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第9話 ニーナの出会い



 一日前にドラゴンが現れて街中がざわついているなか、冒険者ギルドで新しいパーティーメンバーが見つからず、とりあえず一度三人だけでCランクの依頼を受けてみようかと話していた時、冒険者というには違和感のある二人がギルドに入ってきた。

 大盾を背負った白銀の鎧を着た聖騎士のような男と、武器を持っていないから魔法使い?だろうか。

 冒険者というよりは、どこか高貴な気配をまとった二人組だった。


 その二人は街の衛士に案内されて冒険者ギルド長を交えてなにやら話し合いを始めた。

 三人は比較的受付のそばにおり、気になっていたのもあり会話をなんとなく聞いてしまっていた。

 どうやら二人は冒険者登録をしたいらしくて、そのためにはCランクの依頼を達成する必要があるらしい。

 

 それを聞いたロイとウィルが、「ダメもとで誘ってみるか?」「探していた盾職の人だし、いいと思う。」と言い合い、あたしも文句などなかったので頷いた。


 結果はまさかのオッケーで、「こんな弱そうなものとは組まない。」と言われないか内心ドキドキしていたあたしの心配は杞憂に終わった。

 依頼は次の日に出発することになり、その日は三人とも興奮していたのかいつもより寝るのが少し遅くなった。



 それからは驚くことばかりだった。

 話してみると二人は思ったよりも話しやすく、といってもガレアスさんは無口で自分からは話しかけてはこなかったけど、遠方から来てわからないことが多いらしく、ルシフさんはいろいろなことを質問してきた。

 

 まず驚いたのはルシフさんに教えてもらったアイテムボックスという魔法だった。

予想していたよりもルシフさんはずっと強いみたいだったけど、その時握っていたカッコいい剣がどこかに消えたのをみて教えてもらった。

 とても便利な魔法で、限りはあるけど異空間に物を出し入れできると言うものらしい。それもロイはウィルも使えたから、魔法が使えなくても使える魔法だった。


 次に驚いたのは二人の強さだった。あたしには二人の強さなんてとてもじゃないけど測れなかったけど。

 実際二人がなにか攻撃したわけじゃないんだけど、ハルディスの空に現れた赤いドラゴンくらいの大きさの大蛇相手に全く動じず余裕な態度をとるルシフは、王者の風格すら漂わせているように思えた。


 その時の人に化けていた大蛇とルシフたちの会話は、いまいち意味がよくわからなかったけど、なんとなく理解できることもあった。

ルシフたちももしかしてなにか得体のしれない怪物が人に化けてるんじゃ?と内心少し怖くなったけど、帰り道の二人と話しているとそんな気持ちは消えてしまった。


 街に帰り着いた日の夕食を一緒に食べて、あたしは思い切ってまた一緒にパーティーを組みたいと言ってしまった。

 勇気を出して言った願望をあっさり受け入れたルシフは、その後にレベルアップという意味のわからない提案をしてきた。



 それからの数日間は濃密な時間だった。

 もう何に驚いていいのかもわからなくなるほどに驚くことばかりだった。

 森にいたはずが気づいたら荒野に立っていて骸骨のモンスターが視界いっぱいに整列していたり、ルシフが教えてくれたこの世界の理だったり、貸してもらった武器の性能だったり、なぜかあたしが勇者になったり。


 このころにはもうルシフたちがただの人ではないだろうとなんとなく思っていた。

少なくとも、自分たちとは住む世界が違う立場の人たちなんだろうなと思った。


 それでも、そんなルシフさんにどうしても惹かれてしまっているのを、あたしは心のどこかで自覚していた。





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