやすくしたんだぽ。

それでミルカ生きミイラさんの魔力検出の魔道具で、

夜中に各部屋を検索してエメリヤンの部屋から魔力の信号が出ているのを把握。

それで二人がスパイなのが確定したぽ」

理路整然とした答えだけど、

こんなシリアスな場面でもロリコンの主張をねじ込んでくるとは…。

「二つ疑問なの。

ボーベニルーディの村でオルジフさんの指揮で敵を倒したのは?

それとスパイは二人だけなの?」

「うん、ちみは賢いね。

その村で倒されたのはアガタの刺客でオルジフ達は別口のライバルって事だぽ。

それとスパイが二人だけとは言えないのも事実だけれど、

送信手段を持っているのはエメリヤンだけだから今はどうでもいいと思うのよ。

他にスパイがいても何もできないってことだからの。

でもスパイは二人だけだと思うのだ。

余剰分を担保したら元の村に必要な工作員が減っちゃうでそ?

オルジフが見つかるのは前提で予備にもう一人って考えるのが妥当なのだ」

やだこの人思考もイケメン!

好きにはならないけど…。

「好き勝手解説されてるけど動かないのかい?」

アガフォンさんが挑発ぽい事を言う。

「ただでさえお前には勝てない上に、

この室内、長物を振り回せない様に小物配置されてるだろ。

それに、くそっ! 魔法を受けて頭が回らないんだよ。

ここまでされたんじゃ動いた瞬間殺されるだけだからな…」

「投降は?」

「するわけ無い!」

そう言ってエメリヤンさんが突きを繰り出した。

長巻きっていう武器をこの場所で最大限に活かせるのは槍として使うしかないの。

でもアガフォンさんは長巻きを余裕で打ち下ろした後に右袈裟斬りで一刀両断。

勝負にもならなかったけど、

連日見知った人がやられるのを見るのは辛いよ…。

その瞬間、オルジフさんがお勝手に向かって走り出した。

「敵は殺す」

その声と同時にオルジフさんが弾けた!

ごめん、吐く…。


夕食全部吐いちゃった…。

あの声はパトリちゃんじゃなくてホウサちゃんだったよね?

お勝手の入口にいるのホウサちゃんだもん。

でもあの表情はぼっきゅんの好きなホウサちゃんじゃない…。

氷の魔人さんだよ。

「フレヤちゃん、外の人呼んできてちょ」

「あいあい、あっさり終わったね!」

フレヤちゃんはそういって玄関の方に走っていった。

「妾達の出番はなしか~」

ってゆじゅちゃんが気の抜けた声で言った。

今二人死んだのに全く動じてない。

さすが歴戦?

「王女は自分で動くなって、さっきおいらが説教したばかりなのに…」

チャオロさんのその言葉でゆじゅちゃんがしまったって顔をした。

「わたしもする事なかった~」

「ケンジャちゃんは爆豪塵しか使わないでそ、室内で撃たれちゃたまらん」

「今回の事は大変勉強になりました」

ズキきゅんがチャオロさんにお辞儀した。

みんな知っていたのね…。

「え? え? 何? みんな知ってたの?」

チマちゃんが驚いてる。

ぼっきゅんと同じで何も聞かされてなかった感じ。

何? ハブられたの? いじめ?

「オルジフとエメリヤンのいない場所で説明しようとしたのじゃが、

チマちゃんはひたすら格闘していたから言う機会がなかったのじゃ」

「あたし誰とも戦ってないよ?」

「チマ婆さんはババアウンコと格闘していて埒が明かないから省いたぽ」

「ババアウンコ…、もとい、チマちゃんはトイレに篭っておったじゃろ…」

「…ゆじゅの部屋ではそうだったけれどさ、

昼にズキ達と外で話したじゃん、なんでその時に言わなかったのよさ?」

「ズバリ、深紅が信用を置けるか不明だったから言えなかったんだよ」

「ズバズバ言われてしまいましたわぁ。

その通り、新参者の前で核心は語るべくなかれ。

おかげで楽しいひと時を過ごせました。

それと質問よろしいかしら?

間諜が送信していたならば追手が迫っているのでは?」

そういえば、追手自体の事を忘れてたよ!

「追手はこちらを見失っておるはずじゃぞい。

チャオロはのぉ、人には言えん研究をするために人里離れたここに住んでおる。

狙われる研究のため身を隠す小細工は何百年も欠かしておらぬのじゃ。

手前の町に入った時点で敵はこちらを見失っておるはずじゃ」

深紅さんの言葉にゆじゅちゃんが答えた。

「どゆこと?」

とはチマちゃん。

「最寄りのムルトの町に超広範囲の魔力拡散の魔道具を仕込んであるんだぽ。

ここも範囲内だからムルトまで魔法で飛んだという事はバレていても、

町から離れてこんな所にいると考える者はいないぽよ。

詳しく調べれば妨害の中心がムルトにあると分かるから、

潜伏しているとすればムルトだと敵は思うはずなんだぽ」

「うむ、チャオロの所に来たのはケンジャ様の治療の他に、

追手を()く事も兼ねておったのじゃ」

「そんな大層な物が設置されているのなら、

ここら辺一帯は魔法が使えないんじゃないの?」

体内の魔力には影響を与えないから魔法は普通に使えるお。

放出系の魔道具だけを妨害しているんだぽ」

「じゃあなんで妨害されてたエメリヤンの魔道具を検知できたの?」

「単純にすぐ近くだったから。

ちと話は待って。血が固まるまでにお掃除しておく。

キモいからみんなは目を瞑っておいたほうがいいぽよ」

チャオロさんはそう言うと全員を見渡した。

これ以上キモいのは限界なので真っ先に目を瞑った!

「召喚トゥルバ・グローサ!」

何かを召喚した。なんかグチュグチュって音が部屋のあっちこっちから…。

「蟲くんたち、床にごちそうが落ちているぽよ、食べちゃって下さい。

でも生きてる子は食べちゃ駄目だぽ!」

今この人とんでもない事言った!

部屋の中のグチュグチュの音の音量がどんどん上がっていくよ!

『ガチャッ』

今の音は玄関が開いた音かな。

「あっけなく終わったって?

この手でボーベニルーディの恥を注ぎゃああああああぁぁぁっ!

ウジ!ウジ!巨大ウジ~! ヒィーーーーーーー!」

ああ、聞いちゃった! 絵面が頭に思い浮かんじゃった!

クレメンチーナさん言わないで欲しかった!

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