表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/84

避暑地の事件

 その部屋はかなりの広さがあるが窓が一つもない部屋だった。

数個の本棚が置いてあり大きなテーブルが真ん中に置かれ、

本棚には数え切れない程の書籍が並んでいる。

部屋の明かりは二脚の燭台のみで部屋の影が細かく揺れ動いていた。

テーブルを挟むように三人の人がいた。

壮年の男が一人立派な椅子に座っている、

向かいに赤茶の髪の長い女性が足をテーブルに投げて座っており、

その横に目付きの非常に鋭い背の低めだが壮健な体つきの中年男性が立っている。

「しかし、何故貴方はその様な事をご存知で?」

椅子に座っている壮年の男はワインを飲み干しグラスを置きながら、

向かいの女性に対して語りかけた。

女性は不機嫌そうな顔をし、左手で自身の髪をいじりながら初老の男を見ている。

(しばら)く待っても女性は返事を返す様子はなかった。

「…どうやら失礼な詮索だったようですな。

さて、儀式の手順は分かりましたが、

肝心の(にえ)に足る条件を持つ人物の選定はどうしますか?

今から探したのでは間に合いませんぞ?」

その言葉を聞いて軽く息を吐いた女性は今度は返答をした。

「それならステラ第三王女で十分だ。

あれはまだ力を発現してないだけで血を濃く受け継いでいる。

都合の良いことに王女は今、このルミナスの城ではなくサイリスタの療養所だ。

警備も手薄で手頃ではないか?」

女の声は高めで、落ち着いた口調で話した。

女性の言葉を聞いた壮年の男はひどく驚いた様子を見せた。

「なんと…、あの病弱な王女が…」

「そういうものさ、さあ、伝えることは伝えたわ、

私の方でも準備が必要なのでこれで失礼させて貰うわ。

せいぜい成功を祈るとしましょう、それではお休みなさい」

そう言って女性が立ち上がった。

…ロッキ、お願…」

女性の言葉が終わる前に、二人の姿は消え去った。

残された壮年の男はテーブルに肘をつき顎髭(あごひげ)に手をやった。

女性のいた空間から視線を()らさずに独り言を呟いた。

「…人の姿なんぞしやがって……。

しかし白金竜か…」

そして、グラスに新しいワインを注ぐのだった。


 ゆじゅ一行がサイリスタの町についたのは昼も大分過ぎた頃だった。

サイリスタはアガタ国内の避暑地として知られ、

町の中にも多くの緑が取り入れられ、ゆったりと過ごすのに適した地だが、

高地にあるサイリスタは春のうちではまだ夜になると肌寒さを感じる時期である。

そのせいか町に見える人通りも少なく閑散としていると言い換えてもいい。

「コトブスからも乗合馬車があって良かったわね、

あたしが巡礼した時はまだ乗合馬車はコトブスまでは来てなかったのよ」

とチマがゆじゅに語って聞かせた。

「ほお、しかし此の町は清々(すがすが)しい場所じゃのお」ゆじゅが深呼吸をした。

「取り敢えずぅ宿を探すとするかぁ」とのケンジャ様の言で一行は歩き始めた。

町に建っている建物は豪邸が沢山並んでいる。

「はあ、どこもかしこも妾の珊瑚宮より立派じゃなあ」

ゆじゅは感嘆の声をこぼした。

「早速宿をさがそ~」とケンジャ様が町の中へと入っていく。

一行はキョロキョロと町を見回しながらついていった。

 『常春の泉亭』はサイリスタ中央公園の正面にあった。

一行は町中をかなり歩き回りようやく常春の泉亭という名の宿屋を見つけたのだ。

常春の泉亭に入ってみると手入れの行き届いたロビーが広がり、

豪華な置物が多々飾られた中にカウンターが置かれてあった。

ゆじゅが今までに泊まった数件の宿屋の一階といえば、

食堂とそこにいる酔っぱらいが定番だったので、

ゆじゅは田舎者丸出しでロビーをキョロキョロと眺めていた。

「いらっしゃいませ、お泊りですか?」

とカウンターにいたタキシードを着こなした男性が声をかけてきた。

「五人なのですが大部屋に空きはありますか?」とズキが尋ねる。

「うちは完全個室となっておりますがそれで宜しいでしょうか?」

「むぅ、他に宿は無さそうだしぃそれしかないかのぉ」ケンジャ様が言った。

「五部屋ですと一泊サダン銀貨四枚となります」

「げ、サダン四枚!?」チマが目を見開いて大声で聞き直してしまった。

サダン銀貨四枚は銅貨で言うと四百枚になる。

今までの宿屋と比べて八十倍以上の値段だ。

「あら、お予算が厳しいのでしたら特別室にご案内致しますが如何(いかが)ですかな?

ナータン、別館に御案内なさい」

「その別館っていうのはいくらなの?」チマが聞きく。

「あら、貧しい方からはお金は頂きません、ご安心を」

「なんじゃ~? 親切な宿屋さんじゃのお」とゆじゅが感心する。

「……」対してケンジャ様はなにか言いたげであったが取り()えず無言を貫く。

そしてナータンと呼ばれた男はニコニコとしながら一行を案内し始めた。

「ケンジャ様は旅の予習でアガタ国が周辺国に圧力を与えて、

脅していると言うておったが市井(しせい)の人々は優しいんじゃのお。

案内してくれている人も良い笑顔で接客も良いのじゃ」

「俺がアガタ国に来た時は自尊心の高い国民性だと感じたんですけどね。

数十年で文化が発展したんでしょうか」ズキがゆじゅに相槌を打つ。

宿を出て三十メートル程の整備された庭地を通り抜けた所に、

受付の人が別館と呼んでいた平屋の建物があった。

「此方になります」とナータンという男性が建物の扉を開いた。

「プギーッ」「ブーブー」「フゴッフゴッ!」

とすさまじい奇声が建物の中から聞こえてきて悪臭が漂った。

「こ、これは…!?」とチマが一歩後ずさり顔をひきつらせた。

「食事用に飼育致しております豚です」と笑顔のナータンが言う。

建物内の仕切りの中で三十匹はいると思われる豚が銘々(めいめい)に動き回っていた。

ウロウロと歩き回る豚、糞をしている豚、餌を食べる豚、

別に仕切られた場所では交尾をしている豚…。

「あの他の豚の上に乗っかって腰を振っている奴は何をしているのじゃ?」

「交尾だのぉ」と無表情でケンジャ様が答える。

「交尾とはなんじゃ?」ゆじゅが聞いたことのない単語に興味を持つ。

「あんたはまだ知らなくていいの!」と途端にチマが叫ぶ。

「お客様にはこの建物が釣り合うでしょう、どうぞお(くつろ)ぎを」

ナータンは肩を震わせながら言った。

「俺達は家畜並みだと言いたいのか?」ズキがかなりの真顔で聞く。

「臭い者同士お似合いですから」そう言うとナータンは我慢できなくなり、

大声で笑いだすと腹を抱えてしゃがみ込んだ。

「こんなことだろぅと思っていたぁ…」ケンジャ様は相変わらず無表情。

「こんチクショーッ!! さっさとこんな店出ていくわよ!」

チマが激怒して帰ろうとした。

「ああ、公園などで寝ると浮浪罪で捕まりますよ?

この町には貧乏人のいる場所は御座いませんから」笑いながらナータンは言う。

一行はバカにされた悔しさで無言で宿を出ていく。

カウンターの前を通る際は受付の全員が大爆笑していたのだった。

 騒動の宿の外、少女が二人の付き人と共に街の大通りを散歩していた。

その少女、ステラは現在十九歳。

ここアガタ国のミュンテフェーリング王家の第三王女で、

王位継承権第八位となっている。

手入れの行き届いた長い黒髪に透き通るような茶色の瞳、

王女として英才教育を受けたステラは歩き方一つを見ても気品にあふれていた。

王家の顔として国民に人気があるが、生来の病弱で公の場には殆ど姿を現さない。

夏季にこのサイリスタの療養所に訪れるのは毎年の事で、

ルミナスにいる時とは違い比較的自由に行動できるサイリスタはお気に入りだ。

母の第四王妃が外国の没落貴族出身でステラも異国風の名前とあり、

王宮内では肩身の狭い思いを過ごしていたのである。

共に歩いている付き人の一人は宮廷魔道士の一人であるフェリクス。

五十二歳の小柄な男性でステラ姫が生まれた時から姫の担当を仰せつかっている。

今一人はローレンツ・ラッツェンベルガー。

アガタ国の実質の親衛隊『銀翼騎士団』の士官服に身を包んでいる。

歳は三十程で、実戦経験はないが各種武道会で優秀な成績を収めており、

剣の腕で国中に名を馳せていた。

「ローレンツ様、退屈な散歩になど付き合って頂いて申し訳なく思いますわ」

とステラが話しかけた。

「いいえ、とんでもありません、私日頃は兵役に忙しく休む暇もありませんので、

この様なゆったりした時間の過ごし方ができること、ありがたく感じます」

「まあ、その様なお応え方もありますのね」

ステラは手を口に当てて(しと)やかに笑う。

(わたくし)この町が好きなのですが、ここ数年で大分様変わりしてしまいました」

「ええ、サイリスタは避暑地として再開発が大きく進められましたからね」

「夏になるとこの閑静な町にも貴族たちが押し寄せてくるようになるのですね。

せっかくの静けさが台無しになってしまいそうですわね」

そう言って同意を(うなが)すように後ろを歩いていたフェリクスを見る。

無口なフェリクスはその通りと言う様にゆっくりと首を縦に振ると、

『それ、前を見ないと危ないですよ』と言うように顔で促した。

 ステラ達が公園の近くに来た辺りで街中(まちなか)に女性の声が大きく響き渡った。

「チクショー! 貧乏人だとバカにしやがって!

金持ちになったってこんな店来てやるもんか!」

チマが宿の前で捨て台詞を吐いているところだった。

「あら、ローレンツ様、あそこにおられる方々はエルフではありませんか?」

「その様ですね」とローレンツが返す。

ステラは人間以外の種族を見たことがない。

初めてエルフを前にして(本当に耳が長いのね)と当たり前のことに感心した。

「エルフとは高貴な種族で言葉遣いも正しいと習いましたが…。

でも、あれ程怒っている理由は察しが付きますわね、あの宿屋の名物ですもの」

「ええ、あの宿にも困ったものです、この町の品位に関わりますね」

 町を散々歩き回って(ようや)く見つけた宿屋に締め出されて途方に暮れる一行。

「あ~、ムカつくったらありゃしないわ!」

「それにしてもぉ凄い値段だったのぉ」

「俺が来た時は普通の宿屋が沢山あったんだけどな」

「あたしの時もそうだったわよ、町自体がもっと質素だったわ」

「まぁ、ここにいてもしょうがないぃ他の宿を探そ~」

そうケンジャ様が言って一行が歩き出した時に後ろから声をかけられた。

「もし、そこのエルフの方々」

話しかけてきたのはステラであった。

「なんだ~?」とケンジャ様が返事をする。

「貴方方はここの宿屋に宿泊を拒否されてしまったのでしょう?」

「そうだがぁ」

「見たところ旅をなさっているのでしょう?

この町には他に宿泊所はありませんことよ。

もしよければ今晩はうちに泊まって旅のお話でも聞かせて下さいませんこと?

あ、申し遅れましたが私ステラと言いますわ」

「姫殿下っ!」

ステラが余りにも突然に見知らぬ輩に宿を勧めたので、

ローレンツが慌てて制止しようとした。

「あら? ローレンツ様はこの町に来る時に、

どんな事があっても私を守ると仰っていたのでは?

それにこの方々が不審な者達に見えまして?

このような小さな方々までいらっしゃるのに」

ローレンツの意図を汲み取り少し皮肉気味に返す。

「確かに申しましたが…、

しかし長命のエルフは見かけで歳を判断なされてはいけませんぞ?

若い見た目でも人間では生きられぬ期間を過ごしているものなのです」

ローレンツはエルフが幼いときからゆっくりと成長すると勘違いしているようだ。

「失敬な、妾は見掛け通りの十三歳じゃぞ?」

ゆじゅの言葉でローレンツは誤りを悟り謝罪する。

「これはお嬢様失礼致しました、お許しを」胸に手を当て頭を下げる。

「如何です? 私のお誘いを受けて頂けますでしょうか?」

「ぜひ頼むぞい、そしてそちらの制服姿の御仁や、

まだ妾達の旅宿(りょしゅく)に納得しておらぬ表情じゃが、

妾も一国の王女で供回りは近衛の者達じゃ、狼藉(ろうぜき)なぞせぬので安心するが良いぞ」

「これはこれは姫君で御座いましたか、重ね重ね失礼をば」

「立ち話もなんですので私の別荘へ向かいましょう、歩いて数分の近くですのよ」

ステラがそう言いうとローレンツが先導して歩き始めた。

「ねえ、あのローレンツっていう男性かっこいいわね」

「そうなのかえ? 妾には分からぬぞよ」

などと、チマとゆじゅは小声で話しながら後をついていく。

そうしてゆじゅ一行は渡りに船とばかりにステラ達に続いたであった。

 町に並び立つ四~五階の建物ではなく、

案内された建物は二階建てで遠目には(つつ)ましやかに見えたのだが、

全貌(ぜんぼう)が見える頃まで近づくと一行はあっけにとられた。

敷地の広さはゆじゅの住んでいる王城全体よりも遥かに大きかった。

中央の建物自体もゆじゅの住む城の宮々を全て合わせたよりも大きそうであった。

ゆじゅ一行はそのでかい建物ではなく、

横にある彫刻細工の細やかな建物に連れて行かれた、迎賓館とのことだった。

客間に通されるとその客間は先程の宿のロビーのように派手さはないものの、

調和を主題にした製作者の設計が垣間見える落ち着きのある華麗さがあった。

少数ながら飾られている調度品はどれ一つとっても、

エルディー国には手の出せない高価な品なのであろう。

一行は顔が映りそうなほどに磨かれた大理石の長卓の座席に座った。

ステラも上座ではなくゆじゅ達と向き合うように長卓の横側に座る。

少しも待つこともなく一同にマーロニー茶と茶菓子が配られた。

敷地に入った時点で人数が把握され事前に準備されていたのだろう。

見ただけでは喋ることができるかすら分かりかねないフレヤにまで振る舞われた。

「それでは自己紹介をさせて頂きますね、(わたくし)はアガタ国第三王女。

ステラ・テレーザ・ザシャ・ミュンテフェーリングと申します。

隣が銀翼騎士団第二大隊長のローレンツ・オットマー・ラッツェンベルガー。

その隣が第六位宮廷魔道士のフェリクス・エトムント・マイヤーです」

ローレンツとフェリクスは礼をしてからそれぞれ椅子に座った。

「ほえぇ、長い名前なんじゃのお」ゆじゅは驚きながら続けた。

「妾はエルフとドラゴンによる合議国、

通称エルディー国の第一王女トーベの子ゆじゅ。

隣が宮廷魔道士でハイエルフであるクムベクの子ケンジャ。

続いてディクマの子チマ、イグーの子ズキ。

そして一番端がシルバードラゴンのフレヤと言うのじゃ」

ズキとチマは先に座ったのは失敗だったと思いながら名を呼ばれると頭を下げた。

「まぁ、ドラゴンですか!? 少数での旅だと思っておりましたが、

ドラゴンさんが御同行されているのならば納得ですわ。

しかし失礼でしたならば申し訳ありませんが、

私の国に伝わる白金竜様の大きさとは大分違いますのね」

「フレヤはまだ三十年しか生きていないからね!

パパ達はずっと大っきくてチマちゃんが七百五十三年生きてるって言ってたよ!」

「七百五十三年!」今まで沈黙を保ってきたフェリクスが思わず叫んでしまった。

「創世年と同じですわね」

「ええ、つまり創世神リディルによって直接作られた特別な生物なのですね。

それにそちらの御方もハイエルフと…、長年生きてこんな驚いたのは初めてです」

「爺、ハイエルフとは何でしょう?」

「エルフの中でも精霊神に見初められた者だけが祝福を受け、

肉体が精霊体に昇華して寿命の束縛から開放されると聞いたことがありますな。

その者達の事を指し、この世界を通しても百人いるかどうかと言う噂ですわい」

いつものフェリクスという人物像にしては多弁だとステラは感じた。

それ程までに驚いたという証なのだろう。

「精霊神の(くだり)は妾も知らなかったぞよ?

エルフの守護精霊神ファイーナのことかえ?」

ゆじゅがケンジャ様を覗き込んで聞いた。

「ふっふっふ、内緒だぁ」

「またでた、ケンジャ様の秘密主義」チマがツッコむ。

「ケンジャ様は昔ルミナスに住んでいて白金竜とお話したと言っておったぞよ。

そう言えば、ロアキンにもあったことはあるのかえ?」

(姫めぇ、余計なこと言いおってぇ)とケンジャ様が思いつつ答えた。

「ロアキンは見たことないぞぉ、わたしが見た魔王軍は下っ端だけだ~」

「まあ! 伝説のルミナスの守護神白金竜様とお会いになったことが!?

白金竜様はどのようなお方だったのですか?」

ステラは驚きのあまりに大きく開いた口を左手で隠しながらケンジャ様を見る。

「当時は人類の裏切り者と言われてぇ誰も会いに行かなかったからぁ、

でっかい宮殿の住まいに一人きりでぇいつも暇そうにしてたぞ~。

座るとぉ三十メートル位の大きさだったがぁ、

見た目の威圧感と違いぃ、茶目っ気があって優しかったぞ~」

「まあまあ、とても強くて偉大な御方という逸話(いつわ)ばかり残っていて、

お茶目さんだなんて言う話は初めてお伺いしましたわ、とても興味深いです」

その様な感じで話は何時間も続いた。

 日もすっかり暮れ美味しかった夕食も終わりマーロニー茶を飲んでいた時間帯。

ズキとケンジャ様にはお酒が振る舞われ、未だ一同の会話が尽きていなかった。

「では、魔王ロアキンには子供が居りましたの?」

チマが話したパールの話題にステラが食いついていた。

「実際どうでしょうか、その敵がそう言っていただけだったので」

チマは会話を進めるうちにステラとかなり意気投合していた。

「妾はテスタが()ろし奴と申す感じは思いなむぞえ」

「ゆじゅ、あんたいい加減そのアホな堅苦しい喋り方やめなさいよ。

こっちの肩がこっちゃいそうだわよ」

「なんじゃあ、折角妾が格好をつけようと…」

ゆじゅが話している時にズキの耳がピクリと動いた。

同時にステラの横に座っていたローレンツが立ち上がる。

「ローレンツ様、如何(いかが)為されましたか?」

その問いに答えたのはズキだった。

「金属音がした」ズキは不安に駆られながら言った。

(酒を飲むんじゃなかったか!?)ズキはそう思いつつ更に耳を澄ます。

耳の利くエルフと同時に反応したローレンツは人間としては驚異的な反応だった。

部屋は途端に静まり返った。

ズキとローレンツ以外の者には相変わらず何も聞こえず、

(金属音がしたから何?)位に思っていた。

ローレンツは部屋の入口の扉脇の壁に寄り掛かり静かに剣を抜いた。

ケンジャ様も何事か察し立ち上がって窓を警戒する。

その瞬間突然客間の扉が開いた、いや開いたのではない。

強い衝撃を受け蝶番(ちょうつがい)の弾けた扉が手前に向かって倒れ込んできたのだ。

扉にぶつかってきたのはローレンツと同じ騎士の軍服を着た若い男だった。

その若い騎士が扉と共に仰向けに床へ倒れた所で、

室内に焦げ茶色の装束に頭巾で身を包んだ数人の人間が走り込んできて、

その内の一人が倒れ込んでいる騎士のみぞおちを剣で突き刺した。

間髪入れずにローレンツは騎士の仇とばかりにその男の首を突いたが、

頭巾の男の反応は速く剣で弾かれた。

入り口から一番遠くにいたステラとゆじゅの反応は対照的で、

ステラは座ったまま呆気にとられていたが、

ゆじゅはテーブルに立てかけておいた杖を取り魔法詠唱の準備に入った。

チマも参戦するべくレイピアを抜き、ズキはステラを守るべく、

テーブルを飛び越えてステラの横に立ってから剣を抜いた。

「アウクシト・ミテンチェス・セレリタテム!(詠唱速度上昇)、

ダエ・プレネ・ルナエ・レベルスルス!(思考速度上昇)、

デフェンシオニス・アウクトゥス!(防御力上昇)」

机の下でおやつを食べていたケトシが支援魔法を連射した。

ケトシの魔法が発動するかどうかの瞬間に部屋の窓が割れ、

更に八人の覆面が窓を乗り越え飛び込んできた。

窓から来た覆面の内の二人がズキに向かい、三人がステラに目標を定めた。

残り三人がゆじゅ一行へと向かった。

ゆじゅとチマは得意の高速詠唱をケトシの詠唱補助魔法を受けて唱える。

「「‥Lv1風刃!」」と初対人戦とは思えない思い切りの良さで発動させた。

そのたった二秒ほどでゆじゅとチマの魔法が当たり二人の敵が崩れ落ちる。

残った一人がチマに斬りかかったが、フレヤがガキンッとその剣をつかんだ。

そのスキにチマががら空きになった相手に再び風刃を放ち敵を倒した。

一方、ステラの元に駆け寄ろうとした三人は突然前につんのめりそうになった。

三人が足元を見ると自分達の膝までが水に浸かっているのが見えた。

いつの間にか大きな水たまりができていたのである。

ステラは何が起こったのか理解ができずその水たまりを見つめるばかりだった。

何が起こったのか分からないのは覆面達三人も同じで、

とにかく水から出ようと足を進めた時、ステラは水たまりが盛り上がるのを見た。

そして、水たまりから数メートルの高さの大きな水柱が立ち上った。

それは天井まで届きそうな高さで覆面達は完全に水柱の中に消えた。

水柱が立ったのは一瞬ですぐに水は重力に従い崩れ落ちた。

水滴が少しステラの元へと飛んできてステラは反射的に手で払った。

そしてすぐに視線を戻したときには覆面の三人は消えうせていて、

代わりにベージュの服を着た褐色の肌の濡れた女性が立っていた。

ステラの思考力を完全に超えた出来事が続き頭の中が真っ白になってしまった。

「ウンディーネ、推されて(まい)る…」水たまりの中の女は静かにそう言った。

「エルケ、良くやったぞぉ」とケンジャ様が言った。

「その名前嫌いだって何度言ったかしら?」

「すまないぃ、酔っていて失念していたぁ」

ウンディーネは召喚の際に開いた門を利用して、

覆面の三人を精霊界に落としてしまったのだった。

 ローレンツは次々と襲ってくる新手と剣を交えながら、

ウンディーネの一幕を見てほっと安心した。

ローレンツは家具とテーブルの間に陣取り壁役となり既に数人倒している。

だが、まだまだ扉から敵は入ってきており油断できない。

「ローレンツ殿しゃがめ!」と後ろから声がした。

フェリクスの声だと思ったローレンツは躊躇(ちゅうちょ)なくしゃがみ込む。

次の瞬間ローレンツの上を熱風が走った。

フェリクスの得意魔法レベル二の業火球である。

火の玉は扉からでてすぐの廊下の壁に当たり廊下を瞬時に火の海にした。

燃え盛るのは一瞬なので火事になる心配はないが、

廊下にいたであろう敵は全て一掃したはずである。

ローレンツの近くにいる敵は後二人、その二人は一瞬扉に向かった魔法を見た。

ローレンツはそのスキを見逃さず、

ステップインしながら剣速を上げるため一回転し振り向きざまに一人を()いだ。

最後の一人は咄嗟(とっさ)に剣を構え直したが、

そのまえにローレンツの斬り返しの突きが喉に刺さっていた。

 一方、ウンディーネが出現した頃のズキは二人と対峙していた。

ズキは一人が斬りかかった剣をズキから向かって右に受け流し、

相手が重心をずらしたスキを斬り上げようとしたが、

人を斬ったことがないズキは瞬間躊躇(ためら)ってしまい、

その隙ににもう一人が斬りつけてきた。

ズキは咄嗟に左足を前に突き出すと斬り下ろす相手の手首を左手で掴み引っ張る。

相手はズキの左足に引っ掛かりバランスを崩して転んだ。

最初の男が体勢を直し剣を横に払ってきたので、

ズキは自分の剣で受けつつ転んでいる男の首を右足で思いきり踏みつける。

ボキッという手応えとともに転んでいた男の首が折れ動かなくなる。

一対一になってしまえば(ただ)でさえ強く更にケトシの強化を貰っているズキだ。

自分の剣を傾けながらかがみ込むと相手の剣は上をすり抜けていった。

その瞬間にズキは剣で相手の首元を斬りつける。

覆面の男は首から大量の血を出して倒れた。

それで部屋に入り込んできた覆面達は全て倒した。

 「フェリクス様! 御御足(おみあし)にお怪我を!」

フェリクスのケガに気づいたのはステラであった。

「回復だにゃん、ルーナエ・ルーチェム・レクペラティオ!」

とケトシがすかさず回復魔法を唱える。

「最初に投げナイフを喰らいましてな、なあに(ふく)(はぎ)です大丈夫。

それよりも敷地内に二個小隊百人の親衛隊がいるはずなのに誰も加勢に来ません。

(おびただ)しい数の敵が来たと見るべきでしょう。

ここにこの位しかやってこないということは殆どは本館へ向かったと思います。

いつ新手が来るかわからない状態で危険は去ってはおりません。

それと猫さんや、回復魔法感謝しますぞ」

フェリクスは言いつつ傷の痛みに顔をしかめた。

「にゃんにゃん」とケトシはお礼を聞いてモジモジと照れる。

「今の所敷地の広さに救われているな、迎賓館を守っていた部下は全滅か…。

先程はステラ殿下に三人も向かおうとしていました。

敵の目的は間違いなくステラ殿下でしょう、客人も無事に帰さねば面目が立たぬ。

ここを放棄して紅葉騎士団の詰め所に行こう、そこまで一キロ弱だ」

ローレンツの決断は迅速だった。

全幅の信頼を置いていたステラは任せるがままといった様子。

「我々はぁ、土地勘がないぃ、ついていく他ない~」ケンジャ様も同意。

「しかし、フェアリーの報告では隠し通路も含め全ての入り口に敵がいると」

(この男は召喚もできるのだのぉ)とケンジャ様は思った。

「ふむ……。

フェリクス殿、レベル三の『破砕岩』はまだ使えますか?」

土属性魔法の破砕岩とは大きな岩の質量で前方をなぎ倒す直線範囲魔法だ。

ローレンツに聞かれたフェリクスはこの騎士が何を考えているのかを察し、

一瞬の内に今後の動向と危険度を計算する。

「一発だけならば、しかし危険ですな、迎賓館横の塀を抜けて行けば、

正門の敵はかわせましょうが西門の敵に道を塞がれまする」

フェリクスは難しい顔をして答えた。

「阻まれたらやっつければいいじゃん」チマが気楽に言う。

「しかし西門にも十六人いるとの報告、壁を壊す際の轟音で屋敷の敵も気づき、

追手も掛かりましょう、そうなると大人数に挟み撃ちにされてしまうんですぞ?」

「大丈夫よ、あたし達五人とも高速詠唱できるし、

召喚獣が一体、召喚精霊が二体召喚済みだし、その三体も無詠唱魔法を使うわ。

それとケンジャ様はレベル五まで魔法が使えるのよ、十六人位一捻りよ」

「なんと! 言い方は悪いですがあなた方は化け物パーティですな……」

フェリクスは呆気(あっけ)にとられた表情をした、それも当然だ。

この世界で生活魔法以外の魔法を使えるのは一万人に一人といった割合だ。

その中でも高速詠唱を扱えるのはその内の数%にも満たない。

更に三体同時召喚という離れ業までこなす。

そしてレベル五などという高レベル魔法は人間では到底たどり着けない境地だ。

条件次第では軍の一個大隊をも倒せてしまうだろう。

「妾もレベル二の高速詠唱が使えるぞえ♪」鼻高々のゆじゅ。

「客人の手を借りよう…、形振(なりふり)り構っている場合ではない。

今すぐ実行だ、とりあえずこの窓から塀まで行くぞ!」

ローレンツはそう言うとテーブルクロスを引っ張り割れた窓枠に被せた。

部屋付きの侍女一名を含め全員が窓を乗り越えた。

 壁の側にある茂みへ着くとフェリクスが静かに話し始めた。

「これからそこの壁に穴を開けますがさっきの話の通り、

正門と西門の敵が音を聞き付け向かってくるでしょう。

穴が空いたら全員右に向かって走りなさい。

運が良ければ西門の敵より早く十字路を抜けることができるでしょう。

その十字路を一人でもいい、抜け出せたものがあれば、

真っ直ぐひたすら真っすぐ走り紅葉騎士団の詰め所に助けを求めるのだ。

詰め所は強い明かりが出ているので直ぐに分かるはず。

皆、戦えぬ侍女を守ってくだされ」

フェリクスがそう言い切った時ステラが基本的なことに気付いた。

「フェリクス様? フェリクス様は御御足をお怪我をしていて走れないのでは?」

暗くてよく分からないがステラは蒼白な顔をしている様だ。

「ええ、猫殿の回復魔法を頂きましたが走ることは叶わぬでしょう。

古今東西、足手まといは残るものと決まっているではないですか。

ほれ、以前ステラ様に読んでさしあげた、なんでしたっけ、ああ、

『オルフィレウスの息子の吟遊譚』という物語でもそうだったでしょう?

足手まといのせいで主人公が怪我をした時に、

ステラ様が大層御立腹なさっていたではないですか。

『さっさとおいていっちゃえばいいのに』って。

今がその時ですぞ、ここに穴を開けた後も何発か魔法も撃てましょうぞ。

正門からの追手の足止めはこの儂が引き受けますじゃ」

ステラはそれを聞き涙ぐむと周りの人達を見回した。

誰もが(うつむ)いており、この問題の答を与えてくれなかった。

その時、先程までいた客間で物音を聞いたローレンツが「きたっ!」と、

静かに、だが全員に聞こえるように言った。

数十メートル離れた客間に動く影があり、

そして何か大きな声で叫んでいるのが聞こえた。

「さあ、いきますぞ、皆頭を手で守って」

そう言うとフェリクスは詠唱を始めた。

(しば)しの呪文の後、空中に生成された巨大な破砕岩が壁に激突した。

 轟音とともに壁が粉々に砕け、岩は向かいの建物の壁も砕き建物に食い込む。

客間の新たな覆面達は窓から音の方を見る。

「いたぞっ! 通りに逃げるつもりだっ!」

その叫び声は壁の所にいた一行にも届いた。

「走れっ!」精一杯の声でローレンツが言った。

ローレンツはフェリクスを思い戸惑うステラを抱え通りに飛び出した。

「今は彼の無事を祈るしかない」そうステラに呟いた。

一行が走って行ったのを見届けるとフェリクスは攻撃用に詠唱を始めたが、

予定とは違い客間からも敵が来たのでそちらに対応するしかない。

一行が正門からの敵と挟み撃ちになってしまう事が確実となり、

作戦の失敗にフェリクスは忸怩(じくじ)たる思いとなった。

ローレンツは走りながら一瞬だけ後ろを振り返ると、

正門から十に近い人影が追いかけてくるのが見えた。

ローレンツはステラを降ろし「行けっ!」と言った後、

走る速度を落とし殿(しんがり)となって足の遅い人達のサポートに入る。

一方先頭を切ったズキとチマはローランドよりも大分先行し、

十字路まで百メートルといった所まで来た。

「酒飲むんじゃなかった~」とズキが泣き言をいう。

「バカッ!」ツッコむチマは酒は飲んでいなかったし精神的にも余裕そうだ。

通りの両脇を塞ぐ壁は走る者に無言の圧力を与えているようだった。

チマは走りながらも耳を澄ませ未だ見えぬ敵に集中していた。

「だめだわ先を越される! アーダ出会い頭に風一閃(かぜいっせん)を!」チマが叫ぶ。

風一閃は横方向に範囲のある前方攻撃魔法である。

首に直撃しない限り即死能力はないが多数の敵を負傷させることができる。

ゆじゅに並走してもらっていたケンジャ様は、

「濡れたウンディーネの走る姿はマヌケだのぉ」などと軽口を利いている。

(くび)るぞ?」とウンディーネが怒る。

チマが十字路まで三十メートルまで来た時に敵が十字路に現れた。

「撃てっ!」チマの合図でアーダが風一閃を放つ。

ズキは近距離魔法しか持っていないためにまだ攻撃に加われないが、

チマは風一閃で半数は怯み攻撃力を低下させられると皮算用する。

そして自分の合図とともに風刃を高速詠唱で唱え待機状態にした。

しかし、風一閃が敵に届く前に敵の周りを光の球が包んだ。

(しまった、ホーリーシールド! 敵は創世神聖教の魔道士!?)

と思うチマの目の前で風一閃は光の球に当たり消滅した。

ホーリーシールドは魔法特化防御で、

詠唱者よりも高レベルの魔法まで止めることができる。

その反面、物理攻撃や物理魔法に(もろ)く割れてしまうという欠点も持っている。

ホーリーシールドの呪文は創世神聖教が秘匿独占しているので、

チマは創世神聖教の関与を疑ったのだ。

弱気になったチマをよそに間髪入れずに「Lv2氷槍!」、

「Lv3水槍!」と言う声がチマの後ろから聞こえた。

白い槍が二本飛んでいき光の球を打ち砕き三人程を貫いた、

フレヤとウンディーネの攻撃だ。

「Lv1風刃!」チマも気を取り直し待機状態の風刃を敵に向かって放った。

アーダも再び「風一閃!」と魔法を放つ。

ズキはケンジャ様に呼ばれケンジャ様を担いでいた。

担がれたケンジャ様は後ろを向き詠唱する「……Lv3ムシャーレ~!」

数本の光の線が後ろの敵めがけて曲線を描きながら飛んでいった。

ムシャーレは発動したら必中の魔法だ。

全ての光が別々の敵に命中し一瞬で多数の命を刈り取った。

「……Lv2ムシャーレ!」ゆじゅも後ろへ向かって単体のムシャーレを放つ。

「ケトシ強化魔法が薄れてるぅ掛け直せ~」とケンジャ様。

その時、後ろで赤い光が見えた。

「敵の魔法だ~、……Lv2マジックバリア~」

ケンジャ様の作り出した半透明の直方体の壁に赤い光がぶつかり、

大きな炎となって一瞬だが後ろの視線を遮った、敵の業火球だ。

マジックバリアはホーリーシールドとは違い直方体の半透明の壁で攻撃を防ぐ。

物理攻撃、貫通攻撃にも強いが動かせないので置いたらそれで終わりである。

回り込まれて攻撃されてしまう欠点がある。

だが今いるのは両脇が壁に挟まれた通りである。

魔法を防ぎ更に多少の足止めになる。

足止めになると判断したズキはケンジャ様を降ろし、

「…Lv1追風」と唱え前方の敵を目指した。

そこにケトシの各強化魔法が再発動した。

客間の時とは違いステラとローレンツにも魔法の効果が付加される。

日頃まともに走ったことがなく疲れてきていたステラにも力が蘇る。

前後の魔法戦を見、そしてケトシの強化魔法を受けて、

ローレンツはゆじゅ一行の強さを思い知った。

正に想像を絶する戦闘力であった。

ローレンツがこれなら逃げ延びることができると思った時、

フレヤが低空を飛んで十字路の敵中に体当りしたのが見えた。

敵の真ん中数人が薙ぎ倒され敵陣形が大きく乱れた。

その隙間にチマが突入して近距離戦に入っていった。

突入する寸前に「‥Lv1風衣(ふうい)」と魔法を使い移動速度を上げ接近戦に備える。

風衣は追風とは違い全方位に移動速度の増減をする補助魔法だが、

追風程の素早さは出せず更に近くにシルフがいる時しか使用できない。

続いてズキもチマのサポートのために敵中に入って行った。

間もなく殿のローレンツもやってきたが、

そのすぐ背後には正門からの敵、更に客間にいた敵も迫っていた。

(範囲の風羽根でマジックバリアを飛び越えたかぁ)ケンジャ様はそう判断した。

そうして十字路の敵、ゆじゅステラ一行、後ろからの敵が入り乱れ乱戦となった。

ズキとローレンツはステラと侍女の二人の直衛をする。

大乱戦の中ローレンツは一人が十字路を抜け出したのを見た。ゆじゅである。

ゆじゅは十字路から十メートル程離れた所まで行くと此方(こちら)を振り返った。

ゆじゅからは敵が一行の倍位の数がいる様に見えた。

「嬢ちゃん走れっ! 助けを呼ぶんだ!」

ゆじゅはローレンツがそう叫んだのが聞こえた。

躊躇しているともう一度声が聞こえた気がしたが戦いの喧騒で確かではない。

ゆじゅは決心をし八百メートル先に見える光に向かって人気のない道を走り出す。

「…Lv1追風!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ