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第8話 ニーナの過去



 あたしの名前はニーナ。どこにでもいるような18歳の女の子。

 アウグスト王国とグラストン帝国を隔てる山脈の近くにある、小さな村で生まれた。

 狩猟と農耕を半々くらいで行って生活していて、貧しいが食べるだけならそれほど困らない村だった。


 父親は農作業が忙しい時期は手伝いもするけど、基本的には狩りをしていて、小さな村にいるのは珍しいが村の治癒術師をしていた。

 森には弱いモンスターも多く、主に森猪(ウッドボア)森兎(ウッドラビット)を捕まえて生活していたけど、時折村の人だけでは倒せないようなモンスターも現れることがあった。

 そういう時は王都ハルディスの冒険者ギルドに依頼をだして、討伐してもらうのが常だった。


 場合によっては怪我をしたり亡くなる者もいたけど、そういうものだと思って深く考えないようにしていた。

 だが12歳になり母の手伝いをしながら回復魔法の練習をし始めてしばらくした頃、山脈のモンスターが頻繁に村の近くまで現れるようになった。

 当然村の長がその度に王都に行き討伐依頼をだしに行ったのだけど、冒険者がすぐに来てくれたのは最初だけで、その後は依頼を出すことすら難しかったらしい。


 冒険者への討伐依頼には当然報奨金を支払わなければならないのだけど、村の収入では払いきれない。

 そもそも税として狩猟したモンスターの素材や畑でとれた作物などの約六割を収めていたので、手元に残る金銭などほとんどない。

 生きるためだけならなんとかなるけど、生活を変えていくほどの余裕はなかった。

 だから冒険者に払うはずの報奨金は、王国の定めた法により、その地の領主が八割負担するという制度があって、それに頼っていた。


 その領主が、そんなに何度も冒険者に討伐してもらう必要などないと言い出したらしかった。

 確かに例年であれば年に一度依頼を出すかどうかというところを、ほとんど間をおかずに申請したのだから、領主からしたら予想外の出費だったんだね。

 冒険者への依頼料は安くはないから、なんとか理由をつけて依頼を通さなかったり確認に無駄に時間をとったりしてきた。


 これは後で知ったことだけど、あの頃山脈のモンスターがよく出現するようになったのは、山脈の反対側のグラストン帝国が戦力増強のために、山脈の飛竜の卵を盗むという行為を繰り返していたために、飛竜の暴れまわり他のモンスターが山を下りてきてしまったらしかった。


 そんな状況で冒険者の力も借りられず、ただの小さな村がモンスターに襲われて無くなるのは、当然と言えば当然だったのかも。

 領主様にとってはいくらでも代わりのいる存在でも、村で暮らす者にとっては命がかかっているのに。


 山のふもとに現れたモンスターがついに村を襲ってきたとき、あたしの父は防衛のために狩猟用の短剣と弓を持って家を出て行った。

 母は村の子供を連れて少し離れたところまで連れて行くと、大人たちの回復をするために村に戻ると言い途中で別れた。


 子供は全員で十人もいなかったけど、幼い子もいて近くの村に着くのに半日くらいかかった。

 幸い途中でモンスターに会うことはほとんどなく、何度か弱いモンスターが出た時は、親の狩猟について行ったことのある男の子たちがなんとか追い払ってくれた。

 あたしの回復魔法も少しだけ役にたったみたい。


 なんとか近くの村に辿りついたあたしたちは、顔見知りのその村の村長に事の次第を話、急いで冒険者ギルドに救援を出して欲しいとお願いした。

 隣の村が襲われ、自分たちの村までくるかもしれない可能性があったから、村長は一番足の速いものを呼んで王都の冒険者ギルドに使いを出してくれた。


 救援は思ったよりも来てくれたけど、それでも襲われてから何日も経っており、冒険者たちは「生き残りはいなかった。埋葬はしてきたから、もう行かない方がいい。」と説明してくれた。

 なんでも村の使いが冒険者ギルドにつき、急いでくれと説明しているところにたまたま出くわし、放っておけないと場所だけきいて急いで駆けつけてくれたらしい。


 それを聞いたとき、あたしも冒険者になりたいと思った。


 そう思ったのはあたしだけじゃなかったみたいで、その冒険者たちが王都に戻るときにあたしと、あたしと同い年のロイとウィルが「冒険者になりたいです。」とお願いして、一緒に王都まで連れて行ってもらった。

 王都までの道中、冒険者たちはいろいろなことを教えてくれた。冒険者ギルドのこと、依頼のこと、モンスターのこと、国のこと。

 街に着いて冒険者登録まで付き添ってくれた冒険者たちは、「次会ったら酒をおごってくれ。」と笑いながら金貨3枚を手渡してくれた。


 それからは一番簡単な薬草採集からはじめて、徐々にゴブリンなどの討伐をしながらなんとか生活し、ランクを上げていった。

 なんの考えもなしに王都にきたので、あの金貨3枚がなかったらとっくに飢え死にするか、最低限の装備すら整えられずモンスターに返り討ちにあっていたと思う。


 少しずつ戦うのにも慣れ、ゴブリンやウッドウルフくらいなら安定した戦闘ができるようになって、ついにCランクになることができた。


 ルシフさんとガレアスさんに出会ったのは、Cランクになったから新しいメンバーを探すことにして3日目のことだった。




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