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第11話

自己満足で書き始めましたが、少ないながら読んでくださる方がいて嬉しいです。まだまだ書き方や設定など稚拙な部分が多いかと思いますが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

と言いつつ、なかなか書く時間が取れず、更新のペースは遅いと思います。申し訳ないです。



「…すまなかったな。」


 ルシフは氷の中で眠るニーナを見ながらそう呟くと、手の平に地獄の業火(ヘルファイア)の魔法を発動させてニーナまで燃やさないように手をかざして氷を溶かす。

 ニーナを覆っていた氷が全て溶けてニーナの体が地面に横たわると、ルシフはまだ濡れているニーナを抱きかかえると地下室をでて地上の一室にあるベッドに運んだ。


 再びニーナに手をかざすと、今度は【完全蘇生】を発動させた。

 竜王とララミリス以外に使ったことはないが、人に使っても効果は同じはずだ。

 竜王たち配下とは違い魂での繋がりがないため闇の島で試した時は発動しなかったが、元の肉体がある今なら感覚的にうまく魔法が発動したのがわかった。

 完全蘇生は低位の蘇生魔法とは違い、蘇生者のレベルや経験値の減少なくHPとMPが全快の状態で蘇生させるルシフの使える唯一の最上位の回復魔法だ。


 ニーナの精気のない白い顔に赤みが戻ってくる。聴力を強化すれば心臓が動き出した音もルシフの耳は捉えることができた。

 じっと見つめていると、ニーナが少し眩しそうにゆっくりと目を開けた。


「ニーナ、気分はどうだ?」


「…ルシフ、さん…?」


 ルシフが声をかけるとニーナは不思議そうな顔をしてルシフを見る。


「助けに来れなくて、すまなかった。これは全て、俺の失敗だ。」


「…やっぱり、夢じゃなかったんですね。あの…ロイとウィルは…。」


「二人は、間に合わなかった。」


 すでに肉体が失われていた二人は、蘇生させることはできない。さらに言うとニーナ自身も死んでいたのだが、あえて説明することでもないだろう。


「そう…ですか。」


 ニーナはルシフから視線をはずし、感情のない顔で天井を見つめる。


「俺が中途半端に関わってしまった結果だ。すまん。」


「…いいえ、ルシフさんは悪くありません。せっかく鍛えてもらったのに、油断してしまったあたし達のせいです。…あたしはルシフさんに会えたことを後悔していません。」


「…そうか。だが、俺には言っていないことがある。俺は魔王なんだ。窓の外を見てみろ。」


 ニーナは魔王という言葉にはあまり驚いたように見えなかったが、体をベッドから起こして赤い光が射し込む窓を覗いて目を見開いたのがわかった。

 城の窓から見えるのは街中が炎に飲まれ崩れていく家々、すでに生きている人の姿はなく、生物が生きていられる環境ではなかった。


「これは…!ルシフさんが…?まさか、あたしたちのために…。」


「いや…。人には、魔王が必要なようだ。これから世界は、闇を倒すために一つにまとまるだろう。」


「そんな…。」


 ニーナは振り返ってルシフをじっと見つめると、なにかを決意したような顔をした。


「ルシフさんが闇になるなら、あたしが人々の光になります。」


「なに?」


「あたしは勇者です。人々の希望として、世界を平和に導きます。」


「勇者…か。俺を倒すということか?」


「あ、そうじゃなくて…えっと、ルシフさんは自分が悪者になることで今の世界を変えようとしてるんですよね?あたしもそのお手伝いがしたいんです。」


(どうやらニーナは俺のことをただの善人だと思っているようだな。)


 確かにニーナたちを鍛えてはやったが、それは善意でやったわけではない。ルシフとしては実験的な意味合いが強かったので、恩を感じてもらう必要などないと思っていた。

 最も、楽しみながらやっていたのはルシフにも多少自覚はあったのだが。


「勘違いしているようだが、俺は昔から魔王だ。この街にいた人々の中には罪のない人もいたはずだが、多くの者が死んだだろう。俺はこれから俺の望む世界を手に入れる。」


「それでも、あたしはルシフさんの力になりたいんです。」


 変なやつだ、とルシフは思ったが、ニーナの姿が竜王やラミリリスのような仲間たちと重なって見えた。

 ニーナも含めてロイとウィルもルシフに懐いていたのは感じていたし、それを心地よく感じていた自分にもなんとなく気づいていた。


(人とは言え三人に対して愛着を感じていたようだな。これが人のいう仲間…いや、友というものなのか?これも悪くはないな。)


 なぜか気持ちが軽くなったような気がしたルシフは、ニーナをしっかり見ながら少し笑いながら答える。


「ハハッ。変わったやつだ。好きにするといい。」




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